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ノコギリクワガタ
学名:Prosopocoilus inclinatus inclinatus

♂55mm(2008.7.6 静岡県産/WILD)
Data
和名 ノコギリクワガタ
 別名:本土ノコ、水牛
体長 ♂:33〜74mm
♀:25〜39mm
分布 北海道,奥尻島,本州,飛島,粟島,佐渡島,伊豆諸島(大島,利島,新島,神津島),淡路島,隠岐,四国,小豆島,九州,壱岐,対馬,五島列島,下甑島,種子島
出現期 6〜8月  初夏に多い
主にクヌギ,コナラの樹液
寿命 後食開始から約2ヶ月
 1年の休眠期間あり
飼育  産卵
マット産み。正確にはマット中ではなく、マット中のケースの側面や底面、材に沿って産み付ける。埋め込みマットは黒土やクワガタ幼虫飼育に使った完熟の微粒子マットなどが良い。
 幼虫
やや湿度の高めな発酵マットが最も良い。菌糸ビン飼育には向いていなく、湿気が少ないと羽化不全や最悪の場合死亡してしまうので、使う場合はヒラタ向けの湿度の高いものであれば飼育は可能と思われる。
 成虫飼育
秋頃に羽化するがそのまま1年近く休眠する。(温室使用時でも同様。)
休眠時はケースにマットを厚く入れ、温度変化の激しくない場所に保管する。(ただし、温度管理はしないほうがよい)
♀殺しはほとんど無いのでペアリングと産卵は同じケースで良い。
飼育難易度 簡単 ★★☆☆☆ 困難
 非常に簡単ではあるが、幼虫は本種の適したマットでないと死亡することがある。
羽化後の休眠期間の管理にも注意したい。
解説 全国に普通に見られるノコギリクワガタ。
体色は赤褐色から暗褐色まで変異がある。
本種は幼虫期の栄養状態によって成虫の大きさが大幅に異なり、小型個体と大型個体とでは大アゴの形状がまったく異なる。
大型個体では外国産のクワガタにも引けをとらないほど立派な大アゴをしており、人気が高い。
飼育は容易だが、温度管理していても羽化後約1年休眠してしまう。
寿命の長いオオクワガタに比べ、本種は1年休眠するものの2ヶ月ほどと短い。
 
本種はクヌギが豊富な雑木林であれば必ずといってよいほどよく見られ、クヌギを蹴ると振動を感じて落ちてくることが多く、採集法の一つとなっている。
 
南西諸島に分布するノコギリクワガタはほとんどがアマミノコギリクワガタの亜種で、頭楯が二つに分かれる特徴がある。
従来本種に亜種はなかったが、近年6亜種が記載された。
顕著な違いはないが、大アゴの湾曲や光沢に違いがある。
 
国内に生息している本種は以下の7亜種に分けられている。
亜種区分/学名 分布
基亜種
Prosopocoilus i. inclinatus
北海道,奥尻島,本州,飛島,粟島,佐渡島,伊豆諸島(大島,利島,新島,神津島),淡路島,隠岐,四国,小豆島,九州,壱岐,対馬,五島列島,下甑島,種子島
口永良部亜種
Prosopocoilus i. kuchinoerabuensis
口永良部島
黒島亜種
Prosopocoilus i. kuroshimaensis
鹿児島県三島村(黒島)
御蔵島亜種
Prosopocoilus i. mikuraensis
伊豆諸島(御蔵島)
硫黄島亜種
Prosopocoilus i. mishimaiouensis
硫黄島
伊豆諸島亜種
Prosopocoilus i. miyakejimaensis
伊豆諸島(新島,式根島,神津島,三宅島)
屋久島亜種
Prosopocoilus i. yakushimaensis
屋久島
 
トップの写真は7月2日に静岡県のクヌギ林で採集した♂。まだ時期的に早くあまり数はいなかったが、日中にクヌギに止まっている♂を複数見ることができた。
関連リンク  ノコギリクワガタ飼育記
 ノコギリクワガタ写真集
PHOTO

