ホーム > 甲虫目 > ゲンゴロウ科 > ゲンゴロウ亜科 > ゲンゴロウ > ゲンゴロウ飼育記 このページを印刷する
 
ゲンゴロウ飼育記
Cybister japonicus
 
水生昆虫の中で最も有名なゲンゴロウ。
国産でありながら、世界中のゲンゴロウの中でも最大で、寿命は3年で、5年生きた例もあるほど長寿な水生昆虫である。
生きたものしか食べない幼虫の飼育は困難を極めそうだが、なんとか飼育していきたい。
 

 
 
購入 到着したゲンゴロウ
陸上でも素早しっこく歩き回り、撮影するのに苦労した。
(2005.4.11)
 
2005年4月9日
 最近、水生昆虫に興味が出て、毎日のようにネットで水生昆虫のリストを眺めているのだが、まだシーズンが早いのか、お目当てのガムシとゲンゴロウの在庫がいつもない。
今日も無いかと思いきやゲンゴロウが販売されているのに気が付き、4ペアとエサに困らないコオイムシを4匹注文した。
 
4月11日
 夜、ゲンゴロウが到着した。
早速、用意しておいた特大プラケースに入れたのだが、物凄い速さで流木の陰に隠れてしまった。
飼育ケースの特大プラケースは大磯砂利を敷き、甲羅干しのために石・流木・ヘゴを入れてある。
電気を消すと活動し始めるようで、部屋に入って電気を付けるとケース内を大暴れして泳ぎ回り、隠れてしまう。
♀の上に♂が乗っているところも観察できたが、乗っているだけで交尾までは観察できなかった。
エサとして、煮干を入れてみた。家にあるのはかなり大きめの煮干なので、半分に裂いたものを1つだけ入れた。
 
ゲンゴロウの♀
♀は前翅に筋があるのと、前足に吸盤が付いていないので、用意に判別できる。
(2005.4.11)
 
 
臭い汁を出すゲンゴロウ
掴んだりすると、すぐに口から青白い汁を出す。酸っぱ味のある臭い汁で天敵から身を守るためと思われる。
(2005.4.11)
飼育
 
4月12日
 朝、見ると煮干をまったく食べていないようだった。
煮干は水質を悪化させてしまうので、取り出した。
夜、煮干のせいか水がかなり汚れてきたので、水替えをした。
庭でミミズを1匹見つけたので、エサにと生きたまま入れてみた。
エサとして、煮干を入れてみた。家にあるのはかなり大きめの煮干なので、半分に裂いたものを1つだけ入れた。
産卵用にと小さめのホテイアオイを入れた。ケースを置いてある場所は光が当たらないので、ホテイアオイの長期栽培は無理なので、明るい水槽に1日ずつ交互に入れ替えることにした。
 
4月13日
 どうやらミミズを食べてくれたようで、ミミズは見当たらなかった。
またミミズを3匹見つけたので、入れた。
 
4月15日
 夜、交尾を確認した。
ミミズは食べてくれているようで、死体はまったく見つからないが、昨日入れた煮干はやはり食べていないようで、残っていてまた水質を悪化させてしまった。
また水替えをした。ゲンゴロウは想像以上に臆病で、電気を付けているとまったく表に出て来ない。
 
4月16日
 タイコウチが食べたドジョウの死体を入れてみた。
 
4月17日
 ドジョウの死体を食べてくれたようで、無くなっていた。
ケースの置いてある場所は大変暗いし、毎日交換ホテイアオイを交換しているとはいえ、暗い場所はよくない。
自分の部屋で飼育はできなくなるが、日光の入る出窓に置いてあるガムシのケースの隣に置くことにした。
水質はエサの腐敗のためにすぐに悪化してしまい、2,3日に1回水替えをしている。
 
4月18日
 かなり活動的になってきたようで、夜泳いでいる姿をよく見るようになってきたので、煮干をやってみると、よく食べてくれた。
 
4月23日
 タイコウチに使うドジョウは毎日出る訳ではないので、代わりとなるエサとしてミミズを与えてみたが、好物だったのか物凄い勢いで食べて2匹がミミズを奪い合っていた。
 
産卵用水槽 60cm水槽
ろ過の効いていない特大プラケースではすぐに水質が悪化したり、照明がないために産卵用水草が枯れてしまうので、♀1匹をエビなどを飼育している60cm水槽に入れた。
(2005.6.11)
 
