スティーブンスツヤクワガタ(南スラウェシ中部亜種) | |
学名:Odontolabis stevensi mamaesaensis | |
![]() ♂71.4mm(2022/9/21 スラウェシ島産/WILD) |
Data | |||||||||||
和名 | スティーブンスツヤクワガタ(南スラウェシ中部亜種) 別名:スチーブンスツヤクワガタ(南スラウェシ中部亜種),ママサエンシス |
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体長 | ♂:45.2〜80.1mm ♀:39.2〜42.1mm |
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分布 | 南スラウェシ州中部 | ||||||||||
餌 | 樹液 幼虫は発酵が進んだマットを食べる。 |
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寿命 | 約1年 | ||||||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★★☆☆ 困難 | ||||||||||
解説 | スラウェシ島に生息するツヤクワガタの一種。 スティーブンスツヤクワガタの南スラウェシ州中部に生息する亜種で、他の亜種に比べ光沢が強く、上翅の側縁沿いに細めの黄褐色の帯がある。 長歯型の大アゴの内歯は先端寄りに出る。 サンギール諸島亜種程ではないが本亜種も流通量が少なく、高価な部類のツヤクワガタである。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ@ |
2022年5月21日 スティーブンスツヤクワガタの亜種(mamaesaensis)が出品されていたので、落札した。サンギール産程ではないもののかなりの高値だった。 黒一色の基亜種と三色のサンギール諸島亜種を飼育しているので、更に欲を出してしまった感じであるが、本亜種は大アゴも含めた光沢と安定して出る側縁部の黄褐色の細めの帯が魅力的である。美麗種としてはサンギール諸島産ではあるが、長歯型の内歯の位置は個人的には基部寄りよりも先端付近に位置するこの亜種のほうが形が良いと感じている。 続きを表示5月22日 まだ到着日は決まっていないが、今のうちに産卵用ケースをセットしておくことにした。 コバエシャッター大を使用し、マットは篩にかけたフォーテックのカブト1番とNマットを主体に、基亜種の産卵用に使用した使用済みマットをレンジでチンしたものと赤枯れマットを少々混ぜたものを使用した。 今回もまずは交尾させずに産卵させたいと思う。 天然の大型ペア(♂75mm・♀40mm)が到着した。スラウェシ島中南部ママサ産で5月関西国際空港通関正規直輸入品との事。 どちらも特大プリンカップに入れられていたが、♀はプリンカップ内部でブンブンと飛ぶほど元気で、撮影には注意を要した。 ただ、♀は右大アゴ先端部がかなり擦り減っている個体でどれだけ卵を持っているのかは少々心配ではある。♂は実物をみるとツヤの強さは一目瞭然であった。写真だとなかなか伝わってこなかったが、テカテカ感があり特徴的な亜種と感じた。 早速♀のみを産卵用ケースに入れて産卵させることにした。 夜、雌雄どちらも活動していたので♀を♂が止まっている皿木に置いて観察したところ、交尾寸前のところまでいったが、♀が♂の懐に入りすぎたのが悪かったのか♂が怒りだして挟もうとしたため、寸前で引き離した。 様子を見つつ、今後も何度か試してみたい。 ♂がじっとしていると思ったら死んでいた。寿命の場合だと少しずつ衰えていくと思うが突然死んだ感じだった。特に餌切れや乾燥はしていなかったので謎である。 並行して産卵セットをしているブルマイスターツヤクワガタの産卵用マットが再発酵して熱を持っていたこともあり、本種についても気になって確認したところ、熱は持っていないが乾燥が進んでおり、パサパサした状態となっており卵も見つからなかったため、再度加水して再セットした。 ♀が死んでいた。去年買ったサンギール亜種が100個以上産卵した上に未だにペアで元気にしているので本亜種の寿命の短さが気になるところ。亜種による違いなのかハズレを引いてしまったのかは不明である。 マットの状況から産卵の期待薄。 その後、産卵を確認できなかったため、飼育終了となった。 入手できる3亜種はすべてクリアしたいので次回入荷があればリベンジしたい。 |
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飼育メモA |
