ファブリスノコギリクワガタ(スラ・ハルマヘラ亜種) | |
学名:Prosopocoilus fabricei takakuwai | |
長歯型の♂79mm(2023/5/26 タリアブ島産/CB) |
Data | |||||||
和名 | ファブリスノコギリクワガタ(スラ・ハルマヘラ亜種) 別名:ファブリースノコギリクワガタ(スラ・ハルマヘラ亜種),ファブリスノコギリ・タカクワイ,ファブリースノコギリ・タカクワイ |
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体長 | ♂:30.5〜83.7mm ♀:34.1〜39.3mm |
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分布 | スラ諸島(マンゴレ島,タリアブ島),ハルマヘラ島 | ||||||
寿命 | 約6ヶ月 | ||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★☆☆☆ 困難 | ||||||
解説 |
インドネシアに生息するノコギリクワガタの美麗種。 頭部はほぼ黒褐色で前胸背板は左右のみ黄褐色。 ♂は光沢が鈍く、上翅は全体的に黄褐色で中央から翅端近くまで黒色紋がある。 ♀は光沢が強く、上翅は全体的に黒褐色で側縁のみ黄褐色で縁どられる。 本種は2亜種に分けられ、本亜種は基亜種に比べ、大型となり、♂では大アゴの先端付近がより強く湾曲することや、上翅の黒色紋が小さいなどの特徴がある。 色彩が美しく、大型にもなるということで外国産ノコギリクワガタの中でも特に人気が高い。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2021年11月30日 阿古谷オオクワ園より新成虫ペアが届いた。♂は10月♀は5月に羽化となっており、かなりズレがあるので♂が交尾可能になるまで♀が持つか心配。 太い枝にペアで置いて日中長時間放置してみて時々チェックしていたが、2匹とも微動だにしなかった。♂の羽化後2カ月しか経っていないこともあり、しばらくプラケースミニで個別に飼育することにした。 続きを表示2022年1月4日 一向に♂が活動を開始しないので、交尾が間に合わなかった場合を考え、ネットオークションで♂と同じ10月羽化の♀が出品されていたので落札した。本当は活動開始している♂単品が欲しかったが、見つからなかったので♂に合わせて♀にした。 ペアで購入していながら羽化ズレのため少々勿体なかったが、入手元及び累代数が異なる同産地別血統で掛け合わせることができるため、今後の累代には有利と思う。 追加の♀が到着した。種親は♂84mm・♀40mmで、CBF1とのこと。♀の写真は撮影していることと、休眠中なので撮影は控えてそのままコバエシャッターミニで休眠させることにした。 以後、系統別に最初の♀はAライン、追加で購入した♀はBラインとする。 ♂がようやく後食を開始した。じっくり成熟を待ちたいところだが♀の寿命も気になるのでひとまず一週間程経過したらペアリングを試してみたい。 ペアリング用にコバエシャッター小をセットして、まずは♂のみ入れて環境に慣れさせることにした。 産卵用ケースもあらかじめコバエシャッター中で作成した。マットはフォーテックの産卵一番を使用し、硬すぎず柔らかすぎずのクヌギの産卵木を埋めてセットした。 ♂はその後、ケース内で飛昇するほど活発に活動していたので、ペアリングできるのではないかと思い、♀を入れてみた。しばらく観察してみたものの特に♀に興味を示すこともなく歩き回っており、気が荒いような素振りも見せなかったのでしばらく同居させることにした。 日中はずっと♀がゼリーに頭を突っ込んで夢中で食べていた。 夜、部屋の電気を点けたところ、交尾している最中だった。