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ヒメスナゴミムシダマシ
学名:Gonocephalum persimile

ヒメスナゴミムシダマシ(2021.5.25)
Data
和名 ヒメスナゴミムシダマシ
体長 7.6〜10.0mm
分布 北海道,奥尻島,本州,粟島,佐渡島,隠岐,淡路島,伊豆諸島(御蔵島,八丈島),四国,小豆島,九州,対馬
出現期 5〜10月
腐植質
解説 スナゴミムシダマシの一種。
体色は黒色で艶消し状。
前胸背板は膨隆し、前角の先端は鋭くなくやや丸みを帯びる。
前胸背板の側縁後方で湾入し、後角は角ばる。
上翅は縦に並んで淡褐色の短毛が生える。
同属のコスナゴミムシダマシに似るが、コスナゴミムシダマシの前胸背板は膨隆せず扁平なのに対し、本種では前胸背板が膨隆することで区別できる。
本種は河川の上中流域の砂地を好む。
 
国内に生息するスナゴミムシダマシ属(Gonocephalum)は基亜属の以下の22種(1亜種)。ただし、最後の4種は記載以降記録がなく、他国の標本が混入した可能性があり、実際には18種と思われる。
和名/学名 分布
オオスナゴミムシダマシ
Gonocephalum pubens
本州,粟島,佐渡島,隠岐,淡路島,四国,小豆島,九州,平戸,壱岐,対馬
ヤエヤマオオスナゴミムシダマシ
Gonocephalum kondoi
多良間島,石垣島,竹富島,上地島,西表島
イオウスナゴミムシダマシ
Gonocephalum adpressiforme
硫黄島,南硫黄島,南鳥島
ヤマトスナゴミムシダマシ
Gonocephalum coenosum
本州(近畿以西),隠岐,淡路島,四国,小豆島,九州,壱岐,五島列島,対馬,下甑島,久米島,慶良間列島,宮古島,来間島,伊良部島,下地島,多良間島,石垣島,竹富島,西表島,鳩間島,波照間島,小浜島,与那国島,尖閣諸島(魚釣島)
センカクスナゴミムシダマシ
Gonocephalum senkakuense
与那国島,尖閣諸島(魚釣島)
タカラヒメスナゴミムシダマシ
Gonocephalum takara
トカラ列島(中之島,宝島),石垣島,西表島,波照間島,与那国島
リュウキュウスナゴミムシダマシ
Gonocephalum okinawanum
トカラ列島(中之島,宝島),奄美大島,徳之島,沖縄島,久米島,粟国島,石垣島,西表島,与那国島
オガサワラスナゴミムシダマシ
Gonocephalum potti
小笠原諸島(父島,兄島,弟島)
ミナミスナゴミムシダマシ
Gonocephalum moluccanum
トカラ列島(宝島),喜界島,奄美大島,伊平屋島,沖縄島,久米島,粟国島,石垣島,西表島,与那国島
シナスナゴミムシダマシ
Gonocephalum klapperichi
本州,伊豆諸島(新島),九州(豊後姫島)
コスナゴミムシダマシ
Gonocephalum coriaceum
北海道?,国後島?,本州,粟島,佐渡島,隠岐,淡路島,伊豆諸島(大島,新島,神津島,八丈島,八丈小島),四国,小豆島,九州,平戸,五島列島,対馬,男女群島,下甑島,黒島,馬毛島,種子島,屋久島,トカラ列島(中之島),奄美大島,沖永良部島,波照間島,石垣島,与那国島
ダイトウスナゴミムシダマシ
Gonocephalum aokii
北大東島
ヒメスナゴミムシダマシ
Gonocephalum persimile
北海道,奥尻島,本州,粟島,佐渡島,隠岐,淡路島,伊豆諸島(御蔵島,八丈島),四国,小豆島,九州,対馬
ヒメカクスナゴミムシダマシ
Gonocephalum terminale
北海道?,本州,四国,九州,壱岐,天草諸島,下甑島
カクスナゴミムシダマシ
Gonocephalum recticolle
国後島,択捉島,北海道,利尻島,奥尻島,本州,佐渡島,淡路島?,四国?,九州?
ムネビロスナゴミムシダマシ
Gonocephalum j. japanum
北海道,利尻島,奥尻島,本州,粟島,佐渡島,隠岐
ムネビロスナゴミムシダマシ(伊豆諸島亜種)
Gonocephalum j. miyakense
伊豆諸島(大島,新島,神津島,三宅島,御蔵島,八丈島)
ホソスナゴミムシダマシ
Gonocephalum sexuale
北海道,本州,淡路島,四国,九州
サワダスナゴミムシダマシ
Gonocephalum sawadai
本州(千葉県,東京都,神奈川県,静岡県)
スジスナゴミムシダマシ
Gonocephalum bilineatum
本州?
ヨコシワスナゴミムシダマシ
Gonocephalum annamitum
四国?
オオメスナゴミムシダマシ
Gonocephalum macrophthalmum
四国?
ホソカクスナゴミムシダマシ
Gonocephalum titschacki
四国?
 