2022年9月16日 比較的多産のスティーブンスではあるが、本亜種については前回惨敗だったので、リベンジすることにした。 今回は競り合うこともなく前回の価格の4分の1以下で落札することができた。 続きを表示9月17日 まだ到着日は決まっていないが、今のうちに産卵用ケースをセットしておくことにした。 コバエシャッター大を使用し、マットは以下の内容とした。 ・カブト1番:2割 ・ツヤクワ幼虫に使用したマット:4割 ・Uマット1.5割 ・Nマット1.5割 ・HEIWAの黒土(ふるい通し):1割 ・赤枯れ:少量 今回は昨日購入したダールマンツヤクワガタのセットと同様にHEIWAの黒土というものを使ってみた。割合はあくまで体感なので実際には1割も使用していないかもしれない。粒子が粉末状の黒土を使用することで産卵時にマットを固めやすくする効果が期待できると思っている。 天然個体なので交尾済みと思われるので♀を単独で産卵用ケースに入れた。 ♂はコバエシャッター小で管理、今後の産卵状況次第ではペアリングさせたい。 成虫ペアが到着した。中南部スラウェシ ママサ産で♂71.4mmと♀44mmの野外採集品との事。 今回のペアは非常に元気がよく、本亜種の特徴である光沢がよく出ている個体だった。 ♂は威嚇するからまだ撮影は楽だったが、♀は元気が良すぎて一瞬でも止まることがなく、ひたすら走り回るため、高速シャッターで何とか撮影したほどだった。 台風14号の影響で撮影中にどしゃぶりの雨にあってしまったが、ギリギリ撮影を済ませることができ、室内で産卵用ケースに♀をセットした。 マットに混ぜたカブト1番にアメリカミズアブが少し産卵させてしまったようで、ゼリーにウジが蠢いていたので、マットを取り出してみることにした。 マットからはウジは発見できなかったが、卵がまったく見つからなかったので、マットを再作成することにした。 粘度が足りてない感じだったので、ツヤクワ幼虫に使用したマットと黒土を増量し、赤枯れも少し補充した。 産卵状況を確認したが、まったく産んでいなかった。マット底面近くまでよく潜っていたので期待していたのだが、マットが気に食わないのか産んでくれないようなので、試しにカブト1番を少し混ぜて再セットした。 ツイッターで飼育経験のある方からもこの亜種は産みが悪いとの情報を頂いた。生息環境の違いなのか亜種によってマットを調整する必要がありそうだ。 産卵状況を確認したが今回もかなりマット底部まで潜っていたにも関わらず、卵は確認できなかった。 今回は既存のマットに黒土と赤枯れマットを更に混ぜ、菌糸ビンの食いカスも多少混ぜてみた。 産卵状況を確認したが今回も状況は変わらずであった。 今回は更に黒土を増量すると共に自己採取した土を1割程混ぜてみた。 深夜0時過ぎにペアリングを試してみることにした。 ♂を産卵用ケースの♀のそばに置いたところ、♀に反応し体を上下にカクカクと動かす行動は見られたものの歩き出して交尾に至らなかったが、新しいゼリーを置いてみたところ、♂がゼリーを舐め始めたので、♀を近くに移動させてみるとかなり長時間一緒にゼリーを舐めていたのでそのまま30分程様子を見続けるとようやく交尾に至った。交尾の写真も撮りたいので交尾している状態で5分程待ってから蓋を開けて撮影した。 その後数分で♀が歩き出して交尾が終了したので、恐らく交尾は成功していると思うが特に精包が出るようなことはなかった。もしかしたら交尾していない個体だった可能性もある。 スティーブンスツヤクワガタの交尾自体見るのは初めてで、2亜種で以前何度か挑戦し、上下にカクカクと反応するもののなかなか交尾に至っていなかったが、今回ようやく成功させることができた。ツヤクワガタの中でも本種は時間をかけないと交尾してくれないようで、同居させるのも手ではあるが♀殺しの危険があるので、時間がないとなかなか難しい。 産卵状況を確認したが、卵は見つからなかった。亜種が異なるだけでこれほど苦戦するとは思っていなかった。 今回は少しカブト1番を混ぜた上でより水分多めでセットした。 日中に♀がマット上にいるので2回目のペアリングをさせることにした。 ♂をそばに置いてしばらくそっとしておくと今回は結構時間がかかったが20分位してようやく交尾を開始した。 今回は交尾の邪魔をしないようそっと遠くから見守る程度にしていたが20分以上経過したので、撮影も行った。交尾開始から30分強でようやく♂が交尾器を抜き交尾が完了した。 今回は交尾器も観察したが、交尾器と同時に出てくる精包はマルバネ系や他のツヤクワで見られるような鞘のような明確なものではなく、原型をとどめないような柔らかい膜のようなものであった。 産卵状況は未だに変化なし。土化しすぎもいけないかと思い、マットを既存のマットにツヤクワガタの幼虫使用済みマットとNマットを混ぜたもので再セットしてみた。 相変わらず産卵していなかったので、赤枯れマットを少し混ぜてみた。ただ、♀がかなり衰えているようなのでこれで産まなければ諦めるしかない。 |