ラテラリスノコギリクワガタ(スラウェシ亜種) | |
学名:Prosopocoilus lateralis lorquini | |
♂56.5mm(2023/5/27 スラウェシ島産/WF1) |
Data | |||||||||||||
和名 | ラテラリスノコギリクワガタ(スラウェシ亜種) | ||||||||||||
体長 | ♂:25.2〜55.7mm ♀:23.2〜28.8mm ※ 飼育では59.8mmの記録がある。 |
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分布 | スラウェシ | ||||||||||||
餌 | ニレ科,マメ科の樹液 幼虫は朽木を食べると思われる。 |
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寿命 | 約半年 | ||||||||||||
飼育難易度 | 簡単 ★☆☆☆☆ 困難 | ||||||||||||
解説 | ラテラリスノコギリクワガタのスラウェシ亜種。 中型のノコギリクワガタで頭部と前胸背は暗赤褐色。 上翅は各亜種で模様がやや異なり、本亜種は上翅肩部から翅端にかけてU字状に黄色部があり、黄色部の内側は太い黒色の帯で縁どられ、会合部沿いは暗赤褐色。 さほど人気のある種ではないが、本亜種は流通量が多く、安価で出回っており、入手しやすい。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2022年8月13日 アリストからインドネシア・スラウェシ島・パロロ・パル産のラテラリスノコギリクワガタのペアを落札した。 今年の1月にも落札しているが、発送前に死亡し入手できていなかったので、再度落札した。 本種は特に大型になるわけでも珍品でもないのだが、ビソンノコやサンギール産スチーブンスツヤクワガタのような三色の上翅が綺麗な亜種で、値段も安価なので購入することにした。 続きを表示8月14日 天然個体なので、交尾させずに♀だけで産卵させるため、予め産卵用ケースをセットしておくことにした。 フォーテックの産卵1番というマットでビソンノコやフルストルファーノコの産卵に成功しているが、今回は大量に出たノコギリクワガタの幼虫飼育に使用したマットを使用した。 ケースはコバエシャッター中、前述のマットに小さめのクヌギの産卵木を1本埋めた。 ペアが到着した。インドネシア・スラウェシ島・パロロ・パル産の野外採集品で♂50mm・♀29mmとのこと。 中歯型に近い短歯型といったところで、体型も太い印象を受けた。♀は♂に比べて光沢が強く、色鮮やかで美しかった。 早速、セットしておいた産卵用ケースに♀だけ入れた。 産卵用ケースの♀は潜ったきりだが、マットの下層付近を動き回った跡が見られるのでマットに産卵している可能性がある。 ♀は産卵用ケースに入れて以来、マットに潜ったきりでゼリーすら食べに来ない状態が続いている。外から見た限りではマット下層部を活発に移動しているようなので産卵行動であることはほぼ間違いなさそうだ。 産卵状況を確認することにした。 マット上には複数の縦穴があり、マット下層部にも縦穴が目立ったが、マットからは卵は確認できなかった。 産卵木はマットに接した部分のみ産卵痕や幼虫の食痕があり、マットとの境に1頭、産卵材の表面近くに3頭の1齢幼虫が得られた。♀は産卵木の裏にいて元気だった。 卵が見つからなかったということはセット後早いうちに産卵してそれ以降はほとんど産卵していないと思われる。 少なくともこのセットではマットには産まず、材にしか産まないようだ。産卵に適した材があればもっと産卵していたと思われるが、たくさん欲しいわけではないので、産卵木は追加せず、現在の産卵木を上下反転させて再度セットしてみた。 得られた幼虫は800mlクリアボトルにフォーテックのヒラタ・ノコ1番(以下ヒラタ1番)で単独飼育することにした。 ブッダノコギリクワガタで産卵1番を使用した途端にマット底面に産卵したこともあり、本種もマット次第でマットに産む可能性が考えられるため、試しにマットを変更してみることにした。 現状のマットからは産卵木からこぼれたと思われる1齢幼虫が1頭見つかり、産卵木の表面近くを削ったところ3頭の1齢幼虫が出てきた。 産卵木はそのまま使用し、マットは産卵1番とファブリスノコギリクワガタの産卵に使用した使用済みマットを半々に混ぜたもので再セットした。 得られた幼虫は他の幼虫と同様に800mlクリアボトルにセットした。これで幼虫は8頭となった。 飼育中の8頭の内、2頭のマットにコバエの幼虫が発生してしまったのでマット交換をすることにした。 既に3齢幼虫になっていた。 種親はペア共に依然元気で、幼虫も沸いている状況だが飼育スペースに余裕がなく、しばらくは放置するしかない。 コバエの幼虫が発生しているボトルがもう1本あったので、掘り出してみるとなんと♀の蛹が出てきた。ボトルを逆さにしてとんとんと叩いてマットと一緒に出てきたので死ななければよいのだが、9/11に1齢幼虫で飼育開始して僅か3ヶ月で蛹化するとは思ってもみなかった。 蛹はマットで作成した人工蛹室で蛹化させることにした。 人工蛹室で管理していた♀の蛹は死亡してしまった。コバエの発生による栄養不足だった可能性がある。 かなり放置していた産卵用ケースの幼虫を割り出すことにした。材とマットから12頭の1・2齢幼虫が得られ、1頭はマットから取り出す時に潰してしまった。幼虫は孵化して日が浅いものも見られたので依然として産卵している可能性があり、種親も元気で♀は産卵木の中に穴を開けて入っており、芯に近い部分は硬くて割れなかったのでそのままにしておいた。 飼育中の幼虫についてもマットの食いが目立つ3つのボトルのマット交換をすることにした。2頭は♂と思われ、かなり大きく成長していた。1頭は小さな♀斑が確認できるが♀としては大きいのでボトルのサイズは雌雄ともに現状の800mlとした。 本種は飼育が容易で殖やす意義を感じないので、今回の目標は長歯型の作出としたい。 ♀が羽化した。去年の10/10に1齢で採取した個体だが、たった3ヶ月で羽化まで行くとは思っても見なかった。種親もまだ元気な状態である。 1/9に羽化した♀がそろそろ羽化から1ヶ月弱になるので取り出してみることにした。まだ蛹室内で休眠していたが取り出すと活発に歩き出して元気な個体だった。体長は29mmで種親と同じサイズだった。 蛹になっている♂も1匹確認しているが種親と同じ短歯型のようだ。 ♀が後食を開始した。1/9に羽化した個体なので休眠期間は2ヶ月のようだ。 羽化を確認しているクリアボトル6本について取り出してみることにした。♂4匹、♀2匹で♂は残念ながら長歯型は出ずすべて約51mmの個体だった。 ギコギコ音を立てているボトルがあったので確認すると長歯型の♂がマット上に出ていた。ブリード自体は非常に簡単でいくらでも増やせる分、飽きも早く今後はブリードすることはないと思っていたので諦めていた長歯型が出てくれてよかった。 |