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マルギナトゥスマルバネクワガタ |
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学名:Neolucanus marginatus parryi | |
![]() ♂30.9mm(2022/10/1 タイ産/WILD) |
Data | |||||||||
和名 | マルギナトゥスマルバネクワガタ(インドシナ亜種) 別名:パリーマルバネクワガタ |
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体長 | ♂:26.1〜44.6mm ♀:26.3〜36.3mm |
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分布 | ミャンマー東部,タイ北部,ラオス,ベトナム北部〜中部,中国南部 | ||||||||
餌 | 樹液? 幼虫は土化したマットを食べると思われる。 |
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寿命 | 2〜3ヶ月 | ||||||||
飼育難易度 | 調査中 | ||||||||
解説 | インドシナ半島に生息するマルバネクワガタの美麗種。 マルバネクワガタの中型種で、大アゴは短歯型。 頭部・前胸背は黒色〜黒褐色。 上翅は黄褐色で会合部を中心にV字状の暗色部がある。 本種はパリーマルバネクワガタ(Neolucanus parryi)とされていたが、本種の亜種に降格した。 シミリスマルバネクワガタ(Neolucanus similis)に酷似するが、本種の上翅のほうが細長い。 基亜種に比べV字状の紋が細い。 更に本種にはベトナム南部個体群という未記載亜種もいて頭部・前胸背の赤味と光沢が強いという特徴がある。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2022年9月26日 ヤフオクでパリーマルバネクワガタとしてワイルド個体のペアが「INSECT JOKER」から出品されているのを見つけ、画像もアップされていなかったが即決価格が手頃な価格帯だったため落札した。 BE-KUWA No.78に従い、マルギナトゥスの亜種として扱う。 前回はマルバネsp.を分布域から本亜種としたものの、別種または新種の可能性もあり確実ではできなかったが、今回はパリーと同定済みであるため、恐らく間違いないだろう。 前回、今年の異常気象で6月なのに真夏のような高温だったため、高温に弱く死亡したと思っているので、今回は温度にも注意して飼育していきたい。 産卵に使用するマットだが、情報がなく手探りになるが9/24にドロマルバネクワガタ用として作成して寝かせてあるマットを利用し、少しアレンジして使用するつもりである。 続きを表示9月30日 出品されていた本種は瞬く間に落札されていたが、また出品されていたので、保険に♀単品を落札した。 ペアが到着した。サイズを測定したところ、♂30.9mm、♀32mmで♀のほうが大きかった。産地は「タイ チェンライ県 ウィアンパパウ」とのこと。 まずは♀だけで産卵させることにした。 産卵用セットはコバエシャッター中で、前述のマットにチャイロマルバネクワガタ(以下チャマル)用に自己採取した土を3割、オオチャイロハナムグリの幼虫飼育に使用した使用済みマットを2割、赤枯れマットの割合を1割にして水分やや多めでセットした。イメージとしてはニティドゥスマルバネクワガタを産卵させた内容に近いセットである。 追加で落札した♀が到着した。体長は32.2mmで昨日の♀とほぼ同サイズだった。以後、昨日購入したペアをAライン、追加で購入した♀をBラインとする。 昨日セットしたAラインの♀はセット後、マットに潜ったきりとなり、かなり産卵に期待できるため、Bラインは似た内容にしたが多少アレンジした。マットの内容は、ドロマルに使用予定のマットを4割、自己採取した土を3割、赤枯れマットを2割、ツヤクワ系で使用した使用済みマットを1割混ぜ、HEIWAの黒土(ふるい通し)も多少混ぜてみた。 セットして以来、どちらの♀も潜ったきりだったが、昨日取り替えたゼリーがどちらも少しずつ汚れていて夜間にマット上に出てきていたようだった。 夜、Aラインの♀がマット上に出ていたので♂を近くに置くとすぐに交尾が成立した。10分程交尾すると♂は交尾器を抜いたが同時に精包も出てきた。 既に産卵しているとすると今回の交尾で2系統できると思い、採卵してみたところ卵は1個も見つからなかった。長期間潜ったきりなので産卵に専念しているものとばかり思って期待していたので拍子抜けしてしまった。 急遽マットを再調整する必要が出てきたので、即席で考えて既存のマットを少し減らし、赤枯れマットを1割、ハスタートノコギリクワガタの幼虫飼育に使用した使用済みマットを少々入れて、水分は更に多めに加水して再セットした。 Bラインについてはマットに加水するのみとした。 Aラインはマット上にいることが多くなり、産卵状況を確認してみたがやはり産卵していなかった。赤枯れマットを好む可能性を考慮し、更に1割程度赤枯れマットを混ぜて再セットした。 Bラインはもっと置いておく予定だったがAラインが産まないという焦りもあり、産卵状況を確認してみることにした。♀はマット中層と下層の中間くらいにおり、元気であった。 念入りに卵を探すと♀と同じ位の層から卵が出てきて、合計8個の卵が得られた。 