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アルケスツヤクワガタ | |
学名:Odontolabis alces | |
![]() 中歯型の♂87mm(2022/6/10 ミンダナオ島産/WILD) |
Data | |
和名 | アルケスツヤクワガタ 別名:アルケスオニツヤクワガタ |
体長 | ♂:39.9〜104.3mm ♀:44.6〜54.7mm |
分布 | フィリピン(ルソン島,ミンドロ島,サマール島,レイテ島,ディナガット島,マリンドック島,カタンドゥアネス島,ミンダナオ島) |
餌 | 樹液 幼虫は発酵が進んだマットを食べる。 |
飼育難易度 | 簡単 ★★☆☆☆ 困難 |
解説 | フィリピンに生息するのツヤクワガタの一種。 大型のツヤクワガタで大型個体は100mmを超える。 全身黒色で、長歯型は緩やかに弧を描き、先端以外は内歯はない。 中歯型〜短歯型では基部寄りに内歯が出る。 前胸背板は雌雄共に側縁後方に鋭く尖る突起がある。 特に模様はなく、飾り気はないが迫力ある巨体が魅力的なツヤクワガタである。 飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
飼育メモ |
2022年5月25日 むし社で2年ぶりにフィリピン便が入荷し、各産地のアルケスツヤクワガタもあることをツイッターで知り、偶然にも代休だったので売り切れる前に購入することができた。 一番欲しかったのは大図鑑に掲載されているミンダナオ産で、見た限りでは中歯型の1ペアのみだったため、見つけるなり即購入した。 中歯型といっても87mmもある大型個体で迫力があった。 流通量が少ないといっても飼育自体は簡単な部類のようなので、沢山産卵させたい。 産卵用ケースはコバエシャッター大を使用し、マットはフォーテックのカブト1番(篩にかけて微粒子にしたもの)とスティーブンスツヤクワガタの産卵に使用し、日光消毒したマット、Nマットを混ぜたものでセットした。 天然物なのでまずは♀だけを産卵させようと思う。 続きを表示6月11日 並行して産卵セットをしているブルマイスターツヤクワガタの産卵用マットが再発酵して熱を持っていたこともあり、本種についても気になって確認したところ、熱は持っていないが乾燥が進んでおり、パサパサした状態となっており卵も見つからなかったため、再度加水して再セットした。 再セットから2週間経ったので産卵状況を確認したところ、マットから21個の卵が得られた。 卵は2つの特大プリンカップに11個・10個でセットした。 完全に産卵モードに入ったようなので、マットは減った分をNマットで補充して更なる産卵に期待したい。 卵が1個孵化した。 岩手に遠征していたこともあり、少し間が空いてしまったが、孵化した幼虫の単独飼育と2度目の採卵を行うことにした。 まず卵を管理していた特大プリンカップ2個を開けたところ、11個中9頭、10個中7頭の計16頭の1齢幼虫が得られた。孵化率としては76%だった。 500mlのクリアボトルで単独飼育、マットはツヤクワの産卵や幼虫飼育の使用済みマットを主体にUマットとNマットを混ぜたものを使用した。 前回の採卵から1ヵ月経過してしまったが、2度目の採卵をしたところ、卵73個、1齢幼虫5頭が得られた。かなりの多産で他に1個不手際でつぶしてしまったものと、マットをひっくり返した時に圧死した1齢幼虫も1頭見られ、産卵数の合計としては既に100個を超えている計算になる。 卵は特大プリンカップ7個に卵11個ずつを3個、10個ずつを4個でセットした。1齢幼虫についても同様に500mlクリアボトルにセットした。 種親の♀はまだ元気なので今後も産卵しそうである。 岩手に遠征していたこともあり、少し間が空いてしまったが、孵化した幼虫の単独飼育と2度目の採卵を行うことにした。 まず卵を管理していた特大プリンカップ2個を開けたところ、11個中9頭、10個中7頭の計16頭の1齢幼虫が得られた。孵化率としては76%だった。 500mlのクリアボトルで単独飼育、マットはツヤクワの産卵や幼虫飼育の使用済みマットを主体にUマットとNマットを混ぜたものを使用した。 前回の採卵から1ヵ月経過してしまったが、2度目の採卵をしたところ、卵73個、1齢幼虫5頭が得られた。かなりの多産で他に1個不手際でつぶしてしまったものと、マットをひっくり返した時に圧死した1齢幼虫も1頭見られ、産卵数の合計としては既に100個を超えている計算になる。 