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ブルークツヤクワガタ
学名:Odontolabis brookeana

♂47mm(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)
Data
和名 ブルークツヤクワガタ
 別名:ムネモンツヤクワガタ
体長 ♂:29.6〜52.9mm
♀:24.9〜29.4mm
分布 スマトラ,タナマサ島,ボルネオ,ジャワ?
樹液
 幼虫は発酵が進んだマットを食べると思われる。
飼育難易度 簡単 ★★★★☆ 困難
解説 ツヤクワガタの中型種。
大アゴは3つの型があり、長歯型では細く大きく湾曲し、中央に大きな内歯、基部に小さな三角形をした内歯がある。短歯型では非常に幅広い半円形状で、小さな内歯が並ぶ。
長歯型と短歯型の中間である中歯型は、短歯型に似るが、基半部内側が湾入する。
ゾンメルツヤクワガタ(Odontolabis sommeri)に似るが、前胸背板の形状と黄褐色部の範囲に違いがある。
飼育は難しいとされる。

 
トップの写真は11月24日にネットオークションで購入したインドネシア・南カリマンタン産の天然個体の♂を撮影したもの。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。
飼育メモ 2021年11月23日
生体が明日届くので、先に産卵用ケースをセットしておくことにした。
ケースはコバエシャッター中を使用した。マットはNマットと自作スダジイの赤枯れマットを主体に、マルバネ系使用済みマット・スダジイ周辺の土も少し混ぜて作成した。
割合については体感ではあるが以下の通り。
・Nマット4割
・赤枯れマット3割
・使用済みマット2割強
・土1割弱

土については、マットの粒子の繋ぎとして塊が作りやすくなる効果を期待してごく少量を混ぜた。
ケースにマットを入れて軽く押す程度にした。マット上には転倒防止も兼ねて赤枯れの乾燥した朽木を何個か配置した。
同時に購入のカステルナウツヤクワガタ(以下カステルナウ)についても、まったく同じ内容にした。

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11月24日
ペアが到着した。本種についてはBE-KUWA No.66に少し記載があるが、赤枯れマットで産卵はするが、幼虫は死滅するらしいので、ダメ元での飼育となる。飼育難易度は五つ星とした。
可能であれば交尾させて♀のみを産卵用ケースに入れたいと思い、♀のそばに♂を置いてみてしばらく様子を見ることにした。♂はすぐに♀に気付き、交尾しようとしていた。しばらくの間、交尾の体勢をしていたので交尾していると思ったが、♀は交尾器を開こうとしないのかなかなか合体できないようだった。♂は次第に怒り出す感じで、大アゴを広げて♀の胴体部分を挟む寸前の状態になって助けようにも刺激を与えた時点で挟む危険があるのでハラハラしていたら、♀が前進したので間一髪♂と♀の間に指を入れて引き離すことができた。
本種は雌雄での飼育は危険と判断し、まずは♀だけを産卵用ケースに入れた。
交尾が失敗だったのか合体時間が短かっただけなのかは分からなかったが、機会をみて再度挑戦したい。
 
11月25日
産卵用ケースに♀を入れてからマットに潜ったきりのようで、ゼリーを食べた形跡をなかった。ケース側面や底面からも特に変化は見られなかった。産卵していることを期待したい。
 
11月29日
♀をケースに入れて以来、影も形もない状態が続いており、ゼリーもカビてきてしまった。マットを少し加水しゼリーを交換して吉報を待つことにした。
 
12月3日
未だ♀は潜りっぱなしだが、同時期にセットしたカステルナウはようやくマット上に出てきたので、本種もそろそろ出てくるのではと思い、手付かずのカビの生えたゼリーを新しいものに交換した。
 
12月4日
カステルナウで卵が得られなかったため、本種についても確認してみるとやはり産んでいなかった。両種は同じような生態だと思うのでカステルナウと同様、現状のマットの半分を赤土主体で土も混ぜて水分量も増やしてみた。
 
