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ゲンゴロウ
学名:Cybister chinensis

ゲンゴロウ(2006.3.13)
Data
和名 ゲンゴロウ
 別名:ホンゲンゴロウ,ナミゲンゴロウ,オオゲンゴロウ
体長 33〜42mm
分布 北海道,利尻島,本州,隠岐,四国,九州,壱岐,天草諸島,対馬,屋久島
出現期 4〜10月
肉食性。弱った小魚や昆虫、ミミズなど。
 タガメなどのように生きたものだけ食べるわけではなく、臭いによってエサを探し、体内消化で摂取する。
 ドジョウなどの死体やミミズなどを好む。煮干でもよいが、食いはあまりよくない。
 幼虫も肉食性だが、アゴから消化液を出し体外消化を行なう。エサはアカムシやオタマジャクシなどを幼虫の大きさに合わせて与えるとよい。
飼育難易度 ★★★☆☆
 大変丈夫で有機的な汚染にも強いので飼育自体は容易だが、エサや摂取法により、大変水を汚しやすいので、こまめな水替えが必要となる。
元気な魚などはエサとしないため、熱帯魚などと一緒に飼育することも可能だが、甲羅干しするために陸に上がる必要があるのと、飛翔するので陸と蓋が必要となる。
 飢えにもかなり強く、1週間ほど放置しても元気であった。  抽水植物などの太い茎の部分に卵を産み付ける。
産卵に適した水草はセリ,クワイ,オモダカ,コナギなどの抽水植物、他にホテイアオイの太い茎やランナーにも産卵する。
幼虫は共食いが多いため、単独飼育が望ましい。幼虫も尻を水面に出して呼吸するため、水深を幼虫の体長と同じにするか水草などの足場を設ける。
成熟した3齢幼虫は陸に上がり、土の中で蛹室を作り蛹化・羽化するため、陸地を再現する必要がある。
羽化した新成虫は数日で活動を開始するが、まだ柔らかいため、他の成虫と一緒にするとエサとなってしまうので、2週間ほど体が固まるまで単独飼育する必要がある。
解説 日本最大級の水生の甲虫。
ゲンゴロウは水生昆虫の中で、もっとも人気がある。
黒い体色に黄色い縁取りがとても印象的な甲虫で、体色は見る角度で緑色や赤色に変化する。
種類も大型のゲンゴロウ属の仲間やゲンゴロウモドキ属,中型ゲンゴロウの仲間など国内だけでも約100種類が生息しているらしい。
本種は世界に広く分布しているゲンゴロウの仲間の中でも最大となる。
累代飼育は経験が必要であるが、成虫飼育は非常に容易で寿命も長く5年も生きることさえあり、ペットとして最適である。
後脚が発達していて、泳ぎが大変上手く、素早く泳ぐことができる。
 
国内に生息するゲンゴロウ属(Cybister)は以下の3亜属7種。
和名/学名 分布
コガタノゲンゴロウ
C.(Cybister) tripunctatus lateralis
本州(関東地方以西),伊豆諸島(八丈島),硫黄島,隠岐,四国,九州,能古島,対馬,平戸,五島列島,種子島,屋久島,薩摩黒島,トカラ列島(中之島,宝島),奄美大島,沖永良部島,与論島,沖縄島,伊平屋島,屋我地島,伊是名島,久米島,宮古島,池間島,石垣島,西表島,与那国島,小浜島,波照間島,北大東島,南大東島
マルコガタノゲンゴロウ
C.(Cybister) lewisianus
本州,淡路島,四国,九州,天草諸島
フチトリゲンゴロウ
C.(Cybister) limbatus
トカラ列島(宝島),奄美大島,徳之島,沖永良部島,石垣島,西表島,与那国島
ヒメフチトリゲンゴロウ
C.(Cybister) rugosus
奄美大島,徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄島,伊是名島,久米島,池間島,石垣島,西表島,与那国島,南大東島
ゲンゴロウ
C.(Scaphinectes) chinensis
北海道,利尻島,本州,隠岐,四国,九州,壱岐,天草諸島,対馬,屋久島
クロゲンゴロウ
C.(Melanectes) brevis
本州,四国,九州,五島列島,対馬,上甑島,下甑島,種子島
トビイロゲンゴロウ
C.(Melanectes) sugillatus
トカラ列島(中之島,宝島),奄美大島,徳之島,沖永良部島,与論島,沖縄島,伊平屋島,伊是名島,池間島,石垣島,西表島,与那国島,北大東島,南大東島
関連リンク  ゲンゴロウ飼育記
PHOTO

泳ぐゲンゴロウの♂
(2006.3.13)

空気を取り入れるゲンゴロウ
お尻を水面に出して、背中と翅の間に空気を溜めている。
(2006.3.13)

ゲンゴロウの♀
♂の上翅はツルツルして光沢があるが、♀には光沢が無く、上翅に細かい筋がある。
その他、♂の前足には吸盤が付いているが、♀にはないので、雌雄判別は容易である。
(2005.4.16)

臭い汁を出すゲンゴロウ
掴んだりすると口から青白い汁を出す。汁には酸っぱ味のある臭い匂いがあり、天敵から身を守る効果があると思われる。
(2005.4.16)

ゲンゴロウの後脚
後脚はよく発達して、船のオールのような役目をして素早く泳ぐことができる。
(2005.4.24)

交尾行動
♂は前足の吸盤を使ってしっかりと♀を捕らえることができる。
(2006.3.13)

交尾
♂は前脚にある吸盤で♀にしっかりと掴まることができる。
お尻を水面に出して呼吸をしながら交尾していることも多い。
(2005.8.12)

背面から見た交尾
(2005.8.12)

交尾器のアップ
(2005.8.12)

刺身を食べる本種
刺身のような柔らかいものは大好物でよく食べる。
(2005.8.17)

ミミズを食べる本種@
(2005.8.13)

ミミズを食べる本種A
煮干も食べるが、生きたミミズや刺身など生肉が大好物で、あっという間に食べ尽くしてしまう。
(2005.8.13)

ミミズを食べる本種B
前脚と中脚で獲物を捕らえて強力なアゴで食べる。
(2005.8.13)

ミミズを食べる本種C
強力なアゴで肉質を噛み切りながら食べる。
(2005.8.13)

ミミズを食べる本種D
頭部のアップ。
(2005.8.13)

産卵跡
太い水草の茎の内部に産み付ける。
(2005.8.17)
 
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