卵は特大プリンカップ7個に卵11個ずつを3個、10個ずつを4個でセットした。1齢幼虫についても同様に500mlクリアボトルにセットした。 種親の♀はまだ元気なので今後も産卵しそうである。 幼虫飼育しているマットにコバエの幼虫が発生しているボトルが10本あったので、マット交換することにした。 500mlクリアボトル10本すべて無事で、大きく成長した2齢幼虫が出てきた。 マットはツヤクワ幼虫に使用したマットとUマットを3:1の割合で混ぜたものを使用した。コバエの幼虫が発生していないものについてはマットも劣化していないためそのまま飼育続行することにした。 約1週間程♀の姿を見ておらずゼリーも食べた形跡がないことから、マット中で死んでいる可能性があるので、確認も含め採卵してみることにした。 ♀はマットの底のほうにいて元気だった。 卵は24個、1齢幼虫6頭得られた。産卵ペースは1日に約1.5個で、前回採卵分では1日約2.8個の計算になるので、産卵ペースは下がってきたようだが、採取分の数で128個/頭になりそろそろ打ち止めだと思う。 卵は特大プリンカップ3個に8個ずつセットした。1齢幼虫は産卵に使用したマットにUマット4割ほど混ぜたものでセットした。 ♂もまだ元気なので、試しに同居させてみることにした。 卵11個ずつ管理していたものだが、プリンカップ1個目は1齢幼虫8頭と1個目は未だ孵化していない卵1個が出てきた。 2個目は1齢幼虫7頭、3個目は1齢幼虫6頭が出てきた。 大半がまだ1齢初期で孵化直後らしい幼虫も数頭見られた。 孵化率は約64%だった。 1齢幼虫は500mlクリアボトルで単独飼育することにした。マットはツヤクワ飼育済みのマットを主体にカブト1番を使用したもの、Uマットを使用したものなど実験的に多少変えてみた。 卵をセットしたプリンカップはまだ4個も残っているが、今回はタイミングは早いくらいの印象だったのでまた日を改めて単独飼育に切り替えたい。 今日は7/23採卵分の残りの幼虫を単独飼育にすることにした。 残りは特大プリンカップ4個で10個ずつの卵をセットしていたものだが、1齢幼虫11頭、2齢幼虫5頭の16頭が得られた。 孵化率としては40%で悪いと言わざるを得ない。 得られた幼虫は500mlクリアボトルにセットした。これで飼育中の幼虫は65頭となった。 夜、ペアがいる産卵用ケースのゼリーを交換しようとしたところマット上に卵が1個見つかったので、8個入れてある特大プリンカップに追加した。 今日は8/12採卵分の1齢幼虫を単独飼育にすることにした。 特大プリンカップ3個に卵を8個ずつ入れていたものだが、1齢幼虫17頭とまだ孵化しない卵2個が得られた。孵化率は70%程だが、3頭ほど孵化直後と見られるものもいたので、卵も孵化する可能性もある。 今回はプリンカップ内のマットにコバエの蛹らしきものと線虫も多かったことから、マット全交換とした。マットは以前コバエが発生してしまった幼虫飼育用のマットを日光消毒したものを主体にUマットを3割程度混ぜたものを使用した。 これで現在飼育中の幼虫は82頭となった。 8/10にコバエが発生していなかった6頭もコバエが大発生した形跡があり、マットが粉末状となっていたので、急遽マットを全交換した。 幼虫はすべて無事で3頭は3齢幼虫になっていた。 これまででコバエが発生したのは16頭ですべて最初に採卵した個体だったので、卵を管理していたプリンカップのマットに既にコバエの卵があったようだ。 7/23に採卵と幼虫採取もしているが、それらのボトルにはコバエの幼虫は確認できなかった。 最初に採卵した幼虫が3齢幼虫になっているようなので、ボトルのサイズアップを兼ねたマット交換をすることにした。 8/10にコバエが発生してマット交換した10頭を取り出したところ、7頭が3齢幼虫、残り3頭はまだ2齢幼虫だった。 3齢幼虫の中で2頭が一際頭部が大きく、大型化が見込めそうなので、2300mlクリアボトルに、残りの3齢幼虫と3齢間近と思われる2齢幼虫2頭は1500mlクリアボトルにセットした。2齢幼虫のうち、1頭はまだ小さかったため、500mlクリアボトルのまま飼育続行することにした。 8/28にまだ孵化していなかった卵2個は8/29と9/2に孵化しており、現在単独飼育中の幼虫は84頭となっている。 夜、産卵用ケースを確認したところ、種親の♀が死んでいた。特に傷はなかったので寿命だと思う。 ♀が死んだので最後の採卵をすることにした。 あまり期待していなかったが、卵31個、1齢幼虫22頭が得られた。