12月15日
まったくマット上に現れることがないため、状況を確認してみたがマットから卵も見つからず♀は特に弱ってもおらずただただマットに潜ったままという状況だった。マットが適さないのであればマット上を歩いて移動するような行動が見られると思うがそれがないので飼育温度が低い可能性が考えられる。部屋の温度はエアコンで焼成しているが、設定温度22℃でも実際の室温は日中だと26℃まで上がることもあり、その都度手動で調整している。電気代を気にしつつではあるが少しでも温度が高くなるよう調整してみることにした。
 
12月18日
マットが適さない可能性があるのでチャイロマルバネクワガタで効果的だった自己採取したスダジイ由来の土で試したいとケースを確認してみたが、♀はマット上層部にいて取り出しても生きてはいるがほとんど無反応。死にかけというより休眠中といったところだった。天然物であることを考えると何かがおかしいと思うので一旦♀をコバエシャッタータイニーに隔離して様子を見てみたが、人前で動かないだけでいつの間にかマットに潜っていた。
特に弱っているわけではないので、コバエシャッター小で前述の土のみでセット、マット上に転倒防止用の赤枯れの木片を置いた。今回は恐らく最後のセットになると思うので、♀殺しのリスクはあるがペアで入れてみることにした。
 
12月26日
苦戦中のブルークだが、やはり♀はマットに潜るのはいいがケース側面から見た限りではマットで動いた形跡がまったくない。休眠してしまうのであればマット以前の問題だと思うが、念のため産卵確認をすることにした。
♂は木片の下で休んでいたが、♀はマットの中層部にいた。案の定、卵は確認できず。
♀の色艶から見て特に老いた個体とも思えず、室温も25℃前後でスチーブンスツヤクワガタ(以下スチーブンス)は活発に活動している温度なので、マットが気に入らなかったとしても産卵場所を探し回るわけでもなく休眠するのであれば正直打つ手がない状況。
最後のセットにするつもりだったが、やれることはやっておきたいので再度マットを変更することにした。マットでまだ試していないのはカブトマットくらいしかないので、フォーテックのカブト1番を主体に既存のマット3割混合したもので再度セットすることにした。
正確に言うとカブト1番は目が粗くスチーブンスのセット時に篩で濾して残った目が粗いものをミキサーにかけた後、再び篩で濾したものを使用している。大量に買ったもののスチーブンス3匹のセットで消費して在庫が結構厳しい。
 
12月31日
産卵状況を確認したが、やはり状況は変わらず。
♂はマット上でよくゼリーを食べているが♀は潜ったきりで休眠しているような状況。
既存のカブトマットと初めに使用した内容に近い使用済みマットを半々で再度セットした。マットへの加水もマットを強く握るとジュクジュク音を立てる位に多めにした。
 
2022年1月13日
産卵状況を確認することにした。マットを開けてみたが卵どころかセット時のままの状態で♀は中層くらいでじっとしているという状況だった。♂はマット上でゼリーを食べたり休んだりを繰り返しているので、飼育温度に問題があるとも思えず、ほぼ休眠状態のような♀に困惑するばかり。
残り僅かとなった自己採取のスダジイ由来の赤枯れマットを1割混ぜて再セットした。
 
1月24日
ここ数日♀がゼリーを食べていることが多くなっている。
 
1月29日
産卵状況を確認したが、またまた状況は変わらず。
今度は新たに購入したスダジイ由来の赤枯れマットを5割既存のマットに混ぜたもので再セットした。購入した赤枯れマットは自己採取のものと同じではあるが、自己採取したマットは熟成が進んでいるのかやや粘りがある感じなのに対し、購入したものはサラサラ・パサパサした感じで発酵が浅い感じがした。
雌雄共にまったく衰えを感じさせないのでまだまだチャンスはありそうだ。
 