完全に合体していたが、しばらくして♂が交尾を止めて♀の匂いを嗅ぐような体勢をしていた。仲が良さそうなので、まだ離さずこのまま明日まで同居させることにした。 朝、飛ぶような音が聞こえたので確認するとゼリーを食べ尽くし、雌雄共に餌場から離れて歩き回っていた。♀はドン引きするレベルの食欲でゼリーのカップに一滴の水分すら残っていなかった。 これでペアリングは十分と判断し、♀を用意していた産卵用ケースに移動させた。追加♀を買う必要はなかったかもしれない。 ♀は産卵用ケースに入れて以降、ほとんどゼリーを食べずにケースの底面付近を動き回っている状態が続いている。恐らく産卵しているのではないかと思うが、今のところ外から卵は確認できていない。 セット以来♀はゼリーも食べずマット底面を中心に潜りっぱなしの状態なので産卵しているようだが、今日初めてケース底面から一個の卵が確認できた。正確には二個だが一個は明らかに潰れていた。産卵後に潰してしまったようだ。 1/7に購入したBラインの♀34.5mmが活動を開始した。このまま1か月程後食させて、成熟してからペアリングしたい。別血統によるF1作出というメリットがあるので、こちらのBラインの血統を本命にしたい。 昨日からBラインの♀が活動開始したので撮影してみたのだが、写真を見比べると一目瞭然でBラインの♀のほうが赤味が強く綺麗だった。ペアリングが間に合わなかった時の保険だったが良い血が得られそうで楽しみになってきた。 最近♂の動きが鈍くポックリいかないか心配になってきたので少々早いがペアリングすることにした。♀を♂のいるコバエシャッター小に入れた。 交尾は確認できていないが、夜間は雌雄共に活動していたので、交尾済みとみなしBラインの♀を産卵用ケースにセットした。しばらく様子を見て、産卵に専念していないようであれば再度ペアリングを試したい。 Aラインの♀は産卵に専念しており、ゼリーにまったく手を付けずにゼリーがカビている状態となっている。 朝、Bラインの産卵用ケースの底面に1個の卵が確認できた。Aラインと同様、♀は産卵用ケースに入れて以来、ゼリーも食べずに産卵に専念しているように見える。有精卵であることを願いたい。 午後再度確認したところ、更に1個卵が増えていた。 夜、産卵に専念していたBラインの♀が突然マット上で飛び回りだした。追い掛けするチャンスとみて♀を♂のケースに入れてペアリングさせることにした。 3/18の夜間から餌場でペアで過ごしているため、恐らく交尾後のメイトガードをしている可能性が高く、♀を再度産卵用ケースに戻すことにした。 Aラインの♀がいる産卵用ケースは未だ産卵を続けており、マット底面にいるため、卵を産んではマットをかき回して見えなくなったりを繰り返して幼虫を確認できていない。卵は成長しているようなので有精卵だとは思うが、こちらもタイミングを見てペアリングさせたい。 Aラインの♀はずっとケースの底で産卵を続けており、ペアリングのタイミングがないが、今日は初めて幼虫を確認することができた。これで交尾は成功していることが分かり安心した。 夜間、珍しくAラインの♀がマット上に出てきてカビの生えたゼリーを食べていたので、再度ペアリングさせるのは今しかないと思い♂のケースに入れることにした。 ♂は気が荒く人に対してはすぐ挟もうとしてくるが、♀に対しては非常に優しい面があり事故は起きにくい印象なので思ったより楽である。 Bラインのケースもたくさん産卵しており、♀がマットをかき回すのでケース底面から卵が見えたり見えなくなったりしているが、現時点で7個の卵が見えており、うち1個は孵化中のようであった。♀を入れてから丁度1か月になり、Bラインを本命にしているので、Bラインについては産卵用ケースを追加でセットすることにした。 今回の産卵木はハスタートノコギリクワガタ用に加水したものの柔らかすぎて使えなかったやや太めのクヌギの産卵木を使用することにした。