カブトムシ累代飼育マニュアル | ||
はじめに | |
ヘラクレスオオカブトといった外国産の大型カブトムシのブームの中でも、子供達に変わらぬ人気を誇る国産カブトムシ。 既に飼育したことがある方も多いとは思いますが、虫ナビとしての飼育法をご紹介したいと思います。 カブトムシの累代飼育と言っても、野外では農家の積み肥や廃材や畳の腐ったもの、廃棄した飼育用マットなどに♀が卵を産みつけ自然にたくさん繁殖している訳ですから、何も難しく考える必要は一切ございません。 むしろ、マニュアル人間にならずに、自分流の飼育法を探求して飼育を楽しんでいただけたら幸いです。 ここで述べているのはあくまで私の実経験を元に紹介しているだけであり、一例としての参考程度にしてください。 |
カブトムシとは | |||
国産カブトムシは日本全土に広く分布しており、クヌギやコナラがある雑木林があれば、普通に見られます。 一言で国産カブトムシと言っても、カブトムシの仲間は国内に5種が生息しており、亜種も含めると10種類になります。
実はクヌギやコナラが夏場だけ樹液を出し続けるのには理由があり、ボクトウガ(Cossus jezoensis)の幼虫がクヌギやコナラに穿孔し意図的に樹液を出して餌となる昆虫を誘っていることが分かっています。他にもスカシバ科やコウモリガ科の蛾の幼虫やカミキリムシの幼虫も木に寄生することで樹液を出しています。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||
♂ ♂には立派な角がありますが、小型個体では大変小さくなります。 |
♀ ♀は角がないだけでなく、胸部がザラザラし、前翅にも微毛がうっすらと生えています。 |
成虫飼育に使用する用品 | |||
飼育ケース | ||
|
||
防虫シート | ||
ビニール製のものや塩ビ板,プラスチック製など各種が揃っており、プラケースのサイズに合ったものを使用します。 ただし、コバエも侵入できない小さな穴ですので、カブトムシのオシッコなどで、容易に塞がり蒸れることもありますので、注意しましょう。 |
||
マット | ||
あまり古いものを使用すると、卵に有害なダニも発生することがありますので、新鮮なマットを使用しましょう。ただし、ダニがいるようなマットでも私が飼育してきた経験では、構わずどんどん繁殖して問題なく大きくなっています。 ダニがいるマットで特に注意する点とすれば、卵を産んだままの状態にして、マット内やマット上に露出してイトダニ科の仲間に捕食されないようにすることです。 成虫観賞用であれば、どんなマットでも構いません。ただ、適度に湿らせておきましょう。 |
||
皿木 | ||
ゼリーの蓋を開けてカップごと穴に入れて使用します。 ゼリーのサイズに合わせて穴の大きさも変わってきますので、自分の使用しているゼリーのサイズにあったものを使用してください。 カブトムシは大食漢で、あっという間にゼリーを空にしてしまいますので、穴が多数あいた大きめの皿木を使うと一度に複数のゼリーをセットできるので、ゼリー交換の回数を減らして管理が楽になります。 ただし、産卵をメインに考えると産卵促進の意味で広葉樹製が適していると言えますが、カブトムシの産卵はマットだけで十分産んでくれますので、クワガタほど神経質に考える必要もありません。 |
||
餌 | ||
樹液成分のゼリーや高タンパクゼリーなどさまざまなものが出ていますが、赤色の樹液成分の入ったゼリーが最も安く、最も食い付きがよく、好結果が得られています。 |
||
転倒防止用グッズ | ||
障害物のないマット上では、カブトムシは引っくり返ると起き上がれずにもがいたあげくに体力を消耗し、死んでしまいます。 そこで転倒しても起き上がれるように、止まり木や樹皮,落ち葉などを入れてやります。 販売もされてますが、買うまでもなく入手できると思います。 |
||
その他の飼育用グッズ各種 | ||
近年、初心者をターゲットにした本当に必要なの?と思わざるを得ない用品もたくさん出ていますので、初心者の方は返って混乱するのではないかな?と思っています。このページで紹介していないものはカブトムシの飼育する上では、あっても無くてもよいものと考えて問題ないと思います。 |
成虫飼育 | |||
幼虫〜羽化まで | |||
飼育上のご注意 | |||
カブトムシの飼育は非常に簡単です。しかし、思わぬ落とし穴があります。それは1匹から100個以上の卵が容易に得られるということです。更に幼虫は1匹ずつかなりの量のマットを食べますので、それほどの数の幼虫飼育となると、マット交換が追いつかなかったり、多頭飼育で過密になってしまい、結局は羽化まで持たないことも多いと思います。 ですから、増えすぎた分の処理として、子供達へのプレゼントや飼育した親を採集した雑木林の幼虫が生息可能な場所に放してあげるなどして、飼育数を減らす必要があります。 飼育可能な数に減らすことによって、その分残った幼虫達にマットをたっぷりと食べさせて特大のカブトムシを羽化させてください。 |
購入時の注意 | |||
