ダールマンツヤクワガタ | |
学名:Odontolabis dalmanni dalmanni | |
♂68mm(2023/7/8 スマトラ産/WF1) |
Data | |||||||||||||||||||||||
和名 | ダールマンツヤクワガタ 別名:キンケツヤクワガタ |
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体長 | ♂:44.1〜82.0mm ♀:42.2〜48.6mm |
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分布 | ミャンマー南東部,タイ南西部,マレー半島,スマトラ,ボルネオ,シンケップ島,リンガ島,ナツナ諸島,ラウト島,タレンパ島,カリマタ島 | ||||||||||||||||||||||
寿命 | 約1年 | ||||||||||||||||||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★☆☆☆ 困難 | ||||||||||||||||||||||
解説 |
ダールマンツヤクワガタの原名亜種。 大アゴは湾曲せず真っすぐに伸びるがあまり発達せず、中歯型止まり。 本亜種のみ前胸背板と上翅に黄褐色の微毛を生やすため、キンケツヤクワガタの異名がある。♀は無毛。 普通種で入手しやすい。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2022年9月14日 ヤフオクでアリストから本種のペアを落札した。 8/14に入札した時は3ペアのみで高額になってしまったため諦めていたが、今回は多数の入荷で即決で安価で購入することができた。 ダールマンツヤクワガタは亜種インターメディアツヤクワガタのみ100mmを超える大型種だが、他の亜種は大アゴの発達も悪く中途半端なイメージが否めず好きになれないが、その中でも唯一金色の微毛が生えるという特徴的な基亜種はブリードすることで綺麗な新成虫を拝めることができるかもしれないと思い、ブリードしてみることにした。 続きを表示9月17日 成虫ペアが到着した。インドネシア・スマトラ・ベンクール産の野外採集品、♂69mm、♀51mmとのこと。出品されていた中では最も大型だったが短歯型のようだった。 台風の影響で明日から長期間雨の予報だが、天気の良い前日に撮影することができて運が良かった。 撮影を済ませて早速産卵用ケースを作成することにした。 ケースはコバエシャッター大を使用、マットは以下の配分のものを使用した。 ・カブト1番:3割 ・ツヤクワ幼虫に使用したマット:6割 ・Uマット1割 ・Nマット1割 ・HEIWAの黒土(ふるい通し):1割 今回は新しい試みとしてHEIWAの黒土というものを使ってみた。割合はあくまで体感なので実際には1割も使用していないかもしれない。粒子が粉末状の黒土を使用することで産卵時にマットを固めやすくする効果が期待できると思っている。 天然個体なので交尾済みと思われるので♀を単独で産卵用ケースに入れた。 ♂はコバエシャッター小で管理、今後の産卵状況次第ではペアリングさせたい。 セット後、♀はまったくマットに潜っていない。もう少し様子を見て産まないようであればマットの内容を再考したい。 やはりまったく潜る気配がないので、マットを再調整することにした。 マットを取り出してみたところ、湿度や粘度に問題はないように思えたが、Nマットとカブト1番を加えてセットし直している最中に卵を発見した。 端から産んでいないと思い込んでいたので、最初の1個を発見した時は偶然産んだのかと思い250ccのプリンカップにセットしたが次々に出てきて、普通に産卵していたようだ。得られた卵は250ccのプリンカップに7個、120ccのプリンカップに5個セットした。 マットを広げた際に見つからなかった理由は小さな団子状に固められたマットに1個ずつ産卵されており、崩さないと出てこなかったからであった。 産卵していたことがまったくの予想外だったが、恐らくあまり潜らずにマットを固めて産卵していた可能性があると思う。 マットの再調整だけのつもりだったので、あまり時間が取れず小さめのプリンカップを使用してしまったので、時間がある時に大きめのプリンカップに移すことも検討したい。 12個の卵を特大プリンカップに移した。 卵が2個孵化した。 産卵用ケースのマットも♀によってガチガチに固められており、かなり産卵していると思われるので採卵することにした。 マットから22個の卵と孵化直後と思われる1齢幼虫1頭が得られた。 卵は2個の特大プリンカップに11個ずつセット、1齢幼虫は500mlクリアボトルで単独飼育とした。 ほとんどの卵が孵化したので、すべての特大プリンカップの幼虫について単独飼育に切り替えることにした。 1個目のプリンカップは12個卵を管理していたつもりだったが、13頭の1齢幼虫が出てきたので産卵用マットに混じっていたようだ。 