6月11日
 ゲンゴロウ2ペアは大変元気である。
しかし、食べ残しなどがあると1日で水質が悪化し、悪臭を放ってしまう。産卵用に入れておいたホテイアオイも強い光が必要だったために、枯れてしまった。
このままでは繁殖は無理なので、♀をエビやメダカの稚魚などを飼育している60cm水槽に入れることにした。
この水槽はろ過も効いていて、蛍光灯の光も強く、ホテイアオイも元気に栽培できている。
岩や水草などがレイアウトしてあるので、一度入れたら取り出すのはほとんど無理なので、入れるのは♀1匹のみにした。
交尾は購入数日後で確認しているので、この♀もまず交尾済みと考えられる。
 
6月25日
 予想通り、60cm水槽に♀を入れて以来、ゲンゴロウの姿を見ることはなかった。
しかし、1日おきくらいにミミズを入れている。
今日ふと水槽を覗いてみたところ、ホテイアオイの根元あたりでゲンゴロウが動いているのを見ることができた。
もしかしてとっくに水槽から飛び出して逃げてしまったのではという不安があったので、ちゃんといてくれてうれしかった。
 
7月
 ♀を60cm水槽に入れてから1ヶ月ほど経ったが、エサとなるミミズ採りが進まず、エサ不足の状態が続いてしまっていたので、相当飢えていたらしく、エビ用に与えている魚の配合飼料に集まってくるようになり、食べているようであった。
なんとかミミズを積極的に与えて産卵させてみたいので、♂を入れて再度ペアリングさせることにした。
 
交尾 交尾@
♂は前足にある吸盤で♀にしっかりと掴まることができる。
お尻を水面に出して呼吸をしながら交尾していることも多い。
(2005.8.12)
 
8月12日
 ゲンゴロウペアは60cm水槽で逃げることなく元気にしており、ミミズを入れると物凄い勢いですぐに食べつくしてしまう。
深夜、ふと水槽を見ると交尾をしているのを発見した。
度々交尾していると思うので珍しい光景でもないが、撮影してみた。
産卵するとして産卵場所はホテイアオイの太い茎の部分であるが、よく見ると少し齧ったような跡がある。しかし、産卵跡とは断言できないが、孵化したとしても60cm水槽内で小さな幼虫を見つけるのは難しいかもしれない。
既にこの水槽で飼育していたメダカの稚魚も中位に成長し、8月9日から産卵しているのを確認している。ゲンゴロウの幼虫をメダカが食べてしまうということもあるかもしれないが、自然に任せることにした。


 
交尾A
(2005.8.12)
 
 
交尾B
♂の交尾器が♀に入っているのが確認できる。
白い糸のようなものは水草の根。
(2005.8.12)
しばらくサボっていたので、これまでの飼育状況と今後の計画
2006年3月6日
 秋〜冬にかけて時々刺身か煮干をやる程度の飼育を続けてきたが、産卵用ホテイアオイは強い光を必要とするために水槽内の蛍光灯の明かりだけだったために枯れて取り去ってしまい、産卵には至らなかった。
昨日、たまたまマメゲンゴロウを1匹採集してきたことがきっかけとなり、また本種についても再挑戦したくなった。
これまで、オープンな60cm水槽で1ペアを飼育していたが逃げ出さず調子がいいので、温度管理していない部屋で大プラケースで飼育していた1ペアについても60cm水槽に入れることにした。この1ペアは冬場の間まったくエサを与えていなかったが、とても元気にしててくれた。
60cm水槽の水草やミズゴケはすごく繁茂して、水が蒸発して枯れかけたらバケツの水をどっと入れるようなかなり大雑把な管理をしていたのが幸いして、独特の風景を醸し出していた。
ろ過器は途中でうるさくなってしまったので、横着して止めているのだが、水草のおかげでいつも澄みきっている。
水槽内のメダカ達も元気にしている。なんとエサをやっていなかったのだが、水草の水上葉についている白く小さいトビムシがよく水面に落ちてそれをエサとしていたのであった。

と、まあお恥ずかしい限りの管理で申し訳ないです・・・。
 
今年はできれば産卵させたいが、産卵に必要な太い茎を持つ植物というのがほとんど直射日光くらいの強い光を必要とするものばかりなので、なかなか難しそうだ。水中に浸かっている少し太めのトポスライムの茎に産卵してくれないかなぁと思っているが、茎の中がスポンジ状でないとダメなので、トポスで代用は少々無理かもしれない。
もう少し水位を上げて、陸に生えているスパティフィラムの茎に産卵させようかと考えている。
 
