クロシマノコギリクワガタ | |
学名:Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis | |
♂68mm(2023/7/15 黒島産/CBF1) |
Data | |||||||||||||||||
和名 | クロシマノコギリクワガタ 別名:ノコギリクワガタ(黒島亜種) |
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体長 | ♂:31.0〜69.5mm ♀:25.0〜41.1mm |
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分布 | 鹿児島県三島村(黒島) | ||||||||||||||||
出現期 | 6〜8月 初夏に多い | ||||||||||||||||
餌 | 主にクヌギ,コナラの樹液 | ||||||||||||||||
寿命 | 後食開始から約2ヶ月 | ||||||||||||||||
飼育難易度 |
簡単 ★★☆☆☆ 困難 基亜種と同様。 |
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解説 | ノコギリクワガタの黒島亜種。 本亜種は全亜種中最も光沢が強い。 硫黄島亜種、通称ミシマイオウノコギリクワガタにも似るが、黒島亜種のほうが太く湾曲も強いとされる。 体色は基亜種同様、赤味の強い個体から黒褐色の個体まで変異があるが、頭部と前胸背板は赤褐色で、上翅は黒褐色という他の亜種にはない色彩変異も出現する。 八重山諸島にも黒島があるが、本種が生息しているのは鹿児島県の薩摩半島南西にある黒島である。 生息地の黒島では現在採集禁止となっているが、禁止される以前の飼育個体が出回っている。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2022年8月14日 ノコギリクワガタの黒島亜種の成虫ペアを落札した。 やや競り合ったが手頃な価格で落札することができた。 続きを表示8月16日 明日来ることになったので、予め産卵用ケースをセットすることにした。 ケースはコバエシャッター中を使用し、マットはノコギリ系の幼虫飼育で使用したマットにかなり柔らかくなってしまった大きめのクヌギ材を1本埋めてセットした。 また、♀1匹では心もとないので別の出品者から♀単品を落札した。複数出品されていたが競り合うこともなく安価で購入することができた。産卵用のセットは内容を変えて試したい。 新成虫ペアが到着した。 鹿児島県黒島中里林道産CBF1の♂58.2mmと♀32.9mmのペアで、去年の9月に羽化し、後食開始済みとのこと。 ヤフオクの写真の通り、赤味が強い綺麗な個体だった。 さほど気が荒いように見えなかったのでペアで産卵用ケースに入れることにした。 ♀単品が到着した。CBF2の♀29.5mm、去年羽化で後食済みとのこと。今後、先に購入した♀をAライン、今回入手した♀をBラインと呼ぶことにする。 産卵用ケースのペアは頻繁にチェックしているが深夜に♂がゼリーを食べていたところと、♀だけ僅かな時間だけ歩き回っていたところを見ただけで、両方同時に活動しているところは未だにみていない。場合によってはペアリング用のケースでペアリングさせることも検討したい。 産卵用ケースの底面に2個の卵が確認できた。ペアリングしたのかは不安ではあるが、♂は皿木の下にいたので夜間交尾した可能性はあると思う。 Bラインの♀は試しにコバエシャッター小をペアリング用にセットしてペアリングさせることにした。 まず♂を落ち着かせるために♂だけを入れて数日間環境に慣れさせることにした。 ケース底面の卵が萎んでしまったので、ペアリングしていない可能性がある。 Bラインの♀をペアリング用ケースに入れた。 未明にペアリング用ケースを確認したところ、交尾の体勢ではないもののゼリーを中心に向かい合わせでいることを確認したので、日中に♀を産卵用ケースに入れた。 Aラインの♀はペアリングしていない可能性があるので、再度ペアリング用ケースに入れようと思う。 未明に目が覚めたのでマット上に出ていたAラインの♀を再びペアリング用ケースに移動させた。 深夜に目が覚めたのでペアリング用ケースを確認したところ、♀の上に♂が乗っているところを確認できた。 早朝、♀だけ残っていたので、交尾済みと判断し、産卵用ケースに移動させた。 ♂はBラインの♀の産卵用ケースに入れて同居させることにした。 AラインとBライン共に産卵状況を確認してみることにした。 Aラインのほうはマットから卵が1個も見つからなかった。 Bラインはマットから卵4個得られ、産卵木の表面を少し削ったところ卵が1個見つかった。他に食痕らしきものもあったので既に孵化したものもいる可能性がある。 セット翌日に産卵を確認したはずのAラインの♀がまったく産んでいないのは気になる。どちらもマットを加水して再セットした。Bラインに入れていた♂はAラインに移した。 Bラインを確認したところ、産卵木の下で♀が死んでいた。腹部が分離していたので再セット後早いうちに死んでしまったようだ。 マットからは1個も卵が見つからなかったが、産卵木から辛うじて3個の卵が得られた。 