合計31頭の1齢幼虫が得られ、まだ孵化していない卵は2個のみで、これが孵化しなかったとしても孵化率は88%と非常に高かった。 1齢幼虫は500mlクリアボトルで単独飼育し、マットはプリンカップ毎に以下のように変えてみた。 ・ツヤクワ使用済みマット7割:カブト1番2割:産卵用マット1割 ・ツヤクワ使用済みマット5割:Uマット2割:Nマット2割:産卵用マット1割 ・カブト1番5割:ツヤクワ使用済みマット3割:Nマット1割:産卵用マット1割 産卵用ケースはまた♀によってマットがガチガチに固められていたので、採卵することにした。 合計18個の卵が得られ、2個の特大プリンカップに9個ずつセットした。マットは産卵用マットに2割ほどカブト1番を混ぜたものにした。 産卵用マットは少し減ったが補充しなかったのでケースの6割程度の高さになった。 採卵しようと産卵用ケースを確認したところ、♀がマット上で死亡していた。マットから卵は見つからなかった。 幼虫の状態を確認したところ、順調に成長しており2齢幼虫となっていた。 孵化した幼虫を単独飼育に切り替えることにした。 10/21に卵のままだった2個についても無事に孵化して1齢幼虫となっていた。 残りは特大プリンカップ2個に9個ずつセットしていたものだが、1個目は1齢幼虫8頭と卵1個、2個目は1齢幼虫5頭で4頭は死滅したようだった。 幼虫は500mlクリアボトルにマットはカブト1番4割、ツヤクワ幼虫飼育で使用したマット6割にしてみた。 これで幼虫は47頭となった。 カブト1番を混ぜたマットのうち、後半のボトルでかなり菌糸が回って白っぽくなっていたので、生存確認したところマット上で死亡している幼虫が複数見られ、生きている幼虫もほとんど成長していないようだった。 生き残った1齢幼虫は500mlクリアボトルに3頭ずつ産卵用マットとツヤクワ幼虫使用済みマットを半々に混ぜたものでセットした。カブト1番は栄養価が高いため、混ぜる割合は少ないほうがよさそうだ。 飼育中の幼虫のうち16頭について、ボトルをサイズアップすることにした。 予想に反し、9/28採卵分の幼虫6頭が2齢幼虫(1頭死滅)、10/8採卵分の10頭は9頭が3齢幼虫、1頭のみ2齢幼虫だった。 マットの影響だとすれば、カブト1番よりUマットのほうが適している可能性がある。 比較的頭部が大きい2頭については1頭は3200mlクリアボトル、もう1頭は2300mlクリアボトルにセットした。残り13頭はすべて1500mlクリアボトルにセットした。 使用するマットは既存のマットに近い内容にしたが節約するため、ノコギリクワガタ類の幼虫使用済みマットも混ぜた。 去年ノコギリクワガタ類の幼虫使用済みマットを混ぜたボトルにコバエの幼虫が発生してしまっていたのでマット交換することにした。ボトルは4本あるが、1本は1/3に既に交換済みで残り3本について交換した。 幼虫はどれも3齢に加齢し、順調に大きくなっており、特に大きめの1頭については頭幅も大きめだったので♂と判断、クリアボトルを2300mlに変更した。マットは全交換となるので拒絶しないようツヤクワ使用済みマットを主体にUマットを混ぜたものにした。 種親の♂が死亡した。 1ヶ月程前から複数のボトルで繭玉作成による変色らしきものを確認していたので、そのうちの1本を確認してみることにした。 非常に広い範囲に空洞部分があり、変色部の上部を慎重に削っていくと♀の蛹を確認することができた。幼虫期間が4ヶ月程と異常に短いので半信半疑だったが、卵から成虫までのサイクルは約半年ということになるようだ。 3/11に確認した♀の蛹が羽化した。 2300mlクリアボトルの繭玉も確認したところ、前蛹のようだったので、開けた窓をマットで塞いで蛹化を待つことにした。 4/13に確認していた前蛹を再び確認したところ、♂の蛹になっていた。長歯型のない本種としては長めの大アゴのようだった。 4/11に羽化した♀はそろそろ活動を開始する時期だと思い、取出してみることにした。とても光沢が強く、上翅は若干赤味を帯びているところが印象的だった。 5/2に確認していた♂の蛹が羽化した。 羽化した♂を取り出してみることにした。体長は61mm。かなり泥が付着していたので歯ブラシで取り除くと微毛の生えた上翅が確認できた。♀は今のところ3匹取り出しているが、まだ蛹のものもあるようで、雌雄の羽化ズレはあまりないようだった。 昨日、活動を開始しているように見える♂がいたので、ゼリーを入れておいたら後食を確認した。 唯一3200mlで飼育している♂を取り出してみることにした。6/10に繭玉に少し窓を開けて蛹であることを確認していたが、そこそこ大きな♂の成虫になっていた。 体長は68mmと種親に1mm及ばなかった。他のツヤクワガタに比べるとマットの許容範囲は広いように感じるので、もう少し栄養価の高いマットを与えるとよいかもしれない。 |