フルストルファーノコギリクワガタ | |
学名:Prosopocoilus fruhstorferi fruhstorferi | |
![]() 長歯型の♂61.5mm(2021/12/23 ロンボク島産/WILD) |
Data | |||||||||||
和名 | フルストルファーノコギリクワガタ 別名:フルストファーノコギリクワガタ,フルストルファノコギリクワガタ |
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体長 | ♂:34.8〜70.1mm ♀:24.0〜30.4mm |
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分布 | ロンボク島 | ||||||||||
寿命 | 約4ヶ月 | ||||||||||
飼育難易度 | 簡単 ★★☆☆☆ 困難 | ||||||||||
解説 |
インドネシアに生息するノコギリクワガタの一種。 長歯型の大アゴは長く直線的で、先端近くの内歯は板状になる。 上翅は淡黄色で光沢があり、会合部沿いは帯状に黒色で翅端付近で狭まる。 4亜種の中では基亜種(原名亜種)が最も大型となる。
飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
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飼育メモ |
2021年12月22日 アリストからインドネシア・ロンボク島産の天然個体のペアが到着した。 ♀は真っ黒な個体の場合もあるとのことだったが、黄褐色のラインのある個体で安心した。♂は60mmとされていたが、ノギスで測定してみると62mm弱だったので61.5mmとする。♀は記載通り26mmピッタリであった。どちらも大人しく、脚を引っ込めた状態でじっとしていた。 とりあえず危険なペアリングは避けて♀を単独で産卵用ケースに投入した。♀は26mmと小さいクワガタではあるが、材産みかマット産みかその両方かは飼育で確かめたいので、余裕のあるコバエシャッター中を使用することにした。 マットはフォーテックの産卵一番を入れてクヌギのやや柔らかめの産卵材をほぼ完全に埋めるようにセットした。(同時購入のビソンノコとほぼ同じ内容) 続きを表示12月30日 産卵材周囲に複数の縦穴があり、産卵に専念しているようで、夜間の一時期ゼリーを少し食べに出てくる程度の状況となっており、まず産卵していると考えて問題ないと思う。 本種の♂は比較的大人しいので♀殺しの危険は少ないと判断し、産卵用ケースに入れて追いがけをさせることにした。♀は人目を避けるよう行動しているので交尾を確認するのは難しいが、目視できなかった場合でも一週間経ったら交尾済みと判断して♂を隔離する予定。 夜、部屋の電気を付けると雌雄揃って皿木から隠れる様子が確認できた。餌場で交尾した可能性があるが目視した訳ではないのでやはり一週間は一緒にさせようと思う。 夜間はよく餌場で交尾の体勢になっていたり、一緒にいることが多く、この日も夜電気をつけるとほぼ交尾している状態になっていたが、すぐに雌雄ともに隠れてしまった。これほど仲がいいとずっとペアで飼育しても問題なさそうなので、♂の隔離は中止することにした。 マットが昨日に比べ大きく隆起しており、その近くのケース側面に卵を4個発見した。どうやらフルスロットルで産卵しているようだ。 外から確認できる卵が順調に増えてきており、♂隔離も単独でいることが多くなっていることから、明らかに産卵モードになっていると判断、♂を隔離することにした。 ケース側面から見える卵も増えてきたので、既に十分産卵しているのと、♂が温厚で♀殺しの心配もほとんどないため、今後は♂と同居させることにした。 側面から確認していた2個の卵が孵化していた。底面から見える卵も孵化していた。卵の期間は17日間だった。 ケース底面や側面から幼虫が複数確認できているので、幼虫の取り出しを行うことにした。 結果はマットから1齢幼虫10頭と卵4個、産卵木にめり込むようにいた1齢幼虫1頭で、合計11頭の1齢幼虫と卵4個が得られた。産卵木にもっといるはずだが、まだボロボロになっていないのと♀が健在であることから、割り出しせずにまた産卵用に使用することにした。 幼虫は500mlクリアボトルにフォーテックのヒラタ・ノコ一番で単独飼育、卵はプリンカップに入れて孵化を待つことにした。 産卵用ケースはマットが減った分を補充したのみで、ほぼそのままの状態に戻して再び雌雄同居での飼育を続行することにした。 卵が1個孵化した。 2個目の卵も孵化した。 3個目の卵も孵化した。 4個目の卵も孵化した。