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ニティドゥスマルバネクワガタ |
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学名:Neolucanus nitidus robustus | |
![]() ♂45mm(2021/10/27 タイ産/WILD) |
Data | |||||||||||||||||||||||
和名 | ニティドゥスマルバネクワガタ(ラオス北西部・タイ北部亜種) 別名(愛称):ニチマル |
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体長 | ♂:32.5〜54.2mm ♀:30.5〜50.3mm |
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分布 | ラオス北西部,タイ北部 | ||||||||||||||||||||||
餌 | 樹液 幼虫はシイ類,カシ類の赤枯れしたフレークを食べると思われる。 |
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寿命 | 2〜3ヶ月 | ||||||||||||||||||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★★★☆ 困難 | ||||||||||||||||||||||
解説 | 外国産のマルバネクワガタの一種。 マルバネクワガタの中型種で、大アゴは短歯型。 中国南部〜インドシナ半島に分布する種で、現在9亜種に分けられており、本亜種はベトナム・ラオス亜種に次いで大型になり光沢はやや鈍く、上翅は鮮やかなマホガニーを思わせる色彩をしている。近似種のアカマルバネクワガタ(以下アカマル)と似てはいるものの、ツヤツヤで真っ赤な派手なアカマルに対し、本種は上品な印象を受ける。また、飼育した限りでは寿命も本種のほうが長いようである。 本亜種は(ssp. maekajanensis)とされていたが最近改められた。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2021年10月24日 タイのチェンライ県ウィアンパパウから直輸入された天然のペアが到着したのですぐに交尾させた。♀の上に♂を乗せるだけですんなりと交尾させることができたので、ヤエマルの幼虫飼育で使用したマットとUマット、Nマットをブレンドしたもので産卵に挑戦したい。 続きを表示11月2日 ♀がマット上に出ていたので少々早めだが2度目の交尾を行った。あまり潜らないので、産卵していない可能性が高い。 今のところまったくマットに潜らず産卵する気配がないので、チャイロマルバネクワガタ(以下チャマル)と同様マットがより土化したものを好む可能性を考え、スダジイ主体の林の落ち葉の下の土を半分ほど混ぜて、マット上にはスダジイの赤枯れの塊を数個置いた。 夜、♀がマット上に出ていたので3度目の交尾を行った。どちらもまだ元気ですぐに交尾が成立した。ちなみに交尾の時間は比較的長く毎回小一時間掛かっている。 ♀がマット上にいるので、産卵したかマットを確認してみたが、見つからなかった。 今度は現状のマットを半分減らし、自作のスダジイの赤枯れマットを現状のマットに半分混ぜて水分を更に多めにしてセットしてみた。ただ、♀がゼンマイが切れかかったように動作が鈍くなっていたので、セットの良し悪しに関わらず死んでしまう可能性が高くなってきた。 セット後は結構深く潜ったりしているので、案外元気のようだ。夜はマット上で歩き回っていた。 ♀がケース底面まで潜り、更に潜ろうとケースを引っ掻く行動がみられた。11/13の再セット以来、明らかに♀がよくマットに潜ることが多くなってきたようだ。 ケース底面に1個卵の一部のような白いものが見えた。一時諦めかけていたが、再セットで一転して産卵への期待が高まった。 ケース底面から新たにはっきりとした卵が確認できた。♀はここ数日間潜りっぱなしで期待はしていたが、これで産卵していることが確実となった。 飼育難易度は飼育法が確立されているかどうかで大きく変わるため何とも言えないがマットにかなりシビアで少なくとも簡単ではないので5つ星から4つ星に変更しておく。 昨晩から♀がマット上にいるので、マットの上層〜中層付近を掘って卵を探してみたところ、2個の卵を発見することができた。中層以下はかなり固めに詰めているため、無理な掘り起こしは卵を潰す危険があるので、あくまでサンプルとしての採卵に留めた。 ケース底面を見る限り、周りのマットを固めた上で小さなスペースを設けて採卵するタイプのようだ。♀は11/13の時点で後脚の片方が麻痺して動かなくなっているのを確認しており、産卵するために相当後脚を酷使していると思われる。多数産卵させるためには塊を作りやすいマットを使用することも条件になるのかもしれない。今回は酷使後に産卵に適したセットにしたことになり、後脚が動かないことでうまく産卵できず産卵数が少ない可能性は否めない。 ちなみに♂は未だに新成虫と言われても分からないほど元気にしている。天然物であることからも、寿命は少なくともチャマルよりは長そうだ。 