産卵用のセット ゲンゴロウ飼育用の60cm水槽
植物の浄化作用に頼って、ろ過器は停止している。
右に取り付けてあるのは、数日前にメダカの卵を見つけて、食べられないように隔離したワンルームマンションという便利なケース。
左に茂っているのがスパティフィラムで、この茎に産んでくれるのではと期待し、茎が水に浸かるように水位を上げた。
(2006.3.12)
 
3月12日
 今日はマメゲンゴロウがあっさりと産卵してくれた。ゲンゴロウも頑張ってほしいものである。
ゲンゴロウは元気で煮干もよく食べてくれている。産卵できる環境であれば産卵してくれると思うが、産卵に適した太い植物が水中にないため、水位を上げて陸地に生えているスパティフィラムの茎に産卵させようと水を足してみた。
最近、ゲンゴロウによくエサやりをするため、水が少し濁ってしまうようになったので、バケツ1杯分の水を入れ替えてみた。
飼育開始当初はすごく臆病で、去年までは人が来るとものすごい勢いで逃げてしまっていたが、60cm水槽の生活が慣れてきたのか、いつも見えるところでゆうゆうと泳いだりエサを探すようになってくれた。
エサがないためと思われるが、煮干の食いつきも去年よりも格段によくなっている。
ゲンゴロウやメダカに毎日エサやりをするようになり、モノアラガイも大繁殖している。
とにかく水草が生え放題でまるでジャングルなので、ゲンゴロウが産卵したとして、果たして卵や幼虫が見つけられるのかという不安もあるが、注意深く観察を続けていきたい。
3月13日
 今日は夕食がカツオのたたきだったので、与えてみた。
すぐに食べてしまったらしく、マメゲンゴロウを観察している間にカツオのたたきは消えていた。
また交尾をしようとしていたが、合体はしていなかった。
目の前を悠々と泳いでいるので、撮影してみた。
ゲンゴロウが食い散らかした煮干の残骸やメダカの食べ残しなどをモノアラガイヤマトシマドジョウが食べてくれて、非常に助かっている。
まるでパラダイスのようで、見ていて楽しい。
 
3月15日
 水草がうっそうと茂りすぎていたので、邪魔な水草や枯れた葉などを取り除いた。あと、エサをよくやるようになってから、常に濁るようになってしまったので、バケツ2杯分の水換えをし、ろ過装置も再び使うことにした。
産んでくれるのではと期待しているスパティフィラムの茎を調べたところ、かなり固く、内部もとても固そうで、ホテイアオイなどの中が白く発泡スチロール状の柔らかなものとはかなり違い、ゲンゴロウの産卵として使うのには難しいかもしれない。
 

堂々と泳ぐゲンゴロウ
まったく臆病でなくなった。
(2006.3.13)
泳ぐゲンゴロウの♂
(2006.3.13)
 
空気を取り入れるゲンゴロウ
(2006.3.13)
交尾行動
♂は前足の吸盤を使ってしっかりと♀を捕らえることができる。
(2006.3.13)
 
ゲンゴロウと同居しているメダカ
ゲンゴロウは生きたメダカにはまったく興味を示さない。
(2006.3.13)
産卵
3月17日
 スパティフィラムの茎を見てみたら、なんと産卵跡と思われる穴があいていた。
スパティフィラムの茎はとても固く産卵は期待できないと思っていたので、とても感激した。水槽側面からも確認したところ更に3個の穴を確認できた。
去年よりも頻繁にエサやりをしたことが、早期産卵につながったようである。
ゲンゴロウの産卵跡
暗くて鮮明な写真が撮れなかったが、このような明確な穴を複数確認することができた。産卵跡と考えて間違いない。
(2006.3.17)
 
刺身を食べるゲンゴロウ
特に刺身など柔らかいものは好んでよく食べる。
(2006.3.17)
3月18日
 スパティフィラムの茂みを水槽の横から覗いてみると、ゲンゴロウが根部を齧り、回転して齧った場所にお尻を付けて産卵していた。
運よくゲンゴロウの産卵シーンを見ることができた。
ただ、本によると茎に穴が開いていても、実際には産卵してない場合もよくあるらしいので、しばらくこのままにしておくことにした。
 
3月19日
 今日も小さく千切った刺身を与えると、ゲンゴロウ4匹が物すごい勢いで、刺身に齧り付き食べ出した。
豪快な食べっぷりは見ていて楽しい。
ろ過装置のおかげで、水の濁りも無くなり、くっきりと澄み切っている。
ただし、夜は水の音がうるさくて寝られない場合、止めている。
 
 

Homeへ   戻る