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インペリアリスツヤクワガタ(亜種 komorii)
学名:Odontolabis imperialis komorii

♀37mm(2023/4/2 パラワン島産/WILD)
Data
和名 インペリアリスツヤクワガタ(亜種 komorii)
 別名:インペリアリスツヤクワガタ(パラワン島亜種),インペリアリスツヤクワガタ(亜種コモリ)
体長 ♂:51.2〜72.3mm
♀:38.6〜46.7mm
分布 フィリピン(パラワン島)
ノボタン科の樹液など
 幼虫は発酵が進んだマットを食べる。
飼育難易度 簡単 ★★★★★ 困難
解説 ボルネオに生息するインペリアリスツヤクワガタのパラワン島亜種。
体色は黒色で、前胸背板と上翅は光沢がある。
大アゴは先端近くに細い内歯、その下に二又に分かれた大きめの内歯があり、基部にかけてやや板状の小さい内歯が並ぶ。
脚は腿節のみ黄赤色。
パラワン島の亜種では、上翅がやや赤味を帯びることや、小さい内歯が基部付近まで並ぶこと、先端付近の突起部が鋭いことなどの違いがある。

 
ツヤクワガタ属(Odontolabis)の本種は以下の2亜種に分けられている。
亜種区分/学名 分布
基亜種
Odontolabis imperialis imperialis
ボルネオ
亜種komorii
Odontolabis imperialis komorii
フィリピン(パラワン島)
 
トップの写真は4月2日にネットオークションでパラワン島産の♀単品を落札したもの。産卵も難しいが幼虫飼育は更に難しく、ツヤクワガタの仲間でも特に難関種とされているが、入荷は限られているのでダメ元で飼育に挑戦することにした。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。
飼育メモ 2023年4月1日
飼育スペースがひっ迫している中、ヤフオクで本種が複数の業者から出品されており、スルーするつもりだったが、♀単品ならばと挑戦してみることにした。
♀単品でもかなりの出費となってしまった。
珍品で尚且つ飼育難易度も非常に高いのだが、独特の大アゴは芸術的なので羽化させてみたいとは思ってはいるが、成功例がごく稀で極小個体が飼育ギネスであることからも大変困難でダメ元での挑戦となる。
産卵に適したマットも手探り状態だが、チャイロマルバネクワガタで定評のある「miracle mat」(以下ミラクルマット)を使用したいので注文し、明日届く予定になっている。
他にドロマルバネクワガタ用に作成して準備していたものの使用時期を逃してしまったマットがあるので、混ぜて使用したい。

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4月2日
生体が到着した。産地はフィリピン パラワン島 Mt.Gantungとの事。
とても元気な個体でコンディションはまったく問題はなかった。
撮影後、ミラクルマットも到着したが、結果的に産卵用ケースのセットでは残っていた一袋のみを使用した。
コバエシャッター中を使用し、前述のマットの他、赤枯れマットと菌糸ビンの食いカスなども混ぜてみた。
 
4月8日
ここ数日、♀が日中にマット上を歩き回っているので、産卵状況を確認したが卵は見つからなかった。加水して産卵を待つことにした。
 
4月23日
再セットから2週間が経過したので産卵状況を確認したところ、4個の卵が得られた(写真は3個だがマット再セット時に更に1個見つかった)。ダメ元だったために大変嬉しい。
♀は中層下部に潜っており、コンディションは良いのでマットは変更せずにそのまま産卵に専念させることにした。
卵は250ccのプリンカップに産卵用マットでセットした。
 
4月24日
ゼリーを交換しようとしたところ、マット上に卵を発見した。これで5個目となった。
 
5月5日
前回の採卵から12日間が経過したので再度採卵してみたところ、4個の卵が得られた。管理中の5個の卵のうち、2個が溶けてしまったようで3個になってしまったので、現状では7個となる。ただ、初回採卵時の3個は大きく成長しているので孵化まではいくと思う。
 
5月11日
卵が1個孵化した。ここからの幼虫飼育が最大の難関だと思う。
 
5月14日
2個目が孵化した。1頭目はまだ移動はしていないが今のところ元気である。
 
5月17日
3個目が孵化した。残りの卵は5/5に採卵した3個(1個は死滅)。幼虫飼育の難しさからもう少し卵が欲しいところ。
 
5月20日
前回の採卵から2週間経過したので採卵したところ、見つかった卵は1個のみだった。♀はまだ元気だが、既に産み尽くしてしまったのかマットが劣化したのか判断できないため、マットに赤枯れマットを多少混ぜてみた。
 