これで2/11に採卵した4個すべて孵化して飼育中の幼虫は15頭になった。 孵化した幼虫をクリアボトルに移し、個別飼育することにした。幼虫が4頭のはずが5頭出てきた。これは当初卵5個採卵したつもりだったが、プリンカップに入れる時に4個しか目視できなかったため数え間違いと判断していたようである。 出てきた幼虫のうち1頭は既に2齢幼虫になっていた。比較的暖かかった飼育温度にも影響したと思うが孵化後19日間で加齢したことになる。 産卵用ケースの状況は、♂は辛うじて生きているが、かなり衰えており、寿命が近そうである。 ♀は数週間見ておらず、既にマット中で死んでいると思われる。 ケースの底面からはかなり大きく成長した幼虫が複数確認できるので、そろそろ取り出したい。 ♂が死んでいた。天然物で4ヶ月生きたことになるので長生きだったと思う。 産卵用ケースをかなり放置してしまっていたので取り出すことにした。 マットから3齢幼虫8頭、2齢幼虫8頭、産卵木からは2齢幼虫4頭の合計20頭が得られた。 ♀は案の定、マット中からバラバラになった状態で見つかった。♂が単独で餌場にいる状態がかなりの期間あったので、♂よりも数週間前には死亡していたと思われる。 本種は大アゴが長い分あまり大型のイメージはなかったのだが、3齢幼虫は予想以上に大きく成長しており、可能であれば800mlクリアボトルを使用したほうがよさそうだったが在庫は1個のみで、昔の800mlのガラスビンが2個あったので大きめの3頭についてはこの3本にセットした。 残りの幼虫はすべて500mlクリアボトルにセットした。 複数の♀が前蛹になっていたが、今日1頭が蛹化した。 続々蛹化しており、確認が追い切れていないが、見える範囲では本日初めて♀が羽化したようだ。 6/14に羽化した♀を出してみることにした。 体長は31.5mmで、天然個体の種親の♀は艶消し状だったが、新成虫では光沢があり綺麗だった。種親が自然状態でかなり擦り減るほど生きていた個体と思われる。 蛹室のサイズから♂と思われる個体が複数確認できているので、そのうちの1頭を確認してみることにした。 500mlクリアボトルでマット交換なしだったため、大型化は期待していなかったのだが、長歯型の立派な♂の蛹を見ることができた。 7/2に確認した♂が羽化した。立派な個体ではあるが大アゴで判断すると種親には及ばないようだ。 暇があれば羽化した成虫を取り出しているが、今日は短歯型の♂が出てきた。体長は44.2mmだった。 長歯型と飼育状況の違いを調べてみるとどちらも500mlクリアボトルを使用、マットにヒラタ1番を使用しており、一見同じに見えるが、長歯型は1齢幼虫でセット、短歯型は3齢幼虫でセットしていることが分かった。 5/5に大型の3齢幼虫を800mlサイズのクリアボトルがなかったため、古いガラスビンにセットしていたのだが、1頭は蛹の状態で死亡、もう1頭は8/3に羽化まで行ったのだが羽化する段階で急にコバエの幼虫が発生し、羽化後に死亡してしまった。 羽化の様子は外から見ていたのだが完品で羽化し、ほっとしていたが上翅の黄色い色が暗い赤褐色になっており死亡していたので、今日取り出してみたところ、後翅がコバエの幼虫によって傷付けられたのが原因のようであった。 古いガラスビンでフタとビンの間にタイペスト紙を挟んでコバエ対策はしていたのだがタイペスト紙の皺等の隙を突かれて侵入されてしまったようで残念だった。 すべて羽化し、ほとんど販売に回すつもりだったが、売りそびれていた♀がいたことと出品した生体はすべて売れたことから、ブリードを続行することにした。 これまでの飼育結果としては一部まだ取り出しをしていない♂もいるが、最大で♂は58mm、♀は33mmであった。今回の反省点としては他種を優先させたことで800mlクリアボトルが使用できず大きく成長していた幼虫に古いガラスビンを使用してコバエの侵入を許してしまったこと。もし使っていたらビソンノコのように60mmを超える個体も出ていたと思う。 ♀の羽化が早いことから♂1匹♀2匹のトリオで出すことが多かったことから、♂は余っているが後食を開始している♂はNo.34の♂49mmだけだったのでこの♂とNo.10の♀31.5mmをペアリングさせることにした。 本種はあまり気が荒くなく、♀殺しはないと判断し、コバエシャッター小にペアで入れた。 朝、皿木の上で交尾しているところを確認したので、早速、産卵ケースを組むことにした。 ケースはコバエシャッター中、マットは産卵1番とファブリスノコギリクワガタの産卵に使用した使用済みマットを半々に混ぜたものを使用した。産卵木はなくてもよいレベルだが産卵促進になるかと、一度ノコギリ系の産卵に使用してほとんど産まなかった材で削ったことで細くなった状態で置いておいた2本を入れてみた。 |