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コーカサスオオカブト飼育記
Chalcosoma chiron chiron
産地:ジャワ
 
 
当初、まだ初心者の私が、1番欲しくて最初に購入したカブトムシがこのコーカサスオオカブトでした。
その分、思い入れも強く飼育下では出にくいとされていた長角の♂も
羽化する事が出来、雑誌KUWATAでも飼育記を紹介させて頂きました。

※ちなみにJAVAと書いてジャワと読みます。


ジャワ産/WF1 コーカサスオオカブト




種親購入
2000年5月30日
 ドルク○グッズより、ジャワ産コーカサスオオカブト1ペアを購入した。(♂105mm・♀59mm)。
当初黒光りのカブトムシというイメージを抱いていたのだが、緑色の光沢が大変美しくて期待していたより更に感激した。

ジャワ産/WILD ♂105mm
想像以上に攻撃的。緑味を帯びた光沢が大変美しい。

 

ジャワ産/WILD ♀59mm

交尾

交尾

5月31日
 ゼリーを舐めている♀に♂を乗せてやるとそのまま交尾に入った。約5分で交尾器を抜き、態勢も崩れ出したのでそのまま♀から放して、終了させた。
♂の気性は大変荒く、一つ間違えると♀を攻撃して殺しかねないので、細心の注意が必要である。

産卵用ケースのセット
 大プラケースにクヌギマットと腐葉土を半々に混ぜたものを入れ、下2,3cmは少し固めに詰めた。産卵促進にと小さめのクヌギ材を半分埋めた。

産卵
6月8日
 マットは引っ繰り返したように隆起していた。マットの下部を少しほぐすと卵が2個出てきた。採った卵はプリンカップに小麦粉発酵マットを詰め、箸で穴をあけ見えるように側面にセット、人工孵化をすることにした。


産卵して間も無い卵は白く細長く、日が経つに連れ丸く膨らみ、孵化が近づくと黄色っぽくなりマットがまとわりつきやすくなり、幼虫も透けて見えるようになる。

 

プリンカップにセット
孵化率81%、高確率で孵化した。
丸く大きく成長する卵はほぼ間違いなく孵化する。

6月11日
 マットが♀によって固められていて、非常に採りにくく卵を潰してしまわないように慎重におこなった。マットの下部の塊の中から卵が1個ずつ出てきて、全部で12個採れた。マットを元に戻し、セットしなおした。
6月14日
 潜ったきりなかなか姿を見せなかった♀がゼリーを食べていたので、2度目の交尾をおこなった。

孵化
7月6日
 最初の卵が2個共に孵化した。約1ヶ月で孵化するようだ。
以後、8月17日まで次々と孵化が始まり、最終的に47頭の幼虫を得ることができた。孵化率は、81%だった。孵化した幼虫は中型コンテナ、大プラケースに10頭前後セットした。

人工孵化

 

1齢幼虫

種親♀死亡

種親♀59mmの死体

7月22日
 ♀がマット上でひっくり返った状態で死んでいた。後ろ足1本以外全てのフセツがとれていて、体力を使い果たしたようだ。
この日までに合計59個の卵と初齢幼虫1頭を採取した。
2齢幼虫

2齢幼虫
気性が荒く、指で触れるだけで素早く噛み付こうとする。

7月30日
 古い幼虫はすべて2齢幼虫になっていて活発にマットを食べていた。
8月6日
 中型コンテナの幼虫10頭は2齢幼虫になっていて過密状態になっていて、1頭見当たらなかった。過密状態が原因らしい。
8月12日
 他のケースも過密状態になり、2頭いなくなった。以後、大プラケースに3〜5頭で飼育することにした。
種親♂死亡
9月4日
 ついに種親の♂が死亡した。既にフセツは1つ以外すべて失われていてボロボロの状態だった。

3齢幼虫
10月28日
 ♂幼虫は白く巨大に成長し、♀は♂幼虫より一回り小さく黄色く成熟していて蛹化が近いようだ。♀幼虫は、よくマット上に出て動き回っていた。恐らく蛹化に適した場所を探し回っていると思うので、♀幼虫を大プラケースに蛹化用にマットを固めに詰め、セットした。

♂の3齢幼虫
この時点で幼虫の雌雄は明白になる。
白く大きく成長するのが♂で、黄色く一回り小さい幼虫が♀である。

 

♀の3齢終期の幼虫
黄色く成熟した♀幼虫。蛹化は間近。

12月4日
 蛹化用にセットした♀幼虫がようやくマットの底に落ち着き、翌日蛹室を造り始めた。
12月17日
 蛹化用にセットしたケースの♀幼虫は3頭とも蛹室を作り、じっとしている。ケースの底から幼虫の1部が少しだけ見える程度なので観察はほとんど出来ない。

♀蛹化
12月26日
 1頭が蛹になっていたのがプラケース底面確認できた。
2001年2月20日
 最初に蛹化した蛹が真っ黒くなっていた。羽化直前のようだ。

♀羽化
2月21日
 最初に蛹化した♀の蛹が羽化したのがプラケース底面から観察できた。

人工蛹室作成

むき出しの状態ででてきた♀の蛹

3月5日
 ♂・♀を選別しようと幼虫を掘り出したところ、♀の蛹がマット中にむき出しの状態ででてきた。♂幼虫に蛹室を壊されたと思うが、マットも蛹室造りに適さず頑丈なものが造れなかったのかもしれない。
むき出しの状態ででてきた♀の蛹は人工蛹室に移した。ミニコンテナに加水させた黒土を詰め作成した。黒土はマットに比べ粒子が細く崩れにくい為、蛹室造りにむいている。
4月16日
 マット上で前蛹体になっている幼虫を見つけたので、人工蛹室を造り、管理した。

