アカマルバネクワガタ | |
学名:Neolucanus swinhoei | |
![]() ♂43.7mm(2021.10.26 台湾産/F2) |
Data | |
和名 | アカマルバネクワガタ 別名(愛称):アカマル |
体長 | ♂:31.7〜53.6mm ♀:32.6〜41.9mm |
分布 | 台湾 |
出現期 | 9〜11月 |
餌 | 樹液 幼虫はシイ類,カシ類の赤腐れしたフレークを食べると思われる。 |
寿命 | 1〜2ヶ月 |
飼育難易度 |
簡単 ★★★☆☆ 困難 ただし、幼虫飼育は難あり。赤枯れマットは必須と思われる。 |
解説 | 台湾に生息するマルバネクワガタの中型種。 上翅は通常光沢のある赤色で基部沿いのみ黒色。ただし、個体差があり、上翅全体が黒化するものも出現する。 ニティドゥスマルバネクワガタ(以下ニチマル)に似ているものの光沢が強く赤味も濃いので美麗種と言えそう。 台湾の低山地から低地に生息し、現地では大量に発生する大普通種とされる。 飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
飼育メモ |
2021年10月26日 ヤフオクで台湾 南投縣 集集大山産(W)F2の成虫ペア♂43.7mm、♀41.7mmを購入した。二日前に入手したニチマルよりも大アゴも大きく、色彩も鮮やかで綺麗な種だった。10月中旬に活動を開始した未使用の新成虫なので、すぐに交尾させた。小一時間して交尾が終わったので、♀のみ産卵用ケースにセットした。 ケースは中プラケース、マットはヤエマルの幼虫使用済みマットとNマット、Uマットを混ぜたものを使用した。 続きを表示11月2日 ♀がマット上に出ていたので2度目の交尾を行った。既に産卵しており、ケース底面から10個の卵を確認できた。 ♀がマット上に出てきてマット上にも卵が一個あったので、産卵するスペースがなくなったとみて、一旦♀をミニプラケで隔離した。明日2つ目の産卵用ケースをセットする予定。 ♂が死んでいた。ミニプラケースで管理していたが、昨日からずっと皿木の下でじっとして休んでいると思っていたので既に死んでいたようだ。 中プラケースでもう1つ産卵用ケースをセットした。♀は元気なので更なる産卵を期待したい。 日中に♀がマット上に出てきていたので、ケース底面を見たところもう2個の卵が確認できた。 最初の産卵ケースの卵が大きくなっており孵化寸前のようだ。マットを少し掘り返してみたところ、中層にも複数の卵が見つかった。卵は撮影後、また埋め戻した。 2つ目の産卵ケースも底面から10個ほどの卵が確認できており、産卵数は非常に多そうだ。幼虫飼育次第では飼育難易度を一つ星にすべきかもしれない。 ケース底面の卵のうち、1個が孵化していた。一部しか見えないものもあるので、他も孵化しているものもあると思う。 日中、♀がマット上を歩いていたが、切れかかったゼンマイのようにスローな動きになっているのでそろそろ寿命が近いようだ。 朝、♀が動かなくなり、辛うじて脚をピクピクさせるくらいの状態になっていた。♂は意外に早く逝ってしまったが、♀でみるとチャイロマルバネクワガタ(以下チャマル)より長く、ヤエマルよりやや短い程度のようだ。♂が短かったのが後天的なものなのか今後の飼育で確認したい。夕方には完全に死亡した♀を確認した。 1ケース目の卵の状況は底面から見える範囲では、だいたい半数が孵化している。このまますべて孵化させてある程度成長したら過密にならないよう頭数によってケースを増やすか大サイズに変更するなどして、現状のマットにUマットを混ぜて飼育する予定。 1ケース目のマットが産卵によって半分以下に縮んでいたため、マット上の皿木や樹皮を取り除いた上で、Uマットで補充した。マットを入れる前に少し既存のマットを掘ってみたところ、1齢幼虫が1頭見つかった。 2ケース目の底面から見える卵が4つ程孵化していた。 1ケース目のケース底面を見たところ5頭の幼虫が確認できた。見えない幼虫も含めると個体数は多いと思う。 現状、2ケース共に複数の幼虫が底面や底面沿いの側面から見えており、問題なく育成できているようである。ただ、外から見る限りでは過密になるほどは見えないので当面はこのまま飼育できそうだ。 1ケース目はマットからぼつぼつと白いキノコが出ては溶けてを繰り返しているようで、マット上も2本ほどキノコが成長しているので取り除いたりしている。 ニチマルでは死ぬ個体も多いようだが本種は大普通種と呼ばれるだけに幼虫飼育も楽そうだ。 1ケース目のマット上にかなり成長したキノコが生えていたので取り除いた。小さいキノコも結構出始めているようで、マットの栄養を取られると良くないのでこまめに取り除く必要がありそうだ。赤枯れの木片から直接生えているキノコも見られたので発生元は自己採取した赤枯れマットと思われる。キノコの菌糸は幼虫にとって栄養分になっている可能性があるので、キノコの生えない2ケース目と今後の飼育で差が出るかも確かめていきたい。 2ケース目のケース底面から2齢幼虫の頭部が確認できた。順調に成長しているようだが、マットの上層部は乾燥気味な半面、底面は湿度過多で部分的に嫌気性バクテリアによるマットの変色も見られるほどなので、加水は時々マット上部を湿らす程度に行っている。 