ドロマルバネクワガタ | |
学名:Neolucanus doro doro | |
♂37mm(2023/8/6 台湾 大雪山林道産/WF1) |
Data | |||||||
和名 | ドロマルバネクワガタ 別名(愛称):ドロマル |
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体長 | ♂:23.8〜42.1mm ♀:27.6〜37.3mm |
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分布 | 台湾中部 | ||||||
出現期 | 8〜10月 低山地では10月から、山地では8〜9月に活動する。 |
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餌 | 不明 幼虫はシイ類,カシ類の赤腐れしたフレークを食べると思われる。 |
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寿命 | 約2ヶ月 | ||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★★☆☆ 困難 | ||||||
解説 | 台湾に生息するマルバネクワガタの小型種。 体色は黒色で、頭部と前胸背は艶消し状で上翅の光沢も鈍い。 大アゴは短歯型のみで太短い。ちょうどアマミマルバネクワガタの短歯型を小型化したような雰囲気のマルバネである。 アカマルバネクワガタ(以下アカマル)に近縁な種で、現在2亜種に分けられているが、地域変異が多く、今後更に亜種が増えるかアカマルと同じ種になる可能性がある。 昼行性で生息地では低山地で10月から、山地では8〜9月に活動するという。活発に飛翔するチャイロマルバネクワガタとは異なり、本種はほとんど飛翔することがなく、林内を歩き回る生態をしている。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2021年11月28日 結構競り合って高値になったがなんとか1〜2齢幼虫10頭を落札できた。台湾・台中市和平区大雪山林道産WF1個体との事。 サービスで産卵に使用したマットを800ccボトル1本分をお付けいただけることになった。流通量が少ないからかほとんど見かけない種ではあるが、出品されていた方は多数の幼虫を出品されていたことから、飼育難易度は無難に三つ星とした。 続きを表示12月1日 幼虫10頭到着。1齢7頭、2齢3頭だった。合わせて10頭もいるが、ヤエヤママルバネクワガタ(以下ヤエマル)使用済みマットは使い果たしてしまったため、Nマット・Uマットを主体にサービスで頂いた使用済みマットでやりくりすることにした。 小型種のため、コバエシャッター中に7頭、コバエシャッター小に3頭で飼育することにした。せっかくなので、実験的にコバエシャッター小のほうはリスク承知で栄養価の高いUマットを主体に、Nマットと頂いた使用済みマットをブレンド、コバエシャッター中のほうは無添加で発酵がより進んだNマットを主体にUマットと自作のスダジイ赤枯れマットと頂いた使用済みマットを混合し、安全性の高いものにした。無論、このマットが本種に適した安全なものか確証があるわけではない。 多頭飼育にしたのはマルバネクワガタの仲間は単独飼育より複数での飼育のほうが幼虫によるマットのコントロールがしやすくなるため、より安全であるからである。 ■コバエシャッター中(1齢幼虫4頭・2齢幼虫3頭) ・Nマット6割 ・Uマット2割 ・赤枯れマット1割 ・頂いた使用済みマット1割 ■コバエシャッター小(1齢幼虫3頭) ・Uマット5割 ・Nマット4割 ・頂いた使用済みマット1割 本種は低山地から山地まで分布しているが、それぞれ個体群によって適温が異なると思われる。少なくとも温度ができるだけ高温にならないようにしたいので、飼育ケースの置き場所は20℃台前半をキープするよう飼育棚の一番下に置いた。 コバシャ小の側面に見えるトンネル内に黒ずんだものが見えたため、死骸ではないかと気になって取り出すことにした。 トンネル内の黒いものは糞かトンネル内の壁の一部でトンネルの奥から3齢幼虫が出てきた。♀斑が見えたので♀のようだ。 その他に2頭いるはずなのだが、2齢幼虫1頭しか見つからず1頭は死滅したようだ。 コバシャ小のマットは少し小さなキノコが生えたりしていたので、アカマルでも経験しているがこのキノコが生えることは幼虫にとって好ましくないかもしれない。 7頭で多頭飼育しているコバシャ中も気になったがマットがかなり縮んでいるもののキノコは生えておらず、大丈夫そうだった。マット上層部もすべてカチカチに固まっており、少し掘るというより削ってみただけですぐに幼虫のトンネルが見つかり内部に幼虫が確認できる状態で、問題なさそうなので減った分を上からUマットで補充するのみとした。 取り出した2頭については、800mlクリアボトルで単独飼育することにした。マットは既存のマットとUマットを半々に混ぜたものを使用した。Nマットもあるにはあるのだが、今回購入分のロットは色が浅く発酵が足りていないので危険と判断した。 コバシャ中で多頭飼育中の7頭は側面からも複数の幼虫が見えて順調のようだが、過密対策に2頭を800mlクリアボトルで単独飼育することにした。 ケースを開けていると極小のコバエが少し発生していた。セットした期間から考えるとセット後にコバエシャッター内に進入したとしか思えず、極小サイズのコバエは防げない可能性があるようだ。 少し掘るとすぐに幼虫を見ることができた。マットはヤエマル使用済みマットを主体にUマットを混ぜたものでセットした。 コバシャ中のほうも、上層部を取り除いて前述のマットで補充した。 