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ヘラクレス・リッキー飼育記
Dynastes hercules lichyi
産地:コロンビア
 
〜幼虫飼育編〜
 
 
まずまず順調に採卵、幼虫を採ることが出来ました。
ヘラクレスの中で一番大型になりやすいということで、
160mmオーバーを目指して飼育していこうと思います。


ヘラクレス・リッキーの1齢幼虫
 


 


これまでの結果
 これまでの飼育の結果、小型♂86mmと4匹の♀から155頭の幼虫が得られた。しかし、産卵数にはバラつきがあり、♀69mmの大型の♀は元気なのに12頭しか得られなかった。小型の♂に複数交尾させたことが原因なのかもしれないと考えている。
とりあえず、飼育しきれる数ではないので、販売したり譲るなどして、自分用には各種親から10頭前後確保して飼育していくことにした。
 種親の4匹の♀は分かり易いように産卵させた順に♀61mm=♀68mm=♀69mm=♀60mm=と表示することにする。

幼虫飼育開始
2002年12月29日
 採取した♀aからの1齢幼虫は自分の飼育用として5頭、2Lブロー容器に1頭ずつセットした。
マットは、下部に市販のカブト専用マット、上部に採ってきた腐葉土主体でクヌギマット、カブトマットを混ぜたものを使用した。大型になりやすい亜種だけに、160mmオーバーの個体を作出したいものである。
 大型化にドッグフードが有効と言われているが、コーカサスオオカブトにも試してみたが食べる前に泥状に腐り、ダニ、線虫などが発生して非常によくなかったので、天然の腐葉土主体のマットで大型を目指すことにした。ムカデなどの雑虫はいるが、菌糸が強力に発生して劣化もしにくく、良い状態を保ってくれるので、期待できると思う。
飼育温度は冬場はエアコンで25℃前後に保っている。
 残りの幼虫は交換・販売用に500mLブロー容器にストックしておいた。ムカデやダンゴムシの出る腐葉土は販売には適さないこともあって、カブトマットとクワガタ幼虫飼育に使ったマットを混ぜたものを使用した。

1齢幼虫
(2002.12.29)

 

1齢幼虫を入れた2Lブロー容器
2Lブロー容器で単独飼育して大型化を狙う
(2003.12.29)

2003年1月4日
 ♀bのケースから卵32個と1齢幼虫2頭得られたので、この2頭も2Lブロー容器にセットした。残りの卵はプリンカップで人工孵化させることにした。
 卵はその日の夜から孵化を始め、1月25日まで29頭の幼虫が得られた。幼虫はマットを食べ始めて数日おいてから3頭を2Lブローにセット、残りは500mLブロー容器にセットした。
1月25日
 ♀cも同様に幼虫を採取、採卵もしたが、この個体は産卵数が少なかった。この種親からは5頭2Lブロー容器にセットした。

プリンカップ大にセットした卵
(2002.12.29)

2齢幼虫

2齢幼虫
(2003.2.8)

2月8日
 年末年始に孵化した幼虫はすべて2齢幼虫になっていた。
500mLブロー容器に入れていたものは狭いだろうと思い、12頭ほど2Lブロー容器に移した。売り物用だったがこのまま成虫まで飼育してみようかと思う。
 ちなみに現時点で幼虫は全部で76頭、セットが大変で少々育児ノイローゼ気味である。
2月15日
 マットが非常に劣化していた3つの容器を交換したところ1頭まったく見つからなかった。マットの劣化で死亡したようだ。劣化の原因はコバエの繁殖のようだ。
3齢幼虫
3月2日
 一番最初(12月29日)に採取した幼虫はすべて3齢幼虫になっていた。
3月21日
 ♀bからの幼虫もマットが劣化したため交換したら、3齢幼虫になっているものがいた。
そろそろ2Lブロー容器では狭くなってきたが、しばらく我慢してもらおう。
3齢幼虫@(♀68mmからの幼虫)
(2003.3.21)

 

3齢幼虫A(♀68mmからの幼虫)
かなり毛深い
(2003.3.21)

種親♀の死亡
3月29日
 Bobさんに交換してもらった♀dが死んでいた。結構早死にでショック。2ケースセットしたが、採れた卵は15個、1齢幼虫4頭と少ないが卵はほとんど幼虫が透けて見えていたので孵化してくれることだろう。
4月7日
 ♀61mmが死亡していた。結局この♀からは46頭の幼虫が得られた。
4月19日
 採卵時、♀68mmが死んでいるのを発見、この日は17頭の幼虫を掘り出した。結局この♀からは81頭の幼虫が得られた。

