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ヒロバフユエダシャク
学名:Larerannis miracula

杉に止まるヒロバフユエダシャク♂(2008.2.17)
Data
和名 ヒロバフユエダシャク
開張 ♂:33〜40mm
♀(体長):8.5〜11mm
分布 本州(岩手県以南),九州
出現期 2月中旬〜3月上旬
無し
 幼虫はバラ科(サクラ,ソメイヨシノ,ヤマザクラ,リンゴなど),ブナ科(クリ,カシワなど),カバノキ科の葉を食べる。
解説 やや大型のフユエダシャク。
シロフフユエダシャクAgriopis dira)によく似るが、シロフフユエダシャクでは小型で翅は細く、櫛歯状の触角の歯部が大変短く、前翅前縁はほぼ直線で外横線は前縁に対し直角に入るのに対し、本種は大型で翅は大きく、櫛歯状の触角の歯部はやや長め、前翅前縁はやや丸みを帯び、外横線は前縁に対し斜めに入る。
本種の♀の翅は短く、前翅は3mm、後翅は4mmほどしかないが、シロフフユエダシャクの♀よりは長い。
♀の背面は広く暗灰色で、前翅に明瞭な黒色の中横線がある。
本種は日没直後に交尾する傾向がある。
日本固有種。
 
国内に生息するLarerannis属は以下の4種。
和名/学名 分布
ヒロバフユエダシャク
Larerannis miracula
本州(岩手県以南),九州
フタマタフユエダシャク
Larerannis filipjevi
北海道,本州(東北地方〜中部地方)
ウスオビフユエダシャク
Larerannis orthogrammaria
北海道,本州(東北地方〜中部地方)
ナカジマフユエダシャク
Larerannis nakajimai
本州(宮城県以南〜近畿地方),四国,九州
 
夜にクヌギやサクラなどがある雑木林に行くと、木にじっと止まっている本種の♂をよく見かけた。
雑木林付近の外灯に来ていたのはシロフフユエダシャクばかりで、雑木林内の木の幹に本種の♂が止まったままじっとしているのが多く見られた。雑木林内をヒラヒラと飛んでいるのはすべてフユシャク亜科のクロテンフユシャクInurois punctigera)とウスバフユシャクInurois fletcheri)で、本種は何故かじっとしているだけで飛んで♀を探しているものは見かけなかった。
夜間、複数の本種を観察しているのに交尾シーンが見られなく謎だったが、近年出版された日本産蛾類標準図鑑(学研)によると本種は日没後、比較的早い時間帯に配偶行動するとされており、夜間見た個体は既に交尾し終えて休んでいた個体であることが分かった。
♀は長らく見つけられなかったが、2013年3月9日にようやくサクラの幹にペアで止まっているところを発見できた。
関連リンク  フユシャクガ
PHOTO

杉に止まる♂@
近所で撮影。
(2021.2.14)

杉に止まる♂A
(2021.2.14)

サクラに止まる♂@
すぐ上には♀がいた。
(2013.3.9)

サクラに止まる♂A
(2007.2.17)

ヒロバフユエダシャク
夜にクヌギやコナラ,サクラなどの雑木林の木の幹に止まっていた。
(2007.2.12)

夜間、サクラに止まる♂@
夜、サクラの木に止まっているところを撮影した。
(2007.2.12)

夜間、木にとまりじっとしている♂@
夜なのに見かけた♂はどれもじっとしていた。
(2007.2.11)

夜間、木にとまりじっとしている♂A
(2007.2.11)

日中、スギに止まっていた♂
日中に杉の幹に止まっていた個体。周りにはクヌギやコナラがあった。
(2007.1.27)

サクラに止まる♀@
(2013.3.9)

サクラに止まる♀A
(2013.3.9)

サクラに止まる♀B
(2013.3.9)

サクラに止まる♀C
(2013.3.9)

サクラに止まるペア
これだけコンデジで撮影。
(2013.3.9)
シロフフユエダシャクとの相違点

ヒロバフユエダシャク
前翅は大きい。
外横線は前翅前縁に対し、斜めに入る。
(2007.2.12)

シロフフユエダシャク
前翅は細長い。
外横線は前縁に対し、直角に入る。
(2007.1.27)
 
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