コバシャ中やクリアボトルにマットが固められ、赤茶色に変色している部分が見られるようになり、どうやら繭玉を作成したようだ。クリアボトルでは中層部やや上部が広く空洞になっており、中層に繭玉があるようであった。まだ幼虫の姿が見える個体も複数いるが、赤茶色の箇所は見られるので作成中かもしれない。 この分だと出現期の10月には成虫になりそうなので1年1化のようだ。 少し気が早いが、今のうちに産卵用のマットを仕込んでおくことにした。珍品のためか本種の飼育情報はネット上でも見かけなかったので、以下の内容とした。 ・ツヤクワ幼虫飼育などで使用し黒くなるまで発酵が進んだマット:5割 ・Nマット:4割 ・赤枯れマット:1割 そろそろ蛹か成虫になっている頃だと思い、繭玉の上部を削り小窓を開けてみたところ、幼虫の一部が見えてしまった。開けた穴は小さいのでティッシュで覆い、そのまま蛹化を待つことにした。 繭玉に開けた窓を確認したところ、綺麗に埋まっており、繭玉を壊して再作成した様子もないため、問題なさそうだった。 繭玉を作成して2ヶ月程経過した♀について、もう羽化している頃かと繭玉に小窓を開けて見たところ、警戒音と共に白いものが見えて、未だに幼虫のようであった。少なくとも蛹にはなっていると思っていたが、またしても予想が外れてしまった。窓を塞ぎ再び羽化を待つことにした。非常に小さい窓なので繭玉を作り直すことはないと思う。 昨晩、飼育中のクリアボトルのある辺りからガサゴソと音が聞こえていたがどのボトルか特定できていなかったが、翌朝確認したところ、昨年の8/16にコバシャ中→800mlクリアボトルに移動させた個体が♂の成虫となってマット上に出てきていた。 ♀も見たくなったので唯一判別していた♀(昨年の4/23にコバシャ小→800mlクリアボトルに移動させた個体)の繭玉を割ってみたところ、♀の成虫が出てきた。♂は35mm、♀は37mmだった。 ペアリングは♀が活動を開始するまで待つが、今のうちに産卵用ケースを作成することにした。ケースはコバエシャッター中、マットは2匹の使用済みマットとマルバネ系の使用済みマット、Nマットを混ぜたものに赤枯れマットを微量混ぜたものにした。 ♂の後食を確認した。自然界で樹液や果実などに集まるという記録がないが、飼育下ではゼリーをよく食べている。 また自力ハッチした♂が出てきた。1匹目より若干大きく37mmの個体だった。 800mlクリアボトルで飼育している最後の1匹について繭玉を開けてみたところ3齢で死亡していた。この個体は去年2回繭玉に小窓を開けてしまったもので休眠に失敗したと思われる。 ♀が活動を開始し、後食も確認できた。 ペアリングを試してみることにした。 まず♂37mmのケースに♀を入れてみると♂は交尾の体勢になったものの合体することはなく、離れてしまった。 ♂35mmで試したところ、すぐに交尾させることができた。 交尾が終了後、早速♀を産卵用ケースに入れた。万が一交尾が失敗していたことも考慮し、♂37mmとペアで入れることにした。 幼虫5頭で多頭飼育中のコバエシャッター中から一向に自力ハッチする個体が見られないので、確認することにした。 結果、繭玉7個確認し、♂成虫2匹、♀成虫2匹、♂の蛹1匹を確認することができた。繭玉は頑丈で爪が痛くなるほどだった。単独飼育より遅かったのは多頭飼育によるマットの劣化と思われる。 現状、羽化ズレや金額的に割りに合わず売るに売れない成虫が増えてしまい、置き場がない状況だが、本種については何としてもブリードを続けていきたい。 産卵用ケースから卵がまだ確認できないので、数日前に自力ハッチしたクルビデンスオオクワガタの菌糸ビンの菌糸カスと赤枯れを少し混ぜて再セットした。 2匹目の♀35.2mmも2日前から活動を開始したので同じ内容で先に羽化した♂35mmとペアでセットした。 産卵状況を確認したが1セット目の♀は既に死亡し、2セット目は♀は元気だが一向に産卵する気配がないため、マルギナトゥスマルバネで使用したマットを半分近く混ぜて水分量も増やし、より泥状に近いセットにしてみた。 ♂の蛹だったものが無事に羽化して活動を開始していた。先に羽化した♂たちより若干大きく38mmだった。ただ見た目はほとんど変わらないので撮影はしないかもしれない。 9/17に再セットした♀は再セット翌日に木片の下に隠れているところを観察しているが、その後もずっとその体勢のまま死亡していた。再セットした産卵用ケースの内容以前の問題なので最後に羽化した3匹目の♀の産卵用にそのまま使用することにした。 とにかく寿命が早く5匹いた♂も既に2匹が死亡し、死にそうな個体も1匹いて、元気なのは2匹のみとなっている。まだ交尾させておらず成熟も済んでいる♂を使用し交尾させたところ、すんなりと交尾、30分以上してようやく交尾が終了した。 3匹目の♀はセット後に数回確認しているがまったく産んでおらず、赤枯れマットの割合を増やして1週間程経過したので、再度確認したところ、マットの下層部から4個の卵が確認できた。 これで本種は赤枯れマットの割合を多くしないと産卵しない種である可能性が高くなった。 得られた卵は安全のため、コバエの侵入の危険があるプリンカップは使わず、500mlクリアボトルに産卵用マットと共に埋めるようにセットした。(プリンカップの場合、コバエが入らない程度の小さな通気孔を画鋲で開けているがコバエが通気孔から卵を産み落とすようでコバエの発生率が非常に高いため) しばらく放置していた産卵用ケースの割り出しをすることにした。 当然のことながら♀は既に死亡してバラバラになっていた。1齢幼虫5頭のみ得られたが、溶けかけている死骸または瀕死の1齢幼虫も3頭いたことから、そこそこ産卵はしていてマットの劣化により死亡してしまった可能性がある。 得られた5頭は800mlクリアボトルで単独飼育、マットは産卵用ケースを主体に赤枯れマットとNマット、Uマットも少々混ぜたものを使用した。 |