マット産みが中心のため、面積が広い産卵木は有利ではないかと思われる。マットは前回同様産卵1番を使用した。まだ♀は産卵中なので、タイミングを見て♀を移動させたい。 ♂のケースに入れたAラインの♀の姿が一向に見えないので確認したところ、死んでいた。よくみると上翅付け根辺りに小さい穴が空いていたが腹部側縁にボーベリア菌と思われる白いものも生えておりどちらが死因になったかは分からない。 上翅を捲って確認したが、穴の位置に凹みはあったものの傷付いてはないようで、他に体液が出ている箇所もなかったことから♀殺しではないような気がする。 ビソンノコギリクワガタでも今まで元気だった♂がケースを替えたタイミングで死亡し、ボーベリア菌に感染していたケースがあるので、環境の変化に弱い面があるのかもしれない。 残念ではあるがAラインは本命ではないので、産卵はこの辺で十分といったところである。 夜10時頃、♀がマット上に出てきてブンブン飛び回っていたので、すぐさま3/27にセットしておいた産卵用ケースに入れた。さらなる産卵に期待したい。 Aラインの産卵用ケースの底面から見える卵は1個のみとなり、幼虫が多くみられるため、そろそろ取り出すことにした。 産卵木からは1頭食い入っていたが、ほぼマットに幼虫が見つかり、合計1齢幼虫16頭、卵1個が得られた。 産卵木は表面を剥いてみたが食痕がなく、結局表面近くに食い入っていた1頭のみだった。 得られた幼虫のうち、6頭は800mlクリアボトルで単独飼育することにし、マットはフォーテックのヒラタ・ノコ1番(ヒラタ1番)を使用した。 Bラインもいるため、すべて飼育することは困難なので他の10頭はヤフオクで出品することにした。 種親の♂が死んでいた。羽化から半年程生きたことになる。ゼリーは切らしてはいなかったが、劣化も進んでいたためこまめに交換していればもっと長生きしたかもしれない。ただ2匹の♀との交尾もさせて役目は果たしたのでよしとする。 Bラインの2つ目の産卵用ケースは3/30にセットして以来、産卵確認ができていなかったので心配していたが、今日初めてケース底面から1個の卵が確認できた。 これまで産卵木を中心に産卵していたか、産んでいなかったかのどちらか気になるところ。 ケース側面から見ると産卵木から黒い毛の生えた棒状のものから根が生えており、マット上まで出るほど勢いがあり、ツタなどの植物のようだが特に悪さをするとも思えないので掘り返さずに放置しておくことにした。 ♀もそろそろ寿命かと思っていたら夜になってブンブンとケース内を飛び回っていてまだまだ元気だった。 Bラインの1つ目の産卵用ケースから幼虫を取り出すことにした。マットから2齢幼虫3頭、1齢幼虫3頭、卵3個が得られた。思ったより少なかったが、飼育分としては十分といったところ。幼虫はすべて800mlクリアボトルで単独飼育することにした。マットはヒラタ1番を使用した。 産卵木は小さめで結構固く産卵痕もほとんどなく、幼虫が潜り込んだと思われる穴が1つ空いている程度だったので、割り出しは中止し、3つ目の産卵用ケースとして再利用することにした。 夕方になり♀がまたマット上を歩き回りだしたので移動させた。2つ目の産卵用ケースは1ヵ月後くらいに確認したい。 黒い根が張り巡らされてしまっているBラインの2つ目の産卵用ケースから幼虫を取り出すことにした。 ケース底面からは2頭確認できていたが、結果はマットから2齢幼虫4頭、産卵木からは2齢幼虫2頭と1ケース目と同様6頭の幼虫が得られた。ただ、3ケース目は目視できる時点で6頭は確認できるほど幼虫が湧いているので最終的にはかなりの幼虫が得られるのではないかと思っている。 得られた2齢幼虫は800mlクリアボトルで単独飼育、マットはヒラタ1番だけでも飼育は可能ではあるが、使用感としてはヒラタ1番はかなり木目が荒く、XLマットは微粒子だったので食べやすさから混ぜたほうがよいと判断したため、ヒラタ1番4:XLマット1の割合で混ぜたものを使用した。。 