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クロアゲハ
学名:Papilio protenor demetrius
Data
和名 クロアゲハ
前翅長 45〜70mm
分布 本州(秋田県・岩手県以南),佐渡島,隠岐,四国,九州,壱岐,対馬,五島列島,甑島列島,大隅諸島,トカラ列島,奄美大島
出現期 4〜10月
花の蜜
 幼虫はミカン科のミカン,カラタチ,ユズなどの葉を食べる。
解説 黒いアゲハチョウ。
大型のアゲハチョウで、前翅は黒〜灰色の模様があり、後翅には赤い斑紋が見られる。
 
管理人の庭にはユズの木があるが、本種がよく卵を産み付け、幼虫によってユズの苗木をほとんど坊主にされてしまったことがある。
生態はアゲハと似ており、食草や幼虫の模様もよく似ている。
 
幼虫は4齢幼虫までは白黒のまるで鳥の糞のような色をしており、擬態(ぎたい)の効果があるが、5齢幼虫になるとさすがに大きく目立ってしまい、返って捕食され易くなるためか、突如として緑色をして大きな目玉模様が現れ、今度は威嚇に徹する。幼虫は触れると頭部の上部より、二股に分かれた赤く柔らかい角を出して、酸っぱ味のある強い臭いを出し、威嚇する。
幼虫が出す臭いはユズやサンショウなどの食草が持つ強い臭いの成分により出すことができるのだろう。
 
キアゲハではヨーロッパキアゲハの亜種という位置づけであるが、本種の場合はヨーロッパには分布せず、ヒマラヤ〜インドシナ半島、中国南部〜朝鮮半島に分布しており、日本には2亜種が生息している。
 
国内に生息するPapilio属は以下の2種。
和名/学名 分布
クロアゲハ
Papilio protenor demetrius
本州(秋田県・岩手県以南),佐渡島,隠岐,四国,九州,壱岐,対馬,五島列島,甑島列島,大隅諸島,トカラ列島,奄美大島
クロアゲハ(沖縄・八重山亜種)
Papilio protenor liukiuensis
沖縄,八重山諸島
 
PHOTO

クロアゲハ@
表の翅は真っ黒である。

クロアゲハA
上の写真の個体よりも赤紋が少ない。
赤紋の出方には個体差がある。

クロアゲハB
花の蜜を吸っている間もずっと羽ばたいている。

クロアゲハC
背後から見ると真っ黒なチョウである。

2齢幼虫
まるで鳥の糞。白が混ざるところや、濡れているような質感までほぼ完璧な擬態。

ユズの枝に止まる5齢幼虫
アゲハの幼虫に似ているが、胴体にある太い縞模様が、アゲハでは空色掛かった緑色なのに対し、本種では茶色をしている。

威嚇する5齢幼虫
指で頭部を突いてみると、頭部を持ち上げ二股に分かれた赤い角を出し、強い臭いを発して威嚇してくる。

5齢幼虫の頭部
実際の頭部。まるで着ぐるみを着ているみたい。
模様の目玉は大きいが、実際の目はほとんど点で左右4つずつあるようだ。複眼ではなく、単眼なのであまり目はよくないと思われる。


11月25日にユズの木で発見した蛹。
寄生されていたのか羽化しなかった。
 
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