写真は8月29日に河川の上流付近の河原の石の下にいた本種を撮影したもの。撮影しようと三脚の足場を確保するため、そばの石を退けるとスジコガシラゴミムシダマシも見つかった。スナゴミムシダマシ類の同定は難しいが生息環境からも本種であることは間違いなさそうだ。
幼虫の写真は4月24日に同じ河原の石の下にいたもので、別々の石の下から焦げ茶色の本種の幼虫と形は同じだが黒色の幼虫もいた。採集して飼育したところ5月13日に蛹化し、5月22日に羽化した。
蛹化前日は幼虫が砂利上でほとんど動かない状態になっていてそのまま蛹化したが、恐らく自然界では土中で蛹化するのではと思う。
蛹の期間が9日間と意外に短く、5月21日の時点でようやく黄色く色付いてきたので再度撮影するつもりだったが、さほど濃く色付かない状態で羽化し、綺麗なオレンジ色の新成虫を見ることができた。黒色の幼虫のほうは残念ながら死んでしまったので本種かどうかは定かではない。
6月20日の写真は上流付近の畑沿いの石の下にいたもの。本種としては珍しく砂利でなく土壌にいて環境からコスナかと思ったがよく見ると前胸背の隆起や上翅の短毛の状態などで本種であることが分かった。逆に畑よりも川に近い歩道ではコスナが歩いており、完全に混棲状態にあるようだ。
PHOTO

河原にいた個体@
(2020.8.29)

河原にいた個体A
(2020.8.29)

河原にいた個体B
石を捲ったところ。
(2020.8.29)

河原にいた個体C
(2020.8.29)

上流付近の畑沿いの石の下にいた個体@
(2021.6.20)

上流付近の畑沿いの石の下にいた個体A
(2021.6.20)

上流付近の畑沿いの石の下にいた個体B
(2021.6.20)

河原にいた幼虫@
(2021.4.24)

河原にいた幼虫A
(2021.4.24)

蛹@
(2021.5.17)

蛹A
(2021.5.17)

蛹B
(2021.5.17)

蛹C
(2021.5.17)

蛹D
(2021.5.17)

新成虫@
(2021.5.22)

新成虫A
(2021.5.22)

新成虫B
(2021.5.22)

新成虫C
(2021.5.25)
近似種との相違点

ヒメスナゴミムシダマシ
前胸背:膨隆する。顆粒は大きく不規則な形状をしている。側縁は後角前で湾曲する
上翅:隆起がなく平坦。微細な顆粒があるが疎ら。切断状の淡黄色の短毛が目立つ。
(2021.5.25)

コスナゴミムシダマシ
前胸背:盛り上がらず比較的平坦。微細な顆粒によりザラザラしている。
上翅:隆起がなく平坦。微細な顆粒がある。切断状の淡黄色の短毛がある。
(2021.7.17)

ヒメカクスナゴミムシダマシ
前胸背:側縁付近は幅広く平圧するが内側は膨隆する。側縁は後角前で湾曲しない。
上翅:隆起がなく平坦。大小2種の顆粒があり、大きい顆粒は切断状の淡黄色の短毛が生える。
(2021.7.31 静岡県産)

ムネビロスナゴミムシダマシ
前胸背:側縁中央が外側に広がり平圧、内側は全体的に弱く膨隆する。大きめの顆粒がある。
上翅:明瞭な点刻列がある。基部中央付近から中央付近にかけて隆起があるか隆条がある。大小2種の顆粒があり、大きい顆粒は黄褐色の短毛が生えるが細く目立たない。
(2001.7.15 静岡県)

オオスナゴミムシダマシ
前胸背:側縁は後角前で湾曲しない。黄褐色のカールした短毛を多数生やす。
上翅:明瞭な条溝がある。微細な顆粒が密にある。黄褐色のカールした短毛を多数生やす。
(2021.7.31 静岡県産)
 
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