ノコギリクワガタ♂65.5mm
大型個体は大アゴが強く湾曲し、外国産に勝るとも劣らない迫力がある。
(2003.5.3 静岡県産/F2)

ノコギリクワガタ♂55mm
2008/7/2に採集した個体。
(2008.7.6 静岡県産/WILD)

夜間クヌギの樹液に来た♂@
右の個体はコクワガタ
(2015.9.20 静岡県)

夜間クヌギの樹液に来た♂A
(2015.9.19 静岡県)

夜間クヌギの樹液に来た♂B
(2015.9.20 静岡県)

夜間クヌギの樹液に来た中型の♂
(2011.9.6 静岡県)

夜間クヌギの樹液に来た小型の♂
(2011.9.6 静岡県)

ノコギリクワガタ♂41.5mm
(2008.7.2 静岡県)

♂66mm@
大型個体は大アゴが強く湾曲し、外国産に勝るとも劣らない迫力がある。
(2001.9.24)

♂66mmA
(2001.9.24)

黒っぽい♂59mm
赤褐色から黒褐色まで変異がある。この個体は光沢があり、光沢にも個体差があるようだ。
(2002.8.31 静岡県産/WF1)

中型の♂49.5mm
中型個体では湾曲が弱くなる。
(2001.7.3 静岡県産/WILD)

小型の♂39mm
小型個体では大アゴは湾曲せずオニクワガタのようになる。
(2001.9.25 静岡県産/WF1)

小型個体の交尾
(2019.9.4 静岡県)

コナラの樹液に来た♀27mm@
(2008.7.26 神奈川県横浜市)

コナラの樹液に来た♀27mmA
(2008.7.26 神奈川県横浜市)

♀39mm
本種の♀は他のクワガタの♀に比べ、ずんぐりとした卵型の体形をしている。
(2001.10.7 静岡県産/WF1)

♀(36mm〜38mm)
羽化させた♀の中から写真の赤味の強い♀だけに絞り、赤い♂と繁殖させたところ赤味の強弱はあるが、すべて赤い成虫が羽化した。
(2001.8.11 静岡県産/WF1)

♀達
赤い体色の天然個体から生まれた新成虫の♀。
天然個体からでは、体色にバラつきがあった。
(2001.6.8 静岡県産/WF1)

コナラ材に産み付けられた卵
コナラの樹液に来た♀27mmから採卵したもの。
(2008.9.7 神奈川県横浜市/WF1)

卵@
(2008.9.7 神奈川県横浜市産/WF1)

10円玉と卵
(2008.9.7 神奈川県横浜市産/WF1)

卵A
産みたては細長いが有精卵であれば丸く膨らんでくる。
(2001.8.16 静岡県産)


1齢幼虫@
(2008.9.20 神奈川県横浜市産/WF1)

1齢幼虫と十円玉
(2008.9.20 神奈川県横浜市産/WF1)

1齢幼虫A
自然界では朽ちた切り株の下部の土中などに産卵し、孵化した幼虫は切り株の根部を食べる。
(2001.8.16 静岡県産)

2齢幼虫
(2001.12.1 静岡県産)

3齢幼虫
コクワガタに比べ、オレンジ色が濃く、オオクワガタよりも細長い体形をしている。
(2000.10.22 静岡県産/WF1)

3齢幼虫の頭部
(2002.11.2 静岡県産)


(2001.5.13 静岡県産)

羽化直前の蛹
羽化直前は内部が透けて見え、既に大アゴや脚のフセツが確認できるようになる。
(2001.6.2 静岡県産)

羽化
羽化のシーン
(2001.6.3 静岡県産)

羽化中の様子
(2001.6.3 静岡県産)

羽化中の様子
脱皮後、大アゴが伸びていく。
(2001.6.3 静岡県産)

羽化完了
体長66mmの立派なノコギリクワガタになった。

(2001.6.6 静岡県産)
 
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