その他1頭はマットをひっくり返した衝撃で圧死していたものもいた。 これまでの産卵数は圧死等を除いても153個となり、期待以上の成果となった。 得られた卵は特大プリカップで10個または11個で管理、1齢幼虫は500mlクリアボトルにセットした。 飼育スペース確保のため、2齢幼虫になっているものは販売である程度数を減らしていきたい。 2齢幼虫は5頭セットでヤフオクで販売し、有り難いことによく売れており、発送の段階での生存確認でプリンカップ内のマットを掘り起こそうとするとギゥギゥといった警戒音を発することが分かった。これはスティーブンスツヤクワガタでもよく確認しており、ほぼ同じ習性のようだ。 9/4に採卵した31個の卵について、孵化した幼虫を取り出すことにした。 得られた幼虫は27頭ですべて1齢幼虫、孵化していない卵は2個だった。今回の孵化率は非常に高かった。いつも通り500mlクリアボトルで単独飼育することにした。 種親の♂が死んだ。 2300mlクリアボトルで飼育している1つにコバエの幼虫が発生しているものがあったため、マット交換をした。順調に大きくなっており、念のため他のツヤクワガタの使用済みマットを主体にカブト1番を混ぜたもので交換した。 飼育中のボトルの中に2300mlクリアボトル1本についてコバエの幼虫が発生していたため、マット交換することにした。 幼虫を取り出してみると前回のマット交換時より更に成長していたので、クリアボトルを3200mlにサイズアップさせた。 この調子だと長歯型が狙えそうだ。他の幼虫もマットの劣化具合によりマット交換したい。 コバエの発生していないボトルについてもかなりマットが劣化して縮んできたのでマット交換することにした。 1500mlクリアボトルはマットが半減し空洞ばかり目立つようになっていたので、新しいUマットで補充した。 ボトルの一つにマットが密になって明確な変色部がありどう見ても繭玉としか思えないものがあったが、だとすると半年も経たずに繭玉を作っていることになり早すぎると思うが繭玉以外のマットを取り除き、しばらく様子を見たい。 更に2300mlで飼育中の大型候補の幼虫のうち、Uマットを使用したものとカブト1番を使用したものを1頭ずつを3200mlクリアボトルに移動させた。マットも新しいマットのみで補充した。今のところUマットで飼育していたほうが大きく感じたが、個体差もあるため、複数の個体で判断していきたい。 2日前に3200mlクリアボトルに変更した2頭が拒食を起こしており、マット上で暴れているものと、じっとしているものを発見した。このままでは死亡するのでツヤクワ幼虫に使用したマット9割とUマット1割に変更した。恐らく、容器が大きい為新しいマットの割合が多いことで許容範囲を超えたのではないかと思われる。 使用済みマットに変更したらすんなりとマットに潜った。 12/12に確認していた繭玉に窓を開けて確認してみることにした。慎重に小さな穴を開けて中を確認すると皺が寄った前蛹が確認できた。この個体は6/25に採卵、7/23に1齢幼虫で飼育を開始したものなので幼虫期間が5ヶ月しかないことになる。 前蛹を確認していたものが蛹化した。窓が小さい為、脚付近しか見れないが♀と思われる。他のボトルも明らかな繭玉による変色部があり、続々と蛹化していると思われる。 3200mlで飼育している1頭が死亡した。コバエの幼虫は少し発生していたもののさほど劣化していないようなので原因は不明。 1/7に蛹化した♀が色付いており、2,3日後には羽化する見込みとなった。 他のボトルも多数繭玉を作成したものが多い為、そのうちの1本の繭玉を確認したところ、また♀の蛹が出てきた。ボトル中央に大きな球体がありてっきりそれが繭玉と思いきや更に下部の側面寄りに蛹がいたため、繭玉というより蛹室のような感じだった。 1/7に蛹化した♀が夕方から羽化が始まった。 今日も繭玉を作って蛹になっていそうな1本を開けてみることにした。やはり繭玉というより蛹室のようだったが♀の蛹が確認できた。 大型の♂はまだ幼虫で盛んにマットを食べているので小型の♂が早く羽化してくれないと羽化ズレが大きくなってしまいそうである。 ♂を飼育している3200mlクリアボトルに横長の広範囲に変色しているものがあり、その下に幼虫がおり恐らく繭玉を作成している最中のようだった。 他のツヤクワガタの仲間ではマット交換時にマットの変化による拒食を起こしたりして大きい容器に移して上手く大型化したことがないのに本種はマット交換によるロスもなく大型化してくれたようなので長歯型に期待したい。 |