昨日、アカマルの♀が産卵の末死んだので、本種もそろそろかと確認したところ、マット上の赤枯れの木片の下で休んでいた。触角の機敏な動きからまだ元気な感じだった。天然個体なので確かなことは言えないがアカマルよりやや寿命が長い可能性がある。 ♀はマットに潜らずマット上や皿木の下などで休むようになっていて、既に産卵する体力はなくなっているようだった。 前回の確認以来、♀の姿が全く見えないので安否確認したところ皿木付近のマット上層部から♀の死骸が見つかった。死骸の劣化状況から恐らく前回の確認後間もなく死んだようだ。死骸のそばに1個の卵があったので、そのまま埋めておいた。♂は相変わらず元気である。 採卵した2個の卵は残念ながら成長することなく死滅した。産卵ケース底面から見える卵は完全に見える卵は1個しかないが、こちらは成長して孵化寸前といったところ。個体数は望んでいないので、累代可能な1ペアだけでも得られればと思っている。 産卵ケース底面を確認したところ卵が孵化したようだった。一部しか見えなくなっているのでよくは分からなかったが、夜再度確認してみると、脚が動いているのが確認できた。 マットがケースの高さの半分程に縮んでいるので、幼虫飼育用にセットし直すことにした。マット上の皿木や赤枯れの木片などを取り除き、少しマットを掘ってみると1齢幼虫が1頭出てきた。少ししか掘っていないので個体数はそこそこ期待できそうだ。幼虫は撮影後、再度埋め戻した。 補充するマットはマルバネ・ツヤクワ類の産卵用に使用したマットにした。使用済みとはいっても自己採集のスダジイの赤枯れ及び黒土化したマット、市販のNマット・Uマットを混合した未使用に近い比較的良質なものである。 種親の♂は予想以上に長生きをしており、年を越せてしまった。ただ、流石に動かなくなってきて死にそうな状態になっている。 夜、種親の♂がほぼ動かなくなり、僅かに脚を動かす程度でいよいよ死ぬ直前となっていた。 とうとう種親♂が死んでいた。購入日から76日間生きた計算になる。天然個体で更に輸入までの期間も考慮すると3ヶ月程度生きるようだ。 ケース側面から見えていた幼虫が1週間前から見えなくなっており、死んだか脱皮したか分からない状態で、他に幼虫が外から確認できず心配になったため、マットを出してみることにした。 マット上層部はサラサラした状態で、中層からカチカチに固くなっていた。幼虫を潰さないよう慎重にマットを取り出して幼虫を探したところ、12頭の1齢幼虫が出てきた。前回より成長はしていたものの、複数の死骸も見られたため、恐らくもっと多数の幼虫がいたはずで状況はよくないようだ。 卵も1個出てきたが、孵化してないということは無精卵と思う。 死亡率が高い原因が湿度かマットか不明だが、少なくとも多湿を好むので、現状よりも多湿にしてマットを再調整する程度としたい。 マットはいろいろ試したいところだが、マルバネ系は多頭飼育のほうが生存率が高いため、6頭ずつコバエシャッター小で飼育することにした。 マットの詳細は以下の通り ・ケースA:既存6割/Nマット2割/赤枯れマット2割 ・ケースB:既存5割/Nマット2割/Uマット1割/赤枯れマット2割 セット後、幼虫が環境の変化の影響で死なないか心配していたが、ケースBのケースの側面から幼虫を確認することができた。これで少し安心できた。 コバエシャッター小で飼育開始して4ヵ月以上となり、撮影も兼ねて各ケース1頭を単独飼育にすることにした。 マットはかなり固められていて慎重に掘っていくと中層付近にトンネルがあり、奥に3齢幼虫が出てきた。 ケースAの3齢幼虫はまだ初期といった感じで透明感があった。ケースBの3齢幼虫は少し成長が進んでいるようで、頭部は赤味が増しており凶暴さも目立った。 マットは劣化が進んでいて線虫も目立った。 どちらも800mlクリアボトルで単独飼育、マットは既存のマットにアマミマルバネクワガタ用に作成していたマットとUマットも少し混ぜたものを使用した。 コバエシャッター小のほうはマットの劣化は進んでいるが、環境の変化を避けたほうがいいと判断し、減った分のマットを単独飼育と同じマットで補充するのみとした。その他の幼虫がすべて生きている場合は各ケース5頭ずつの多頭飼育となる。 コバエシャッター小のケースを見たところ、マットが著しく劣化しており、1つのケースについてコバエの幼虫が発生しているようだったので、急いで取り出してみたところ、辛うじて3齢幼虫が1頭のみ生き残っていた。 もう1つのケースはコバエの幼虫は見られなかったが劣化していたため、確認したところ3齢幼虫2頭が出てきた。ヤエマルでは生きていける環境と思うので劣化に弱いようだ。 3齢幼虫3頭は800mlクリアボトルで単独飼育することにした。数は減らしてしまったが、5頭羽化させることができればブリードは継続できるので、気を抜かずに羽化までさせたい。 単独飼育中の1頭が真っ黒になって死んでいた。マットは特に劣化等トラブルは見られなかったため、原因不明。 他にコバエが大発生していたボトルが1本あったのでマット全交換したが、幼虫は元気だった。 数が4頭となってしまいかなりの苦戦を強いられることとなった。近縁と思われるアカマルも同時に飼育しているが順調に育っていることから飼育難易度としてはかなり開きがあるように感じる。 800mlクリアボトルで飼育中の1頭が死亡していた。特にマットの劣化や乾燥もなく、原因はよく分からない。 |