オークションの評価欄についても、到着時の大喜びしていた時のものですから「とてもよい」の評価をしてしまうのは容易に想像がつきますね。評価欄で出品者の信頼性を判断することはできないのです。 安く買いたいという理由だけで、知らない間に初心者の方が詐欺の一旦を担ってしまうのです。通常より安い価格で購入してお金儲けする訳ですから素人だから知らなかったでは済まされません。ですから、可能な限り知名度のある専門店で購入することをお勧めします。専門店選びについても、もちろん詐欺師達はパクリサイトを作成しており待ち構えていますので、騙されないようにご注意ください。 近年、当サイトの写真を無断使用し、パクリサイト上で出品中のオークションを紹介、販売するという詐欺と言われても仕方のない手口も見受けられました。例えば、イークワドットコム様に対してはイークワカブドットコムといった有様です・・・。 このパクリサイトも、本文の内容さえもパクっており、例えばオオクワガタの説明に「KabuKabu」のData baseを使用している為、Dorcus属は私の飼育種がすべてであるような紹介になってしまっていたり、学名一覧表のデザインさえも「KabuKabu」のHTMLコードをそのままパクっているという悪質なものです。 このように基礎知識も無い人間が金儲けの為だけに販売している訳ですから、当然産地や亜種などといった情報に誤りや意図的な嘘などお金儲けの要素は盛りだくさんです。もちろん、カブトムシが好きでやっていることもありませんので、虐待とも言える行為も普通に行ないます。より高価なカブトムシに至っては、安価なカブトムシの幼虫であることを悟られないようする為、羽化することがないように、発送時に幼虫のお尻に針などで見えないくらいの穴を開けて少しずつ体液を出すことにより、到着時には元気な状態を維持しつつ、購入後数日を掛けてじっくり弱らせて死亡させるという手口も有名なのです。犯罪ではありますが、このような手口は証明のしようがありませんから、法律的に罰することもできません。単純な詐欺で証拠があったとしても、有名なビッダーズオークションについては一切協力もしませんので、購入者側でオークションは使わないなどの自衛策を講じる他ないことでしょう。 ご紹介したパクリサイトについてもこちらの警告によって、画像の撤去は確認できましたが、このような人は一人で多数のオークションIDを持っていることがほとんどですので、初心者のオークション購入は大変なリスクを伴うものになるでしょう。もちろん、一人が複数のオークションIDを持つことはオークション規約上にも違反していますが、ビッダースオークションについては売買が盛んなほどオークションサイト側の収入に繋がることもあってか、実際には詐欺師達は自由に複数のIDを簡単に作成し、詐欺がバレたようなIDは切り捨てていくつもの新しいIDを作成することが可能なのです。 私が最も信頼している業者様である「ドルクス政宗」様によると、パクリサイトは、多数存在し、キューバ産ヘラクレス・偽バウドリー・偽ヘラクレス亜種事件等多数の詐欺を行なっているそうです。そして、ドルクス政宗様の日常的な努力により、詐欺事件も解決された貴重なお話もお聞きすることができました。 昨今話題になっている食品におけるさまざまな産地偽装や中国産の劣悪な食品も、今のオークション詐欺を彷彿とさせるものがあり、お客の側は皆安いからといって購入した結果、真実を知っていれば決して安くないばかりでなく、大きなリスクを背負わされる結果になっているはずです。特に農薬の類は体内に蓄積して、長年の間にある一定量を超えた時点で初めて発病することもあり、このような原因を特定することが困難な病気に掛かる危険も孕んでおり、安いというだけで取り返しのつかない損害を被る危険性もあります。残念ながら一般的に関心の高く被害額も莫大になる食品とは違いカブトムシですから、よほど悪質で多額の被害額にならない限り、警察も取り合ってくれないことがほとんどです。 ですから、初心者だからという甘えが通用しないご時世ですので、購入者の側が信頼のおける商品を購入できるように賢くなっていただく必要があるのです。 悪質な詐欺師達に得をさせない為にも、これらのことを参考にしていただき、騙されることなく確実な産地のカブトムシを入手していただき愛着を持って長く飼育していただけたら、私にとってこれ以上の幸せはございません。 |
最後に | |||
いかがでしたでしょうか?既にご存知のことばかりだったかもしれません。 初めて挑戦される方もきっと成功されることでしょう。その分物足りなさも感じるほどで、次は外国産カブトムシの飼育に挑戦されることも多いと思いますが、外国産カブトムシと言っても、やはりカブトムシはカブトムシですので、飼育法もほとんど変わりません。後は飼育する種の生態に合わせて、冬場を加温したり、気の荒い種であれば交尾以外は単独飼育,大型種であればケースをより大きいケースにしたりとするくらいのアレンジで飼育が可能です。 しかし、カブトムシは飼育が容易である反面、飼育しきれなくなるケースも多いと思います。 採集するばかりでなく、増えたカブトムシを採集した雑木林に放してあげることもよいことだと思います。 しかし、採集場所以外では決して逃がさないようにしてください。 元々生息していなかった北海道や沖縄でカブトムシが見つかっており、特に沖縄では在来種であるオキナワカブトムシ(Trypoxylus dichotoma takarai)との交雑により、固有の亜種が絶滅の危機に瀕しています。 更には中国や台湾といった産地のカブトムシまで出回っており、不安の種が尽きません。 国産種と交雑ができるカブトムシは買わないといった販売業者への意思表示も必要ではないかと思っている次第です。 想像してみてください。日本で採集できるカブトムシは雑種しかいないとしたら、今までのように夢中になって採集や飼育をしたいと思えるでしょうか? いつまでも、国産カブトムシの採集や飼育を楽しめるよう一人ひとりが責任を持って飼育されるようお願いします。 |
当サイト内の画像の無断転載を禁じます。
Copyright© 2002-2024 Takuro Tsukiji.
| ◄ 戻る | サイトのご利用について | |