ゴマフリドクガ | |
学名:Somena pulverea pulverea | |
クヌギ上のゴマフリドクガ♂(2011.5.3 静岡県) |
Data | |||||||
和名 | ゴマフリドクガ ※黒褐色の個体の旧称:ナカグロキドクガ |
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開張 | ♂:22〜30mm ♀:約31mm |
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分布 | 本州,四国,九州,対馬,屋久島,トカラ列島,奄美大島,徳之島,沖永良部島 | ||||||
出現期 | 5,7〜8月 | ||||||
餌 | 無し 幼虫は広食性で、サカキ科(ヒサカキ),バラ科(サクラ類,バラ),マメ科(ハリエンジュ,ニセアカシア),ツバキ科(イジュ),タデ科(ケタデ),コミカンソウ科(マルヤマカンコノキ),キク科(シマアザミ),キンポウゲ科(リュウキュウボタンヅル)など多くの種類の葉を食べる。 |
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解説 |
悪名高いドクガ科の蛾。 前翅は黄色く、褐色あるいは黒褐色の点が和名の通りに、胡麻を振ったようにまばらに付いている。 更に広い範囲が黒褐色となる個体変異があり、ナカグロキドクガとして別種とされていた。 稀にゴマ振り模様が無い個体も出現する。 ドクガの仲間は成虫になるとエサを摂取することはない。 ドクガやチャドクガは有毒の毛を持っていることで有名だが、本種についても同様と思われる。 幼虫時の毛が有毒で、羽化後も幼虫時の毒針毛を腹に付けることにより、触れると毒針毛が刺さり、激しいかゆみや炎症を起こすことになる。かけばかくほど毒針毛は食い込んでいくため、洗い流すか粘着テープで取り除くとよいらしい。 沖縄島以南の本種はオキナワキドクガ(Somena okinawana)として別種とされていたが、交尾器に明確な差異がなく、斑紋にも個体差があることから本種の亜種(Somena pulverea okinawana)に降格された。
5月23日の写真は、自宅の外灯に飛来した♀を採取して撮影したもの。ドアに本種がペッタリと止まっている♀をすかさず撮影のために虫かごに入れてから、夕食を食べているとなにやら本種のお尻から長い毛の塊のようなものが2本出ているので、変だなと思いながら、見てみると毛の中に多数の卵があり、産卵していることが分かった。卵を保護している黄色い毛もやはり毒針毛で卵を保護しているのだろう。産卵から9日目に一斉に孵化した。 翌年の4月30日には模様が明瞭な個体も見ることができた。今回も撮影のために採取するとすぐに産卵を始め、毒針毛の付いた卵塊を3つも産んでしまった。 蛹の写真は2月6日に近所の林道で朽木の中から出てきたもの。黒っぽいやや硬めの朽木を素手で割ってみたところ、黄ばんだ淡褐色の繭が出てきたので少し破いてみると黒っぽい小さな蛹が出てきた。同じ朽木からヤマトヒメカゲロウの蛹も出てきた。蛹を持ち帰り管理していたところ、3月10に羽化した成虫を発見し、本種であることが分かった。 |