雌雄判別・ケース変更
4月6日
 2Lブローの3齢幼虫達はかなり狭くあっという間に糞だらけにしてしまうので、大プラケースへ移すことにした。すべて3齢幼虫になっているので、雌雄を判別してみた。♀bの幼虫は6頭中♂5頭となぜか♂に偏ってしまったので、同じ種親からの♀を新たに大プラケースで4頭セットした。
 ♂幼虫は大プラケースで2頭ずつセットした。中プラケースで単独飼育も1頭した。♂の体重はだいたい50g代で大きいもので56gあった。スペースの都合上、2Lブロー容器で飼育続行するものも多数いる。たくさんあった大プラケースも遂に使い切ってしまった・・・。
4月28日
 ♀cからの幼虫5頭も3齢幼虫になっていて、5頭中4頭♀と今度は♀に偏ってしまった。♂(42g)は1頭だったので、大プラケースに単独飼育して大型を狙ってみることにした。♀幼虫はすべて大プラケースで4頭飼育でいくことにした。

マット交換(3回目)@

3齢幼虫;99g
かなり大きくなっていた。
(2003.5.24)

5月24日
 大プラケースの♂2頭(a-1,5)のマットが劣化していたので、マット交換してみることにした。
取り出してみるとかなりデカくなっている!。測ってみると、99、97gあった。孵化から半年ほどで99gだと、100gオーバーは楽勝のようである。
 マットは埋め込みマットからフスマを添加して作成した自家製マットを主体に埋め込みマット、カブトマットを混ぜた。腐葉土は取りに行く時間も体力もなく、当分はこのマットで飼育することにする。
6月8日
 中プラケースで単独飼育している♂幼虫のマット交換をしてみた。前回4月6日の交換時36gだったが、2ヶ月で98gにもなっていた。

2齢幼虫の脱皮
5月31日
 管理表以外の産卵後半の幼虫達もどんどん3齢幼虫になっていた。その中に脱皮後、日が浅いと思われる頭部の色が明るい3齢幼虫がいてそばには2齢幼虫の抜け殻があった。
脱皮直後の頭部が白い幼虫もケース側面から見たこともあるが、デリケートだと思うのでその時は掘り出さなかった。殻はそのまま幼虫のエサになるかもしれないので、マット中に埋めておいた。
脱皮後、日が浅い3齢幼虫
頭部の色が大変明るい。
(2003.5.31)
 

2齢幼虫の抜け殻
縮んでいた皮を伸ばしてみるとビニールのように伸びた。
(2003.5.31)

マット交換(3回目)A 118gの3齢幼虫
2頭ずつ飼育していたが、かなり大きくなっているので、単独飼育に切り替えた。b-1の幼虫である。
(2003.6.15)

6月15日
 大プラケースの♂2頭のケース2個が糞だらけになっていたので、急いでマット交換した。
かなり大きく成長していて最大で118gに達していた。1齢幼虫からたった半年で118gまで成長したことになる。他は110g、100g、99gだった。これだけ大きくなっていると大プラケースで2頭でも窮屈かと単独飼育に切り替えてみた。まだまだ大きくなりそうで今後が楽しみだ。
 多頭飼育している♀のケースはいつの間にか糞だらけというよりも糞だけの状態になっていて急遽マット交換した。♀aの幼虫は1頭消滅してしまっていたので、後半の幼虫群から1匹追加した。ケースを外から見てもマットが側面にへばり付いているために気が付かなかった。実際にはケース半分以下にまでマットが縮んでいて、糞だけの状態だった。♀bもマットが縮んでいたがまだ糞もそれほどではなかったので、マットを追加するだけにしておいた。

マット交換(4回目)
7月12日
 大プラケースの♂2頭(a-1,5)のケースのマットがかなり縮んで糞だらけになってしまったので、4回目のマットをすることにした。
 幼虫は102,104gだったが、前回のマット交換時に比べるとそれほどは大きくなっていなかった。
やはり♂幼虫2頭で大プラケースでの飼育はかなり窮屈そうに思えるので、特大プラケースで2頭同時飼育をすることした。
他、♀幼虫のマット交換もおこなった。
8月23日
 ♀bの♀幼虫のマット交換をおこなった。
大プラケースで4頭で飼育していたが、見ない間にマットが半分以下に縮んで乾燥も進んでいたが、無事に生存していた。
♀幼虫でも大プラケースで4頭はかなり窮屈に感じたので、大プラケースで3頭ずつ飼育することにした。
9頭いたので、♀bの♀幼虫だけでも大プラケース3個使うことになってしまった。
9月6日
 ♀bの大プラケースで♂幼虫を単独飼育しているケースがかなり縮んできたので、マット交換することにした。
 取り出して体重を測定してみるとb-5の幼虫は122gもありその大きさに驚いたが、b-1を取り出してみると更にビックリ!132gもあった。この幼虫は前回118gもあって一番期待していた幼虫だったが、更にb-3の幼虫を取り出してみるとなんと138gもあった。
どの幼虫もその大きさに圧倒させられた。
 かなり期待できる幼虫達なので、マットは市販の専用マットのみにして、使用済みマットなどの混入はやめておいた。
 ♀aの中プラケースで単独飼育しているNo.6の♂幼虫のマット交換もしたが、こちらは前回98gでマットにもそんなに糞が目立ってなく良い環境を保っていたので期待したが102gで4gしかUPしていなかった。クワ本にも記載されているが、やはり飼育ケースが小さいと小型化しようとするのだろうか?