卵はマットの小さな塊の中にあるようで、普通にマットを掻きまわす程度では見つからないので、最初は2,3個程度かと思い、250ccのプリンカップに5個まで入れたが、残り3個は同じサイズの別のプリンカップにセットした。 マットは多湿の状態だったので特に加水せず再度同じマットでセットした。 8個という纏まった数が得られたのは幸いだったが、孵化したとして幼虫が同じマットに適応できるかが今後の難関になってくると思う。チャマルやブルークツヤクワガタ、ストリアータツヤクワガタなどのように産卵までは上手くいくものの孵化後にマットが合わないためか突然死亡するというケースもよくあり、産卵用マット=幼虫飼育が可能なマットとは一概に言えないからだ。 可能であればマットの種類を何パターンか試したいので今後の産卵に期待したい。 Bラインが好調なため、Aラインを参考にマットの内容を変更することにした。 ♀はかなり深く潜っていたが、依然卵は産んでいなかった。 既存のマットを減らし、黒土を2割、自己採取の土を1割程度混ぜて、ジュクジュクに加水して再セットした。 現時点で採卵した8個は採卵翌日に1個死滅してしまったが残り7個は萎むことなく問題なさそうだ。♀2匹も潜ったきりで更なる産卵が期待できそうである。 Aラインの産卵状況を確認することにした。 結果、12個の卵が得られた。♀はケース中層下部にいて産卵に専念していたようだ。卵が得られなかったら再度交尾させるつもりだったが、Bラインに合わせた読み通り、産卵が好調なのでこのまま産卵を続行させることにした。 得られた卵は2個の430ccのプリンカップに6個ずつセットした。 マットの不足分はカメラツヤクワガタでセット後にあっさりと♀に死なれてしまったものが本種のセットに近いのでこの使用済みマットで補充した。 両ラインから卵が得られたことは大変嬉しい。短いスパンで採卵したが、今後は数週間置いて産卵に専念させたい。 Aラインの♀がマット上でじっとしていたので、2回目の交尾をさせることにした。♂を♀のそばに置くと今回もすんなりと交尾させることができた。20分弱で交尾が完了し、今回は♂の交尾器を抜くと同時に前回挿入した精包の排出も確認できた。 Bラインの卵が2個孵化した。Bラインの♀は交尾させずに持ち腹で産卵させた完全に別系統なのでAラインと並行して飼育できればと思っている。 Bラインの卵がまた1個孵化した。 Bラインの幼虫を取り出すことにした。卵5個と3個で管理していたプリンカップ2個から3頭と3頭で合計6頭が得られた。孵化率はまずまずといったところ。 マルバネクワガタなので多頭飼育のほうが良いと思われるので、500mlクリアボトルに3頭ずつで飼育することにした。マットはかなり劣化したツヤクワ幼虫の飼育済みマットとカメラツヤクワガタの産卵用に使用した土主体のマットを半々に混ぜたものを使用した。 Bラインは前回の採卵から4週間経過しているので、採卵することにした。♀は木片の下で既にバラバラになって死んでいた。かなり以前に死亡していたようだ。 マットからは1齢幼虫10頭と卵1個が得られた。幼虫は3個の500mlクリアボトルに3頭ずつ2個、4頭1個でセットした。マットはそれぞれ産卵用マットを主体に内容を変えてみた。 Aラインの♀は生きてはいるが、マット上にいてかなり衰弱している状態になっているのでそろそろ寿命のようだ。♂は依然として元気だった。 Aラインの♀が死んだ。 Aラインの♂も死んだ。 10/29に採卵したAラインのプリンカップを確認したところ、12個だったはずなのに3頭しか確認できず、その他の多くは孵化後に死滅したようだった。 得られた3頭は500mlクリアボトルで多頭飼育することにした。 この調子だとAラインの産卵用ケースも放置していると全滅する気がするので、産卵用ケースから幼虫を取り出すことにした。 結果は1齢幼虫9頭と卵2個が得られた。他に胴体がほぼない1齢幼虫もおり、やはり死滅していっている幼虫もいるようだ。 得られた幼虫は3個の500mlクリアボトルに3頭ずつマットの内容を変えてセットした。マットの内容は産卵用マットを主体にストリアータツヤクワガタの幼虫使用済マットを半々にしたものや、前述のマットとミラクルマットをそれぞれ少量混ぜたもの、Uマットを少量混ぜたものの3種類にした。 Bラインのマットのすべてにミミズが発生しており、急遽取り出してみたところ、1頭のみ生き残っておりほぼ全滅状態だった。生き残りの1頭はそこそこ成長していて丈夫そうだった。この1頭は産卵用マット9割にミラクルマット1割で飼育していたものである。 Aラインはミミズの発生はしておらず、食痕らしき箇所もあり生存していそうなので1本のみ確認したところ、3頭入れていた500mlクリアボトルから3頭すべて無事に生存していた。ただ3頭ともあまり大きくなっていなかった。このボトルに使用していたマットは半分ストリアータツヤクワガタ幼虫の使用済みマットだったことから、どちらも既存のマットに同じ使用済みマットを混ぜたもので再セットした。 他のボトルについては劣化もないため、このまま様子をみることにした。 今回の死因はマットの種類というよりミミズによる著しい土化によるものだと思うので、幼虫が好むマットの種類についてはまだ分からない部分が多い。 幼虫飼育中のマットが粉末状に劣化していたので、全頭マット交換することにした。 気になる生存数だが12頭中2齢4頭、1齢3頭の合計7頭だった。そこそこ健闘できているとは思う。 1500mlクリアボトルに3頭ずつ、1頭は800mlクリアボトルで飼育することにした。 使用するマットは、既存のマットに自己採取した土から発生した大きめの線虫が多く見られたので、可能な限り取り除いたものとストリアータの使用済みマット、ツヤクワ類の使用済みマットを混ぜたものに赤枯れマットを少量加えたものにした。 |