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カブトムシ飼育記
Trypoxylus dichotoma septentrionalis
産地:神奈川県鎌倉市
 
〜鎌倉編2〜
 
 
 カブトムシの飼育は非常に簡単で、大量に繁殖してしまうため、前回の鎌倉産カブトの繁殖はプレ企画などでたくさん出したにも関わらず飼育数が多くてマット交換が追いつかず、極小の羽化不全の♀が大量に羽化し、非常に悲しい思いをしました。
今回、自宅近くで偶然カブトムシのペアを採集することができたので、また新しい発見があればと思い、累代飼育をしてみたいと思います。
 


 
カブトムシ採集 カブトムシのいたクヌギ
この道の奥は針葉樹林でいくら歩いても、広葉樹は1本もない。
こんな場所にクヌギがあるとは思いもしていなかった。
(2005.8.15)
 
 
2005年8月15日
 もう夏休みも終わりなのか・・・と思いながら日中に近所のお寺周辺を歩いて植物などの写真を撮って歩いていた。
墓地の奥の針葉樹の森の入り口付近に1本だけクヌギがあるのを見つけ、なんと日中にも関わらず、高さ1m付近にカブトムシのペアがポツポツと付いており、樹液を吸っていた。
なんと今まで欲しかった地元カブトが自宅から歩いてほんの10分のところに採集ポイントがあったとは、不覚であった・・・。
まず撮影してから採集した。クヌギの根元付近の落ち葉をめくってみると極小のコクワの♂が出てきたが、採集しなかった。
自宅に帰り、体長を測ってみると♂80mmと大型で、♀は50mmであった。
体色は黒っぽいが、天然物ならではの傷があり、幾度となくカブトやクワガタと喧嘩してきたのであろう。

 
クヌギの樹液を吸うカブトムシ♂
黒っぽいカブトではあるが、大型で立派な個体であった。
(2005.8.15)
 
クヌギの樹液を吸うカブトムシ♀
昼の2時20分くらいに採集した。
(2005.8.15)
 
飼育
 大プラケースに完熟マットをケース下部4cmほど固めに詰めて、ケース7分目まで軽く入れた。
外国産オオカブトではマットをフルイに掛けて微粒子にしたマットを使用するが、国産カブトムシの場合は粗くても構わず産んでくれるので、非常に楽である。
普通ならそのままペアで産卵ケースに入れるが、複数の雑誌社から交尾写真のリクエストがあり、今まで撮影したことがないことに気付いたので、後から交尾の写真を撮るために♂は別管理にした。しばらくはティティウスの♂と同居してもらう。
 
真横から見たカブトムシ♂80mm
大型で角の発達がよい。
(2005.8.15)
 
正面から見たカブトムシ♂80mm
(2005.8.15)
 
産卵
 
9月3日
ゼリー交換をうっかり1週間忘れてしまい、ケースを開けたところ、やはりゼリーは空だったが、♀の姿が見えないので、マット中に潜っているようだ。
ケースの底を覗いてみるとなんと1齢幼虫がうじゃうじゃ見えた。何度飼育しても国産カブトの繁殖力には驚かされる。
既に夜の1時になってしまっていたので、幼虫の採取は明日にすることにした。

卵・幼虫採取 卵@
交尾させなかったが、天然採集物の♀なので、野外で交尾していたので、受精卵を産んでくれた。
黄色っぽいのが孵化間近のものである。
(2005.9.4)
 
 
9月4日
 久しぶりの販売で発送等忙しかったが、ようやく時間が空いたので、カブトの幼虫や卵を採取することにした。
マットを取り出してみると幼虫と卵が出てきて、卵25個、1齢幼虫24頭、2齢幼虫も1頭出てきた。♀も元気であった。
今までの経験からするとこれでも少ないほうなので、たびたびゼリーを切らしていたので、産卵数が減少してしまったかもしれない。
しかし、これからもたくさん産卵しそうである。
 
採取した卵はプリンカップで管理し、幼虫は2齢幼虫1頭を含む5頭を大型狙いで大プラケースで飼育し、残り20頭は多頭飼育で大プラケースにセットした。
マットは切らしていたので、産卵用の完熟マットを使用した。栄養が少ない可能性があるので、フスマも少々混ぜた。
 
卵A
(2005.9.4)
 
1齢幼虫
半月産卵させたところ、卵と幼虫が25頭ずつ半々の割合で得られた。
(2005.9.4)
2齢幼虫@
早くも2齢幼虫も見られた。
(2005.9.4)
 
2齢幼虫A
まだ頭部の大きい初期の幼虫である。
(2005.9.4)
最後の幼虫採取
 
10月30日
飼育中の幼虫達はすべて3齢幼虫になっており、糞だらけになってしまったので、すべてマット交換した。
種親のケースにも幼虫が沸いて糞だらけになっていたので、取り出してみると3齢幼虫42頭,2齢幼虫2頭が採れた。
種親の♀は既に死亡し、死骸も幼虫によってバラバラにされてしまっていた。

幼虫飼育
 
昆虫撮影のため、幼虫期間中の記録はまったく取っていなかったが、大筋では以下の通りである。
たくさん採れた幼虫達は特大プラケースや大プラケースで多頭飼育をした。
幼虫は食欲旺盛なため、大抵糞だらけになり栄養不足になって小型化や羽化不全をしてしまうので、マット切れに注意して飼育した。マットは産卵用マット作成時にフルイにかけて残った粗いマット・木片を追加したりして、蛹化まで飼育した。

蛹化〜羽化
 
7月16日
物置で飼育していた分のケースを開けて見ると普通サイズのカブトムシの蛹が出てきた。これは途中まで自分の部屋で飼育していたもので、コバエの大発生により、コバエが脱出してくるために、物置で飼育していたものである。
夜、玄関のほうのカブトムシの幼虫のケースが置いてあるところからゴソゴソと音が聞こえるので、見てみるとカブトムシの成虫達がマット上に出てきていた。既に羽化しているようであった。とりあえずゼリーを与えた。
 
7月17日
これからも続々羽化して成虫が出てきてしまうので、その中から大型の♂と赤めの♀を選んで繁殖用として、残りは放してやることにした。種親同様、黒っぽい個体が多かったのが少し残念である。
残念ながら、羽化が早く取り出しが遅れて餓死してしまったケースもあったが、大部分はこれから新成虫たちが続々マット上に出てくるようだ。
現状ではそれほどの数が出てきていないが、その中からやや大きめの♂と赤めの♀1ペアを残し、残りの活動を開始した新成虫達を逃がしてあげた。今後も続々新成虫が出てくると思うので、その都度より赤い個体を種親に変更していく予定である。
マット切れに注意してきたが、やはり小型化は避けられなかったようで、小型個体が多かった。数は数えていなかったが、大体特大プラケースに20〜30匹くらいだったようである。
 
7月23日
こ予想通り、続々羽化してマット上に毎日数匹出てくるようになり、そのたびに逃がしてあげている。
いろんなところに飛んで行って増えて欲しいものだ。
♂の蛹@
普通サイズの蛹。
(2006.7.17)
 
♂の蛹A
(2006.7.17)
♂の蛹B
(2006.7.17)
 
♂の蛹C
(2006.7.17)
♀の蛹@
(2006.7.17)
 
♀の蛹A
(2006.7.17)
♀の蛹B
(2006.7.17)
 
続々羽化してくる新成虫達
やや赤めの♀と普通サイズの♂を残し、他は逃がした。
今後更に大型の♂や赤い♀が出てきたら種親を変更していく予定。
(2006.7.17)
 
 

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