1月30日
夜9時半頃、部屋の電気を点けると交尾の真っ最中だった。コンディションは申し分なさそうなのでそろそろ産んで欲しい。
 
1月31日
夜、また♀がゼリーを食べてもう無くなっていた。明らかに後食に目覚めた感じなので、もしかしてだが何らかの方法で活動開始前の個体を採集しているのではないかという疑問が出てきた。現在、産卵の望み薄としてコバエシャッター小を使用していたが、中で再セットしてみようかと思う。
 
2月2日
マットを確認してみたが相変わらず卵は見つからなかったが予定通りコバエシャッター中で再セットした。既存のマットに赤枯れマットとツヤクワ系使用済みマット、ヤエマル使用済みマットの混合で、だいたい赤枯れが全体の5割程度になると思う。マットの高さはやや低めの6割にした(ケチっただけ)
赤枯れと発酵マットとの熟成期間が必要な場合は産卵までに時間を要するかもしれない。ペアのコンディションが日毎に良くなってきているという予想外の展開なので気長に飼育していきたい。
 
2月19日
そろそろ産卵状況を確認してみることにした。マット内を入念に探したところ3個の卵を見つけることができた。当初4個得られたと思ったのだが、1個は真っ白なタマヤスデ類の幼体のようだった。赤枯れマットにはよくタマヤスデ類が混入しているので紛らわしい。
得られた卵はプリンカップ中で管理することにした。
ようやく産む気になってくれたのかもしれないので、♀を単独飼育に切り替え、マットは減った分をNマットと赤枯れマット、ツヤクワ類の使用済みマットを等分に混ぜてケース8分目まで補充して再セットした。
 
3月4日
昼過ぎに3個の卵のうち、1個が孵化した。残りの卵も死滅することなく孵化間近のようだ。
♀はマットに潜りっぱなしで且つマット中を動いている形跡が見られるので産卵に専念しているようだ。これまで何度も産卵用のセットを変更して試行錯誤を繰り返してきたが、結局のところマットが悪かったということではなく、♀が活動前の未成熟だった可能性が高い。よって成熟していれば産卵自体はさほど難易度は高くないと思うが、幼虫飼育はBE-KUWA情報によればかなり難しいようなので総合的に判断し五つ星から四つ星に変更した。
 
3月7日
夜10時頃、2個目の卵が孵化していた。
 
3月10日
午後過ぎに3個目の卵が孵化した。これで採卵した3個すべてが孵化したので孵化率は高いようだ。
 
3月12日
♀がマット上を這い回っていることが多くなってきたので、前回の採卵から3週間が経過したこともあり、採卵してみることにした。
結果は5個。予想よりかなり少なかったのが残念ではあるが、うまくいけば8頭の幼虫が得られるのでまずまずの成果と思う。
得られた卵は前回と同様プリンカップ中にセットした。
産卵用マットは熟成度が影響している可能性も考えて、今回は補充等せずに加水のみして続行することにした。
 
3月19日
3/12採卵分の5個のうち、1頭が孵化した。残りの卵も死滅せず期待できそう。
 
3月23日
3/12採卵分の5個のうち、2頭目が孵化した。5個中1個については成長しないまま黄ばんできたのでダメかもしれない。
 
3月25日
3/12採卵分の5個のうち、3頭目が孵化した。
種親の♀はマット上を歩きまわっていたので、追い掛けしようと♂を♀の近くに置いてみたところ、♂がまったく反応せず交尾には至らなかった。
 
3月26日
あまり成長せず黄ばんできてダメかと思っていた卵が孵化した。これで残り1個の卵が孵化すれば孵化率100%となる。
夜、最後の卵も孵化した。これで8頭の幼虫が得られたことになる。幼虫飼育も難しいと思われ、急激なマットの変化には耐えられないと判断し、プリンカップのまま飼育を続行したい。
 