現状ではケース底面に1〜3頭程の幼虫が確認できる程度で過密のようには思えないが、ケース内に何頭いるのか分からず、マットも前述した通り不安定なので近日中に確認して数に合わせて飼育ケースを調整したい。 まずキノコがよく生えていた1ケース目を開けてみたところ、1齢幼虫18頭、2齢幼虫4頭が得られた。ただ、それ以外に1齢幼虫の死骸が2頭見られ、消滅したものは確認できないので当初の産卵状況から考えるとかなり数を減らした可能性がある。 この時点で2齢幼虫2頭と1齢幼虫1頭を800mlクリアボトルで単独飼育、残りはコバエシャッター大にセットした。クリアボトルのマットは大型を狙いたいので既存のマット6割にUマットを追加してみた。コバエシャッター大のほうは既存のマットとマット・Nマットをほぼ等分に混ぜたものを使用した。 次に2ケース目を開けてみたところ、1齢幼虫24頭、2齢幼虫19頭合わせて43頭も得られた。2ケース目のマットは1ケース目より劣化が少なかったからか死骸もなく、成長スピードも早く健康そうだった。 得られた幼虫は2齢幼虫5頭と1齢幼虫2頭を800mlクリアボトルで単独飼育(マットは既存のマット6割にNとUマットを半々混ぜたもの)、残りはまだ36頭もいるため、さきほど19頭セットしたコバエシャッター大に6頭追加し、更に2ケース目のコバエシャッター大をセットし、どちらも25頭ずつの多頭飼育にすることにした。残り5頭(2齢3頭・1齢2頭)は余品として出品予定。 纏めると得られた幼虫は合計で65頭(1齢42頭・2齢23頭)、10頭をクリアボトルで単独飼育、2つのコバエシャッター大に25頭ずつで多頭飼育。 個体No.4〜28の25頭を飼育しているコバエシャッター大のマットがケースの6割ほどに縮んでいたので、リーフの「XLマット クワガタ用」をそのまま上に乗せるようにして追加した。マットを変えたのは単にUマットが売り切れで似たマットを購入したため。もう1つのケースはさほど縮んでいなかったのでそのままにした。縮みが激しかったのは高い場所に設置したほうなので、置き場所による飼育温度の違いかもしれない。 多頭飼育中の2つのコバエシャター大の様子を見ることにした。 1ケース目は産卵用ケースからキノコがよく生えて幼虫の数が少なかった個体を含むケースだが、掘り起こしたところまだ2齢幼虫が複数出てきて、過密でもなかったため、そのまま飼育続行することにした。 2ケース目は3齢幼虫がゴロゴロ出てきたので、過密にならないよう5頭を販売用に取り出した。マットが減った分、Uマットで補充した。すべて掘り起こさなかったので残数は分からないがすべて生きていたとして20頭の多頭飼育となる。 ヤフオクに出品するものがなくなり、寂しくなったので前回見送った1ケース目のコバエシャッター大で多頭飼育しているものから出品することにした。 1齢を中心に25頭入れたものだが、上層部にはまったくおらず中層から下層付近にかけてようやく5頭見つかった。ただ、3齢幼虫は4頭、2齢幼虫1頭だったので3齢幼虫4頭のみ販売に回し、他は掘り出さず飼育続行することにした。 セットした数にしては前回同様過密になっていないので、生存率については不安が残った。 クリアボトルで飼育しているうちの1本にマットがセット時のまま動いた形跡がまったくないものがあり、セット後早いうちに死亡したようで、開けてみると死骸すら見つからなかった。 記録上はコバエシャッター大で20頭ずつ飼育していることになっているので、過密でないか確認してみることにした。掘ってみたところまったく過密でなく探すのに苦労するほどだったので、数を減らしている可能性が高い。 取り出した1頭については800mlクリアボトルで単独飼育することにして、コバエシャッター大は縮んだ分をUマットで補充する程度にした。 もう1個のコバエシャッター大も同様だったのでそのままにした。 単独飼育中のクリアボトル1本の劣化が激しいものがあり、取り出してみるとコバエの幼虫が少し発生していたが幼虫は無事だった。マット全交換による拒食が心配なので、既存のマットから可能な限りコバエの幼虫を取り除き、ツヤクワ飼育済みのマットで補充して飼育続行した。 他のボトルで外から幼虫が確認できないものが2本あったので、開けてみると1本は3齢幼虫で死亡、もう1本は元気な3齢幼虫が出てきた。 特に大型という訳でもないが、順調に大きくなっているようなので、クリアボトルのサイズを1500mlにして、既存のマットにツヤクワ飼育済みマット4割、Uマット1割を追加してセットしてみた。 多頭飼育中のものは長く外から幼虫が見えないので最悪全滅ということもあり得る。特にコバエ等の雑虫が繁殖したわけでもなく3齢にまで育ちながら唐突に死ぬ現象を本種やニチマルで確認しているので、マットの内容に少し問題があるのかもしれない。 幼虫は3齢になってからマットにまったく動きがない状態が続いているので、薄々気付いていたが確認したところすべて死亡していた。やはりマットに課題があることは間違いない。恐らく赤枯れマットの割合を多くするのがよいと思うが、赤枯れマットは高価で経済的に厳しいのが難点だ。 ヤエマルの場合では一般的なマットであってもほっといても羽化してくれることを考えると本種は普通種の割りに幼虫飼育は難しい部類に入ると思われる。 |