人工蛹室にセットした♀の蛹
人工蛹室は黒土で作成した。
乾燥するとひび割れを起こすので、注意が必要。

 

人工蛹室で羽化した♀

♂蛹化

小型の♂の蛹
同じケース内の大型の幼虫に邪魔されたようで、マット上で前蛹体になってしまった。

4月29日
 マット上で前蛹体になっていた幼虫が人工蛹室で角の短い♂の蛹になった。
5月1日
 ♂幼虫も全て成熟していたので、蛹室を造り易いようにケースの1/4を黒土とマットを混ぜたものを固めに詰めてセットし直した。ケースによっては蛹室を造っている最中の♂幼虫もいた。
5月7日
 多数の♂幼虫が蛹化し始めたようだ。しかし、プラケース側面から一部分しか観察できない。
5月28日
 線虫が大量発生してマットが泥状になってしまったケースがあったので羽化不全を防ぐ為、♂の蛹2頭を人工蛹室に移した。いずれも中型個体だった。

成熟して黄色くなった♂の3齢幼虫

 

中型の蛹

小型♂羽化
6月21日
 小型の♂が羽化した。体長は65mmほどしかなく、ものすごく極小な♂であった。

小型の♂65mm@
蛹室が造れず縮んだようだ

 

小型の♂65mmA
ここまでの極小個体はこの1匹だけだった

中型♂羽化
6月24日
 人工蛹室の中型の♂が羽化した。プラケースの蛹もどんどん羽化している様子。

中型の♂の羽化

 

中型の♂80mm
羽化した♂の大半がこのサイズだった

大型♂蛹発見
6月30日
 マットの劣化もあり、蛹室を暴いたところ大型の蛹を発見!!
本には大型作出は非常に困難と書かれており、正直中型ばかりで大型の♂は諦めていたので、非常に興奮した。
慎重に人工蛹室に移した。

大型の蛹
掘り出し時の蛹。蛹室の壁のラインに沿って胸角が湾曲しているのがよく分かる。

 

人工蛹室の大型の蛹
胸角が湾曲して先端部が接触している。

大型♂の羽化
7月12日
 待ちに待った大型の♂が遂に羽化した。体長は108mmだった。
以後、8月までに全ての♂が羽化した。

大型の♂の羽化@
発見時、既に脱皮して前翅は黄色く色付いていた。

 

大型の♂の羽化A

大型の♂の羽化B
前翅も完全に色付いた。

 

大型の♂108mm
羽化した中で1番大きかったが大型だからなのか?緑みが弱い。

8月16日
 すこし大きめの♂がマット上で活動していた。体長は99mmだった。
緑色の光沢に富み、かなりの美麗個体で108mmよりもお気に入りである。

大型の♂99mm@
ジャワ産特有の頭角先端部の山形突起も確認できる。

大型の♂99mmA

 

大型の♂99mmB

雌雄の羽化ズレの問題
 ♀は飼育開始より8,9ヶ月、♂は約12ヶ月で羽化、4ヶ月前後のずれが生じ、F2以降の累代飼育が困難になってしまった。
♂が羽化した頃には♀はボロボロである。

種親♀確保
7月27日
 取出しをおこなっていないケースから♂3頭と、奇跡的に♀が1頭だけいたので、種親として累代飼育に挑戦することにした。

羽化が遅かった♀50mm
後に小型、中型の♂と交配させる事ができた。

 

♂の羽化に間に合わなかった♀59mm
ほとんどの♀は2〜3月に羽化、多頭飼育した為、♂が羽化する頃にはフセツもとれ、ボロボロになっていた。

新成虫の飼育
 羽化後、2ヶ月で後食を開始し、今回は数が多かったため、スペースの都合上♀を中コンテナ(Q BOX30)で4,5匹飼育したが、♀同士でもものすごい喧嘩をしてバリバリと激しい音を立てて、頭同士をぶつけて激しく争っていた。
中型の♂もケースやスペースが足りなかったことで複数で管理したが、1日でどちらかがバラバラになってしまった。
コーカサスオオカブトはとにかく活発で、♂♀共に食欲も旺盛でその分排泄量も多く、数週間でマットがドロドロになり悪臭を放った。
足が長くツメが鋭い分、フセツは早く失われ、完品で死んでくれることもなく、綺麗な光沢も鈍くなってきて今回のコーカサスの大量飼育で疲れきってしまったというのが正直なところである。
結論としては、♂♀共多頭飼育は絶対に禁物。

♀50mmの羽化が遅れた理由
 ♀50mmが他の♀と羽化の時期が遅れた理由については、
1.このケースだけ♂♀選別をしなかったこと
2.複数の♂幼虫に邪魔されてマットを固められず、蛹室を造れなかったこと
3.多数の飼育により管理が行き届かず、マット交換を怠っていたこと
  (マットの劣化により成長が遅れた)

などが考えられる。

 

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