No.1;132gの3齢幼虫@
この幼虫も相当大きいが138gの幼虫もいた。
(2003.9.6)
No.1;132gの3齢幼虫A
これだけ大きいと160mmオーバーも夢ではないかもしれない。
(2003.9.6)

  No.3;138gの3齢幼虫
3頭掘り出したうち最大の幼虫。まだ掘り出していない幼虫も130gオーバーがまだまだ出てきそうだ。
(2003.9.6)

9月15日
 大プラケースで単独飼育しているb-6の幼虫もマット交換をした。取り出してみるとこの幼虫も138gもあった。
大プラケースで単独飼育しているc-2の♂幼虫もマット交換した。この幼虫も既に126gになっていて飼育開始時期が♀bの幼虫達と1ヶ月遅れていることを考えるとb-6の138gの幼虫と同じペースで大きくなっていることが分かる。
 マットは自作フスママットと市販のカブト専用マットを半々に混ぜたものを使用した。
大プラケースで♀幼虫4頭を一緒に飼育している♀cのケースをマット交換したが、♀幼虫なので使用済み主体のマットのため、既にマットが黒土化していてあまり大きくなっていなかった。
さきほどマット交換した♂幼虫のマットはそれほど糞が目立たなかったので、そのまま♀幼虫用に使用した。

マット交換(5回目) No.6;144gの幼虫と国産カブトの3齢幼虫
あまりの大きさに国産カブトが小さく見えてしまう。
(2003.11.3)
11月3日
 大プラケースで単独飼育している138gの幼虫2頭(b-3,6)のケースがだいぶ縮んできたのでマット交換をすることにした。
b-6の幼虫は144gに成長していた。
b-3の幼虫は138gと前回と体重が変わっていなかった。
 なぜだろうか?
マットはb-6の幼虫では奈良オオ購入の専用マットと自家製フスママットを混ぜたものを使用して、b-3は他社のものが通常より安く手に入ったので、そのマットのみを使用した。マットの色もずいぶんと赤かったので気にはなっていたのだが、やはりよくなかったようである。b-1の132gの幼虫にも使っているので、体重UPはあまり期待できないだろう。
 今回のマットは奈良オオのマットに1/3程自家製小麦粉マットを混ぜたものを使用した。
 使用したマットはあまり糞が見られなかったので、♀幼虫4頭(c-1,3,4,5)を飼育している大プラケースのマット交換に使用した。♀4頭はかなり窮屈とみえて体重が減ってしまっているものもみられた。
11月23日
 大プラケースで単独飼育しているb-5の♂幼虫のマットも縮んで限界の状態だったので、マット交換した。
前回122gだったのだが、124gしかUPしていなかった。そろそろ成熟し始めたため成長が緩やかになってきているのだろう。
♀cの♂幼虫も4回目のマット交換になるが、前回126gだったのだが、今回は122gになって体重が減少してしまっていた。
例の安く入手したマットだったで、それも原因なのかもしれない。
今回は以前使用していたマットである奈良オオのカブト専用マットと自家製小麦粉マット、山から取ってきた腐葉土を混ぜたマットを使用した。

♀蛹室作成
2003年11月9日
 ♀aの大プラケースで4頭飼育している♀幼虫が蛹室を作成していた。ケース側面、底面から3個の蛹室が見つかったが、既に蛹室が完成しているようだ。
大プラケースで4頭飼育で過密なので、まだ蛹室を作成していない幼虫がいたとしたら、蛹室を壊さないか心配だ。
11月20日
 もう1頭も空いた空間で無事に蛹室を造った。
これで後は蛹化を待つばかり。既に3頭はシワシワの状態で、蛹化間近。

