ヤエヤマネブトクワガタ | |
学名:Aegus ishigakiensis ishigakiensis | |
自己採集した♂26mm(2017/10/21 西表島産/WILD) |
Data | |||||||
和名 | ヤエヤマネブトクワガタ 別名:サキシマネブトクワガタ |
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体長 | ♂:16〜32mm ♀:15〜18mm |
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分布 | 西表島,石垣島 | ||||||
出現期 | 1〜12月 | ||||||
餌 |
樹液 幼虫はリュウキュウマツやスダジイの赤枯れた朽木を食べる。 |
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解説 |
八重山諸島に生息するネブトクワガタの一種。 体の幅が広く、大アゴは太く短い。 前胸背中央の後方付近にのみに大きめの点刻が集中している。 以前は本土に生息するネブトクワガタと同種の八重山諸島産の亜種とされていたが、近年種に昇格した。 あまり樹液には集まらないが灯火には飛来する。 幼虫はリュウキュウマツやスダジイの赤枯れた朽木を食すると思われる。
9月25日にヤフオクで本種の幼虫を購入したので、以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2022年9月22日 ヤフオクで3齢幼虫10頭を落札した。 本種は西表島でのライトトラップで大型の♂が1匹飛来して、半年以上飼育したことがあるが、♀がいなかったのでブリードまではしていなかったため、今回初挑戦することにした。 続きを表示9月25日 幼虫が到着した。西表島・テドウ山産F5で、7月下旬に割り出したとのこと。 430ccのプリンカップ2個に7頭ずつ入っており、14頭も入っていた。死着保証とはいえ、かなり気前の良い出品者もいたものである。 幼虫はブロー容器ミニ(容量は300cc)で単独飼育することにした。 マットはノコギリクワガタの幼虫飼育に使用したマットとNマットを半々と、チャイロマルバネクワガタ用に買った「miracle mat」と赤枯れマットを少量混ぜたものを使用した。 使用済みマットは一度、ブッダノコギリクワガタの産卵用ケースにも使用し、発酵がより進んで黒くなっていたのでネブト系には最適かと思って使用した。 すべてセットしてから気付いたことが、頂いたプリンカップのラベルにはUマットと記載があった。今回添加物を恐れて使用しなかったのだが、大型化にはUマットを使うべきだったかもしれない。今回は確実に成虫を羽化させたい。 すべてのブロー容器にコバエの幼虫が発生してしまい、マット交換しようと掘り出したところ、♀の蛹が出てきた。 7本まで開けたところ、♀の新成虫1匹、♀の蛹3頭、前蛹1頭、幼虫2頭が出てきた。 まさか既に羽化までしているとは思っても見なかったが、まだ体色の赤い♀を見ることができた。 幼虫2頭については1頭は小さめだが、もう1頭はかなり大きく♂と思われるため、ノコギリクワガタの幼虫使用済みマットを使用し、500mlクリアボトルで飼育することにした。 掘り出してしまった蛹2頭と前蛹1頭はコバエシャッタータイニーにマットを詰め、人差し指で縦穴を作ってセットしてみた。縦穴にした理由は、小型種のため明確な蛹室は確認できなかったが、マット中に縦向きにいるように思えたからである。3頭目の蛹は上半身だけ露出した状態だったので取り出さずそのまま羽化させることにした。 残り7本については掘り起こさずもう少し待ってみることにした。 ブロー容器の蛹が羽化した。縦穴内で国産カブトムシのような姿勢での羽化だった。 人工蛹室にセットした前蛹が蛹化した。やはり人差し指程度の窪みがあれば容易に蛹化・羽化できるようだ。 人工蛹室の2頭は残念ながら羽化不全で蛹のまま脚を動かすだけの状態となっていた。人工蛹室用のマットにコバエが大量発生していたので影響したのかは不明だが、念のためマットを交換して残りの1頭の蛹を再セットした。 蛹と前蛹で取り出した♀はマットの劣化によるダメージのためか羽化できないか羽化不全が多発したものの、5匹の♀は得られているので十分だが、♂は11/12に唯一確認している♂幼虫のみとなるため、取り出してみることにした。 マットにまたコバエの幼虫が発生してしまい心配していたが、既に羽化した♂が出てきた。 体長は22.5mmで自己採集の♂には及ばなかったが、これでブリードが続行できそうだ。 冬なのでしばらく放置していて大丈夫かと思っていたが、コバエシャッタータイニーで1匹ずつ管理していたマットの乾燥が激しく、乾燥死させてしまい、かろうじて1ペアのみ生きていた。 ここまで乾燥に弱いとは思っていなかったが、こまめな観察ができていないこともあり、産卵用ケースを作成して1ペアを入れることにした。ケースはコバエシャッター小、マットは赤枯れマットを主体にNマットとノコギリクワガタ類の幼虫使用済みマットを混ぜたものにした。 餌は劣化したものを好むようなのでツヤクワ類で餌交換した食べ残しを与えることにした。 夜になり、ゼリーを食べている♂を見ることができた。 ♀がケース側面に弧を描いて潜っており、恐らく産卵行動をしているようだ。 ケース側面から確実な円形を描いた産卵痕を確認した。2/10に確認した坑道は♀が潜っただけのようで、その後しばらくはマット上で過ごしていた。 羽化後の成虫管理に不手際があったため、たった1ペアになってしまい崖っぷちになっていたが、ブリードが続行できそうだ。 産卵用のマットにコバエの幼虫が大量発生してしまったので採卵することにした。 1mm前後の大変小さい卵を21個見つけることができた。本来は採卵せずに孵化まで行きたかったが使用済みのマットやゼリーを好むため、コバエに進入される確率が高いようだ。 卵は430ccのプリンカップ2個に卵10個と11個をセットした。マットは産卵用マットとほぼ同等のものを作成した。 種親のペアも健在なので、コバエの発生したマットは廃棄し、再セットした。 昨日採取した卵を確認してみると早くも2個が孵化していた。ここまでくれば累代飼育はほぼ成功と言えそうだ。 |