前回採卵した3個は孵化しなかったため、Bラインで飼育中の幼虫は12頭となる。 最後のBラインの3ケース目の産卵用ケースから幼虫を割り出すことにした。 結果はマットから1齢幼虫6頭、2齢幼虫2頭、産卵材から1齢幼虫5頭の合計13頭が得られた。幼虫はすべて800mlクリアボトルで単独飼育、マットはヒラタ1番のみを使用した。 これでAラインから16頭(うち10頭販売)、Bラインから25頭で41頭が得られ、31頭飼育中となる。 Aラインの6頭の幼虫について、4/16に800mlクリアボトルにセットしてから4カ月弱経過しているので、マット交換をすることにした。 幼虫は順調に成長しており、6頭すべて3齢幼虫になっていた。ノコギリの割りに♀斑は非常に確認しにくくほとんど確認できなかったが、大きさに明確な差が出ており、小さい状態で成熟が進んでやや黄ばんできている幼虫が2頭おり、♀と判断した。♂は4頭となるが1頭さほど大きくないものがいたので、大きい3頭は1500mlクリアボトルに、♀と小型の♂の3頭は800mlクリアボトルにセットした。 5/7に幼虫飼育を開始したBラインの6頭について、マット交換することにした。 6頭中1頭は早くも蛹室を作成していたのでそのままとし、食痕の多い4本についてボトルのサイズアップも兼ねたマット交換を行うことにした。 4頭を取り出したところ、皆非常に大きく成長していて大型化が見込めそうなので、1500mlクリアボトルに変更し、マットは引き続きヒラタ1番を使用した。 Bラインの♀が早くも蛹化した。更に既に蛹になっていた♀もいた。先に飼育を開始したAラインは特に変化は見られなかった。 Bラインの♀が羽化した。 羽化から2週間が経過したので♀を取り出してみた。体長は41.2mm程で種親と同じ赤味の強い個体だった。ただし個体によっては今後黒っぽくなる可能性はある。 9/19に蛹化した♀が羽化した。 幼虫のボトルを確認したところ、♂幼虫も蛹室を作り出している個体が複数いるようだった。 1本だけコバエが大発生してマットが真っ黒に劣化してしまっていたボトルがあり、蓋を開けると蓋とボトルの間からコバエの死骸が大量に落ちるほどであった。 コバエが大発生していたボトルのマットを取り出してみたところ、死滅を心配していたが丸々と太った♂の幼虫が出てきた。 このボトルは9/10にもコバエが発生してマット交換したものだが、幼虫にコバエの幼虫が付着していたのかまた発生してしまったようだ。再度、新しいヒラタ1番でセットした。 すべての個体はチェックできていないが、Bラインの♂が1頭蛹化した。Bラインで最初に羽化した♀1匹はヤフオクに出すことにした。 ♀の後食を確認した。数日前からゼリーが減っていないものの汚れていたので活動を開始していると思っていたが今朝見るとほぼ食い尽くしていた。 ♂も複数蛹になっているので、近日中に撮影したい。 撮影のため、Bラインの♂の蛹を1頭蛹室上部を開けてみた。800mlで飼育した個体だが問題なく長歯型に成長していた。 Bラインの♂が羽化した。 蛹室上部を開けていた♂の蛹も羽化していた。 1/4に羽化した♂を取り出してみた。800mlクリアボトルで飼育していた個体だが体長77mmと種親より大型であった。 1500mlクリアボトルで飼育している1本は外から蛹室が見えないので掘り出してみることにした。ボトルの内側に蛹室があり、中には羽化直後と思われる♂が出てきた。大アゴの根元がまだオレンジ色をしているので昨晩羽化したものと判断し、そのまま体が固まるのを待つことにした。 800mlクリアボトルにセットし、マット交換せずに放置していた1本を開けてみると短歯型の♂が出てきた。体長は43.5mm程の小型個体だった。 2/5に確認した♂を取り出してみることにした。体長を測ってみると81mmもある大型個体だった。 |