♀蛹化
12月3日
 蛹室を造った♀幼虫が遂に1頭蛹化した。
12月5日
 2頭目も蛹化した。
12月8日
 3頭目も蛹化した。
12月17日
 最後の1頭も蛹化した。
12月20日
 ♀bの♀幼虫3頭も蛹化していた。
他の♀幼虫も続々蛹室を造っている。
※残りの♀の蛹化は管理表を参照
♀の蛹室@
大プラケースで♀幼虫を4頭一緒に飼育していたケース。
マットの湿度が高い場合にオレンジ色になることが多い。
(2003.12.21)

  ♀の蛹室A
内部も見れる場合が多いので、懐中電灯などで照らして蛹になっているか確認できる。
(2003.12.21)

♂蛹室作成
12月14日
 ♀が続々蛹化するなか、♂はあと半年くらいズレるのかと思っていたのだが、なんとb-5の124gの♂幼虫が蛹室を造ってしまった。
今回は羽化ズレは無視して目標を大型化のみに絞って飼育していたので、同じ温度下で♀の多頭飼育・♂の単独飼育をおこなって羽化が揃うとは思いもしなかった。
 この幼虫もかなりの大型個体になると思われるが、他の♂幼虫はまだ蛹室を作成していないので、更に大型化が望めると思う。
12月31日
 b-6の♂幼虫のケースにコバエの幼虫が大発生してしまったので、急遽マット交換しようとふとケース底面を見てみるとなんとこの♂も既に蛹室を作成していた。この幼虫は144gにまで成長した巨大幼虫である。
コバエの幼虫の数が尋常ではなく、蛹室内にも多数見られるがなんとかこのまま蛹化までさせて、人工蛹室で羽化させようと思う。
現在人工蛹室はヘラヘラで使用しているからである。

♂複数飼育の飼育状況
12月20日
 特大プラケースで♂幼虫2頭で飼育していたa-1,5の幼虫はそのマットの容量から幼虫が食べ尽くすよりも早く劣化が起こってしまっていて、ミミズも発生してしまったこともあって、完全に黒土化してしまっていた。
マット交換も4ヶ月怠っていたので、大型は望めないだろうと思っていたが、マット交換してみると114g・112gと劣悪なマットの割にはまずまず大きくなっていた。
12月21日
 ♂幼虫2頭(c-6,7)で飼育している大プラケースもマットが相当劣化していたので、マット交換することにした。
体重を量ってみると120g・116gとかなりの大型幼虫だった。144gの特大幼虫には及ばないが大プラケースで単独飼育している幼虫達とあまり大差がなかった。

♂蛹化 蛹@
既に蛹になっていた。
体長は約159mm程であった。
(2004.1.1)

2004年1月1日
 今年も前日まで体調を崩してしまったが、なんとか新年を迎えることができた。
と思いながらAM0時10分頃、蛹室の前蛹を見てみるとなんと蛹化の真っ最中であった。
背中しか見えないが半分脱いでいる状態だった。0時ピッタリに蛹化を始めたみたいですごい!!
あと、他の幼虫の様子も見ようとb-1の♂のケースを見てみると底面からなんと蛹が確認できた。
現在♀も続々蛹化の真っ最中で、まったくズレがないではないか!?
専門誌などでは雌雄一緒に飼育した場合のみ♀の蛹化に刺激を受けて羽化が一致するという話は聞いたことがあるが、単独飼育では半年から1年以上ズレるといった記事を何度も読んだものなのだが・・・。ちなみにヘラヘラでもリッキーと同様の結果となっている。
蛹A
2頭目はなんと午前0時から蛹化を開始し、翌日にはオレンジ色の蛹になっていた。
(2004.1.1)


  蛹B
角曲がりはまったく無く、綺麗なカーブを描いていて140mm前半くらいの綺麗な完品が羽化してくれると思う。
(2004.1.1)


これまでの結果
 幼虫飼育開始から9ヶ月くらいまで、グングンと大きくなり、だいたい130g前後まで成長した。
それからは成熟の為か成長は緩やかになり、ほとんど体重がアップしなくなった。
♀が1年以内に蛹化することは容易に想像できたが、長く掛かると思われた♂までほぼ1年で蛹化を始めてしまい、意外な結果となった。
飼育温度はリッキーの為ではなく、自分がすごしやすい温度にしているので、真冬でも25℃前後の環境での飼育となった。
幼虫は最大で144gであったが、能力的には150gをオーバーすると思われる。
150gオーバーを目指すには、更にマットの栄養価を高くする必要がありそうだ。
飼育温度ももう少し下げれば幼虫期は長くなるが、更に大型になるかもしれない。
次は羽化編をご覧ください

 

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