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ツシマヒラタクワガタ
学名:Dorcus titanus castanicolor

羽化させた♂77mm(2020.7.16 対馬産)
Data
和名 ツシマヒラタクワガタ
体長 ♂:31〜81mm
♀:30〜42mm
分布 対馬
出現期 5〜9月
クヌギ,コナラ,シイなどの樹液
寿命 2〜3年
飼育  産卵
材・マットに産卵する。
材は太くやや柔らかめの材が適している。マットに産卵した場合、ケース側面などから卵が観察できることがある。

 幼虫
通常の発酵マットで良い。
マット飼育で十分大型になるが、ギネス級の大型作出には菌糸ビン飼育のほうが有利と思われる。

 成虫飼育
やや気が荒いので、数日のペアリング後、♀単独飼育で産卵させると良い。
飼育難易度 簡単 ★☆☆☆☆ 困難
 マットにも材にも多数産卵する。
♀殺しもあまりない。
解説 国内最大となるヒラタクワガタ。
本亜種の最大の特徴は大アゴが長いことである。第1内歯は本土ヒラタよりも根元にあり、小歯の部分は非常に長い。
体格自体は他の大型種と同等だが長い大アゴのため体長が国内最大となっている。
似た特徴を持つ壱岐産と五島列島産も同じ亜種とされていたが、近年別亜種に分類されている。
生息地の対馬ではチョウセンヒラタクワガタDorcus c. consentaneus)と混生するが、本種のほうが強いため個体数も多い。
夜行性ではあるものの観察した限りでは日中でもごく普通に樹液に集まっていた。
灯火にもよく飛来する。
 
国産ヒラタクワガタ(titanus属)には下記の全12亜種がいる。
和名/学名 分布
ヒラタクワガタ
D.titanus pilifer
本州(山形県以南),伊豆諸島(大島,利島,新島,式根島,神津島,三宅島),隠岐,四国,九州,甑島列島,熊毛諸島(竹島,硫黄島,黒島),種子島,屋久島,馬毛島,口永良部島
ツシマヒラタクワガタ
D.titanus castanicolor
対馬
ダイトウヒラタクワガタ
D.titanus daitoensis
大東諸島
アマミヒラタクワガタ
D.titanus elegans
奄美大島,加計呂麻島,与路島,請島,喜界島?
ハチジョウヒラタクワガタ
D.titanus hachijoensis
伊豆諸島(八丈島)
ゴトウヒラタクワガタ
D.titanus karasuyamai
五島列島
オキナワヒラタクワガタ
D.titanus okinawanus
沖縄諸島
オキノエラブヒラタクワガタ
D.titanus okinoerabuensis
沖永良部島
サキシマヒラタクワガタ
D.titanus sakishimanus
八重山諸島
タカラヒラタクワガタ
D.titanus takaraensis
トカラ列島(宝島)
イキヒラタクワガタ
D.titanus tatsutai
壱岐
トクノシマヒラタクワガタ
D.titanus tokunoshimaensis
徳之島,与路島,請島
 
 
トップの写真は7月14日に対馬の雑木林で樹液に来ていた♂を採集して撮影したもの。非常に大型に見えたが体長は57mmだった。ライトトラップでは58mmの♂や小型の♂、普通サイズの♀が数匹飛来した。コクワガタよりも多い印象を受けた。
飼育記録については飼育メモを参照。
飼育メモ 2019年7月14〜15日
対馬で日中に雑木林で樹液採集や、夜間のライトトラップで得られた♂2匹と♀3匹を持ち帰った。現地ではごく普通に見られ、小型の♂や♀はライトトラップに普通に飛来していた。
 
7月21日
前日にペットショップでクヌギの産卵材2本と「幼虫・成虫両用プレミアムタイプ クワガタムシ専用マット」を購入、翌日プラケース大に加水したクヌギ材2本と購入したマットで産卵用ケースをセット、野外で採集した♀はほぼ交尾済みなので♂による事故を防ぐため、♀のみ3匹を入れた。
 
7月25日
ケース側面から卵が確認できた。
 
8月11日
ケース側面や底面から幼虫も見られるようになってきたので、取り出してみることにした。
マットに埋めてあったクヌギ材の下から♀が出てきて3匹ともに健在であった。クヌギ材は少し削った痕跡が見られる程度でほとんど無傷、マット産みの傾向が強いようだ。マットからは1齢幼虫が10頭、卵は6個出てきた。1齢幼虫は1頭ずつSサイズのプリンカップに産卵に使用したのと同じマットの新品を使用した。
 
8月25日
プリンカップで飼育中の幼虫10頭を菌糸ビンで飼育することにした。プリンカップの幼虫は7頭が2齢幼虫まで成長、3頭はまだ1齢幼虫のままだった。使用した菌糸ビンはヒラタケ菌の800ccのクリアボトルのものを使用した。
プリンカップのマットはまだ使える状態だったので前回採った卵から5頭孵化していたのでそのまま幼虫をセットした。残り1個はまだ卵のままだったが、現時点では生存率100%と生命力の高さを感じる。また、種親のケースでは既に新な幼虫が湧いておりすべて飼育する自信はない。譲ることも可能なので是非という方はお知らせいただきたい。
 
2020年3月8日
間があいてしまったが、菌糸ビンのうち食跡が多いビン4本についてビンの交換を行うことにした。3頭は1400cc、1頭は同じ800ccの菌糸ビンと交換した。幼虫は大分成熟しているように見えた。
 
5月21日
ほぼすべての幼虫が蛹となった。
 
6月2日
1400ccの菌糸ビンの蛹が羽化していた。
 
7月16日
多数の成虫を飼う気力はないが、とりあえず1400ccの菌糸ビン2本について成虫を取り出してみた。どちらも77mmと大型個体だったのでまずまずの成果といえる。
PHOTO

羽化させた新成虫の♂77mm@
(2020.7.16 対馬産)

羽化させた新成虫の♂77mmA
(2020.7.16 対馬産)

羽化させた新成虫の♂77mmB
(2020.7.16 対馬産)

羽化させた新成虫の♂77mmC
(2020.7.16 対馬産)

コナラの樹液に来た♂57mm@
(2019.7.14 対馬)

コナラの樹液に来た♂57mmA
(2019.7.14 対馬)

コナラの樹液に来た♂57mmB
(2019.7.14 対馬)

樹液採集した♂57mm
(2019.7.14 対馬)

コナラの樹液に来た小型ペア
(2019.7.14 対馬)

小型の♂
(2019.7.14 対馬)

ライトトラップに飛来した小型の♂
(2019.7.11 対馬)

落ち葉の下に隠れていた♀35mm@
(2019.7.11 対馬)

落ち葉の下に隠れていた♀35mmA
発見時の状態。
(2019.7.11 対馬)

産卵用ケース
(2019.7.21 対馬産)


7月25日にケース側面から見えていた卵が成長し幼虫が透けて見える。
(2019.8.4 対馬産)

マットから堀り出した卵@
(2019.8.11 対馬産)

マットから堀り出した卵A
(2019.8.11 対馬産)

マットから堀り出した1齢幼虫@
(2019.8.11 対馬産)

マットから堀り出した1齢幼虫A
(2019.8.11 対馬産)

2齢幼虫@
(2019.8.25 対馬産)

2齢幼虫A
(2019.8.25 対馬産)

2齢幼虫B
(2019.8.25 対馬産)

幼虫飼育の様子
(2019.8.25 対馬産)

3齢幼虫@
(2020.3.8 対馬産)

3齢幼虫A
(2020.3.8 対馬産)
 
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