3月29日
♀のケースを見たところ、側面に直径4cm程の円形の坑道が見られた。これはラコダールツヤクワガタでも観察しているが、かなり綺麗な球体の坑道を作って内側のマットの塊に産卵するようである。恐らく酸素の確保と考えられる。
バラ撒き型の産卵方法ではないため、産卵数は少ないかもしれないが、この分だと今後も卵が得られそうだ。
 
4月2日
前回の採卵から3週間が経過したので、採卵することにした。
結果は卵17個に1齢幼虫も1頭得られた。どうやら完全に産卵のスイッチが入ったようだ。
得られた卵は3個のプリンカップ大に6個・6個・5個でセットした。1齢幼虫は500mlクリアボトルにセットした。
マットは産卵用マット・Nマット・赤枯れマットを5:3:2の割合で混ぜたものを使用した。
♀は採卵時ゼリーを食べており、まだまだ元気だが、産卵に使用していたマットが卵と幼虫用に大半を使われてしまったことで、半分は新しいマットで補充したことにより、マットの変化により産卵に影響が出るかもしれない。
 
4月13日
2/19採卵分の幼虫を単独飼育に移すことにして、取り出したところ幼虫が見あたらなかった。1齢幼虫がマットの奥に移動したところまでは観察できていたがその後に死滅してしまったようだ。
一難去ってまた一難である。マットは線虫などの雑虫は発生していないので湿度が合わなかったのかもしれない。
マットは乾燥していないもののややパサパサした感じだった。とりあえず現在卵や一齢幼虫がいるマットについては加水することにした。
孵化までは問題ないが活動開始後に死亡する例は難関種として有名なチャマルでも確認しており、今後の課題となりそう。
 
5月15日
3/12に採卵したプリンカップを開けてみたところ、すべて死滅していた。孵化後しばらく問題なかったことは確認していたので、マットが合わなかったようだ。
 
6月11日
残りのプリンカップ特大3個についても、確認したところすべて死滅していた。このことから飼育可能なマットを作れない限りは累代は困難と思われる。
産卵用ケースもあえて採卵せずに放置しているが、マットが同じである以上は結果も同じと思われる。
 
7月23日
♀は1ヵ月以上マット上に出て来ず、マット内を移動した形跡も見られなくなって寿命で死んだことは確信していたが幼虫が育たないマットである以上、どうすることもできず放置していた。飼育スペースを空ける意味で片付けた。予想通りバラバラになった♀の死骸が出てくるのみであった。
幼虫飼育のノウハウが得られればまた挑戦したい。
PHOTO

♂47mm@
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

♂47mmA
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

♂47mmB
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

♂47mmC
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

♀27mm@
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

♀27mmA
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

交尾@
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

交尾A
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

交尾B
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

産卵用ケース@
(2021/11/24 南カリマンタン産/WILD)

産卵用ケースA
(2021/12/18 南カリマンタン産/WILD)

産卵用ケースB
ダメ元でカブトマットに変更。
(2021/12/26 南カリマンタン産/WILD)

卵@
(2022/2/19 南カリマンタン産/WF1)

卵A
(2022/2/19 南カリマンタン産/WF1)

本種の卵とタマヤスデ類の幼体(左)
同サイズで真っ白なので、見間違えやすい。完全な球体でないのと節があることが分かる。
(2022/2/19 南カリマンタン産/WF1)

プリンカップ内で孵化した1齢幼虫
(2022/3/4 南カリマンタン産/WF1)

♀の産卵痕
♀は球体の空洞を作って中心に産卵するようである。
(2022/3/29 南カリマンタン産/WF1)

卵B
(2022/4/2 南カリマンタン産/WF1)

卵C
(2022/4/2 南カリマンタン産/WF1)

1齢幼虫@
(2022/4/2 南カリマンタン産/WF1)

1齢幼虫A
(2022/4/2 南カリマンタン産/WF1)
 
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