ヒメカクスナゴミムシダマシ | |
学名:Gonocephalum terminale | |
中田島砂丘にいた個体(2021.7.31 静岡県産) |
Data | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ヒメカクスナゴミムシダマシ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
体長 | 9.5〜11.8mm | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分布 | 北海道?,本州,四国,九州,壱岐,天草諸島,下甑島 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
出現期 | 5〜10月 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
餌 | 腐植質 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
解説 |
スナゴミムシダマシの一種。 体色は黒色で艶消し状。 前胸背板は幅広く側縁は直線的で後角前で湾曲しない。 前胸背板側縁付近は広く平圧し、内部はやや膨隆する。 上翅は大小2種類の顆粒があり、大きい顆粒から淡黄色の短毛が生える。 本種はカクスナゴミムシダマシに似るが、本種のほうが前胸背板が大きく、体型が太短い。分布域もカクスナゴミムシダマシが北日本に生息しているのに対し、本種では西日本に生息している。 体型はオオスナゴミムシダマシに似るが、本種は毛が短いため、体色が黒っぽい。 ヒメスナゴミムシダマシにも似るが、本種の前胸背側縁は後角前で湾曲しない点で区別できる。 本種は主に西日本に生息し、北海道の記録は疑問視されている。 河川の中下流域の砂地や海浜に生息している。
幼虫の写真は4月24日に同じ河原の石の下にいたもので、別々の石の下から焦げ茶色の本種の幼虫と形は同じだが黒色の幼虫もいた。採集して飼育したところ5月13日に蛹化し、5月22日に羽化した。 蛹化前日は幼虫が砂利上でほとんど動かない状態になっていてそのまま蛹化したが、恐らく自然界では土中で蛹化するのではと思う。 蛹の期間が9日間と意外に短く、5月21日の時点でようやく黄色く色付いてきたので再度撮影するつもりだったが、さほど濃く色付かない状態で羽化し、綺麗なオレンジ色の新成虫を見ることができた。黒色の幼虫のほうは残念ながら死んでしまったので本種かどうかは定かではない。 6月20日の写真は上流付近の畑沿いの石の下にいたもの。本種としては珍しく砂利でなく土壌にいて環境からコスナかと思ったがよく見ると前胸背の隆起や上翅の短毛の状態などで本種であることが分かった。逆に畑よりも川に近い歩道ではコスナが歩いており、完全に混棲状態にあるようだ。 |
PHOTO | |
中田島砂丘にいた個体@ (2021.7.31 静岡県産) |
中田島砂丘にいた個体A (2021.7.27 静岡県産) |
中田島砂丘にいた個体B (2021.7.31 静岡県産) |
本種が隠れていた中田島砂丘の流木 オオスナゴミムシダマシと混生していた。 (2021.7.23 静岡県) |
近似種との相違点 | |
ヒメカクスナゴミムシダマシ 前胸背:側縁付近は幅広く平圧するが内側は膨隆する。側縁は後角前で湾曲しない。 上翅:隆起がなく平坦。大小2種の顆粒があり、大きい顆粒は切断状の淡黄色の短毛が生える。 (2021.7.31 静岡県産) |
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ヒメスナゴミムシダマシ 前胸背:膨隆する。顆粒は大きく不規則な形状をしている。側縁は後角前で湾曲する 上翅:隆起がなく平坦。微細な顆粒があるが疎ら。切断状の淡黄色の短毛が目立つ。 (2021.5.25) |
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オオスナゴミムシダマシ 前胸背:側縁は後角前で湾曲しない。黄褐色のカールした短毛を多数生やす。 上翅:明瞭な条溝がある。微細な顆粒が密にある。黄褐色のカールした短毛を多数生やす。 (2021.7.31 静岡県産) |
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コスナゴミムシダマシ 前胸背:盛り上がらず比較的平坦。微細な顆粒によりザラザラしている。 上翅:隆起がなく平坦。微細な顆粒がある。切断状の淡黄色の短毛がある。 (2021.7.17) |
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ムネビロスナゴミムシダマシ 前胸背:側縁中央が外側に広がり平圧、内側は全体的に弱く膨隆する。大きめの顆粒がある。 上翅:明瞭な点刻列がある。基部中央付近から中央付近にかけて隆起があるか隆条がある。大小2種の顆粒があり、大きい顆粒は黄褐色の短毛が生えるが細く目立たない。 (2001.7.15 静岡県) |