5月21日
ストリアータツヤクワガタなどでプリンカップで長期間管理すると死滅する現象が起きているので、予定を変更し、本種についても早い段階でクリアボトルでの飼育に切り替えることにした。
5/11〜16の間に孵化を確認している3頭について、500mlクリアボトルに移し、多頭飼育させることにした。
幼虫のコンディションは非常によく、マットを食べて順調に大きくなっているのでここまでは順調といっていい。
多頭飼育の理由は、複数同時に飼育することでマット交換時の急変を避けることと、マットの環境が安定する効果が期待できると思う。
 
5月22日
5/5採卵分のうち、2個が孵化した。
 
5月23日
朝、5/5採卵分のうちの最後である3個目が孵化した。
更に日中に5/20に採卵した唯一の1個が孵化した。この1個は5/5の取りこぼしと思われ、5/5以来産卵していないことになる。今後♀が産まない場合、7頭での飼育となる。
 
6月3日
採卵したところ、1個のみ得られた。♀は元気なのにほとんど産まなくなってしまった。
 
6月16日
5/5に採卵し、5/22,23に孵化した3頭について、500mlクリアボトルに移動させることにした。3頭共に順調に大きくなっており、産卵用のマットだけでも飼育上問題なさそうだった。
産卵数こそ少ないものの幼虫飼育についてはストリアータより簡単なようだ。3頭は前回同様500mlクリアボトルで3頭一緒に飼育することにし、マットは産卵用マットを主体に赤枯れマットを多少混ぜる程度にした。
ついでに産卵状況も確認したがまったく産んでいなかった。♀は元気なので玉切れの可能性がある。
気付くのに遅れたが、最後に採卵した卵も孵化して既にマットを食べており、これで幼虫は8頭となり累代飼育は十分に可能な数なので大切に飼育していきたい。
 
6月25日
再度採卵してみたところ、卵が1個見つかった。産卵数は少ないが孵化率は高いので期待できそうだ。
ちなみに購入時は大珍品として♀1匹だけで3万円以上で購入したが、その後多数の本種の入荷が続き価格が大幅に下落しており、どうやらコロナ禍の影響で流通がストップしていただけのようで珍しい種ではないようだ。
最初に500mlクリアボトルにセットした3頭は1ヶ月経過しているので、生存確認も兼ねて取り出してみることにした。
まだ1齢だが3頭共に元気にしていた。順調に大きくなっているので、試しに2個の500mlクリアボトルに1頭と2頭に分けてみることにした。これまでのツヤクワ幼虫飼育の経験上、幼虫によるマットのコントロールがとても重要で大きなケースにすればするほど拒絶反応を起こしやすいので大型化より極力生存率が高くなるようにしていきたいと思っている。
 
7月11日
種親の♀が死亡した。
 
7月16日
12個目の卵が孵化した。孵化した幼虫としては9頭目となる。産卵数は少ないものの孵化率は約7割とかなり高かった。
3頭で飼育しているマットにミミズの糞があったことから、ミミズの駆除も含めて確認したところ、2齢幼虫1頭、1齢幼虫1頭が出てきた。成長しているのは嬉しいが1頭は姿がなく、死亡したようだ。
繁殖していたミミズを駆除し、産卵用マットとツヤクワガタ類の幼虫使用済みマット、赤枯れマットを追加して、500mlクリアボトルを2本に分けて単独飼育にすることにした。
 
9月22日
マット交換しようとしたところ、すべて死滅していた。やはりといったところではあるが、また機会があれば挑戦したい。
PHOTO

♀37mm
(2023/4/2 パラワン島産/WILD)

産卵用ケース
(2023/4/2 パラワン島産/WILD)

卵@
(2023/4/23 パラワン島産/WF1)

卵A
(2023/4/23 パラワン島産/WF1)

卵B
(2023/5/5 パラワン島産/WF1)

プリンカップ内で孵化した1齢幼虫
(2023/5/11 パラワン島産/WF1)

1齢幼虫@
(2023/5/21 パラワン島産/WF1)

1齢幼虫A
(2023/5/21 パラワン島産/WF1)

1齢幼虫B
(2023/6/25 パラワン島産/WF1)

1齢幼虫C
(2023/6/25 パラワン島産/WF1)

2齢幼虫@
(2023/7/16 パラワン島産/WF1)

2齢幼虫A
(2023/7/16 パラワン島産/WF1)

2齢幼虫B
(2023/7/16 パラワン島産/WF1)
 
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