Aラインのほうは未だマットから卵が確認できず、産卵木にも産卵していないか痕はあっても卵がない状況だった。 試しにマットの3割程度をチャマル用に自己採取した土を混ぜてやや多湿気味にして再セットし、♀だけで産卵に専念させることにした。 Bラインの卵が1個孵化した。残りの卵も成長しており、すべて孵化させられそう。思ったより産卵数が少なかったため、Aラインに期待したい。 Aラインの産卵状況を確認することにした。 産卵木はマットに埋まった部分に削った跡があったが、卵を入れる明らかな空間があるものの卵はなかった。 ♀はマットの下層部にいたが、マットから卵は見つからなかった。 明らかに産卵行動はしているものの産卵しない状況のようなので、再度ペアリングをさせたほうがよさそうだ。 再び産卵用ケースに♂を同居させ、使用するマットは既存のマットに新たに購入したHEIWAの「黒土(ふるい通し)」を混ぜてみた。 卵が3個孵化した。 卵は1個を残し、孵化して活動を開始しており、幼虫同士の事故を防ぐため、単独飼育に切り替えることにした。 プリンカップから1齢幼虫7頭が得られ、800mlクリアボトルに篩にかけたフォーテックの「ヒラタ・ノコ1番」でセットした。 Aラインの産卵状況も確認したが、まったく産卵していなかった。黒土を少し追加して再セット、ペアで1週間同居させたので♂を隔離し、産卵に専念させることにした。 並行して飼育中のブッダノコギリクワガタで、マットをフォーテックの「産卵1番」に変更したところ、翌日にはマット底面から卵が見つかったため、本種のマットも変更してみることにした。 産卵1番が残り少なかったため、産卵1番7割、ファブリスノコギリクワガタの産卵に使用した使用済マット3割を混ぜたものを使用した。 産卵木は柔らかすぎではあるが、マットに産むことを期待して変更せずにそのまま使用した。 雌雄共にまだまだ元気だが、今後はペアで飼育することにし、♂を産卵用ケースに入れた。 国産ノコギリでこれほど産まないとは思いもしなかったが、ペアで飼育することで少しでも産卵促進につながればと思う。 9/10に採卵した最後の卵がようやく孵化した。個体によって1か月以上かかることもあるようだ。 孵化後まだ5日ではあるが、順調に成長が始まっているので、他の幼虫と同様に800mlクリアボトルにセットした。 これでBラインのみ8頭となった。Aラインから今後も幼虫が得られないとすれば、♀単品を買わなかったら失敗していたことになるので危なかった。 Aラインの産卵ケースを確認したところ、産卵木も含め卵は見つからなかった。ただ、産卵木にいくつもの産卵痕があり、卵が入る小さな空間と木屑による埋め戻しも丁寧にしていた痕跡が複数見られたため、有精卵を産めてない可能性がある。 ♂と同居してこの状況では打つ手なしなので、飼育スペースの都合もあり、Aラインについては諦めて産卵用ケースを片付けて、デジケースでペアで余生を送ってもらうことにした。 別途♀を購入していたのは正解だった。 記録を取り忘れてしまったが♀は11月上旬に死亡している。 幼虫飼育中のクリアボトルの中にコバエの幼虫が発生してしまっているものがあったため、このボトルのみマット交換をすることにした。取り出してみると成長した3齢幼虫が出てきた。 まだ2本コバエの幼虫が発生しているボトルがあったため、マット交換することにした。 1頭目は薄っすらと♀斑のある3齢幼虫で、2頭目は♀斑は確認できないが頭部の大きさも1頭目とほぼ同じでサイズ的に♀のように見えたので、2頭共にクリアボトルのサイズを500mlにして飼育スペースを節約することにした。 1頭が♀の蛹になっているのを発見した。透明感があるので昨晩蛹化したようだ。 ♂が蛹になっていた。 ♂が羽化した。 成虫を確認している♂1匹と♀3匹について、取り出してみることにした。♂は62mmある文句のない水牛の大アゴ、♀3匹は完品としては1匹で、後翅がはみ出している個体と右中脚フセツが欠けている個体だった。マットは劣化から来る多湿気味の状態で環境が良くなかった可能性がある。 休眠期間は飼育で確認したい。 ♂は7月上旬に後食を開始しており、♀は今日後食を確認した。休眠期間は約2ヶ月のようで1年の休眠期間がある本土産と同種であるものの異なるようだ。 累代飼育を終了するか迷っていたが、殖えてもヤフオクで出せばよいと思い、産卵や幼虫飼育で使用したマットと産卵材を使用してコバエシャッター中で産卵用ケースをセットし、9月に入ってペアで入れてみたところ、ケース底面から複数の卵を見ることができた。今回はかなりすんなりと産卵させることができた。後翅がはみ出した♀は死亡しているので、残り1ペアもセットしてみようかと思っている。 結局、産卵用ケースは2セット作成し、9月中にどちらも複数の卵を確認していたので1ケースについて幼虫を割り出すことにした。 クヌギの産卵木を1本入れていたので割ってみたところ、28頭、マットからは4頭、合計32頭もの幼虫が得られた。マットの底面に複数の卵が見られていたが孵化後に産卵木に食い入ったようだ。初代のペアでは頑張った割に思うように産卵してくれなかったのに、今回はかなり適当だったにもかかわらず成績が良かったのは意外だった。 幼虫は販売して終わりにしたい |