カバイロハナムグリ | |
学名:Protaetia culta yaeyamana | |
![]() 新成虫♂(2022/5/28 石垣島産/F3) |
Data | |
和名 | カバイロハナムグリ |
体長 | 19.5〜24.6mm |
分布 | 北海道,利尻島,天売島,本州,飛島,粟島,佐渡島,隠岐諸島(島後),四国,九州,対馬,平戸島,甑列島,屋久島 |
出現期 | 6〜8月 |
餌 |
イタジイ,クサギなどの樹液,オオイワガネの実 幼虫は腐葉土を食べる。 |
解説 |
八重山諸島に生息するハナムグリの一種。 ハナムグリの中でも特徴的で、淡黄色をしたビロード状が美しい種。 上翅は淡色の線状紋がある。 ♀は♂より前脛節は外歯が幅広く目立つことや腹部腹面の淡黄色の被覆物が小さく、露出部のほうが広いことで区別できる。(雌雄の相違点参照) 与那国島の個体は赤味が強い。 本種は日本産亜種で、基亜種は台湾に分布している。 国内に生息するシロテンハナムグリ属(Protaetia)のTomentoprotaetia亜属は本種のみ。 購入元のきまま様のブログには本種の飼育情報が掲載されているので参考にしたい。(参考リンク参照) 飼育記録については以下に飼育メモとして記載していきたい。 |
飼育メモ |
2021年11月11日 2齢と思われる幼虫を10頭購入し、コバエシャッター小にセットした。 マットは生態に合わせて、スダジイ周辺のふかふかした土を主体にNマットを混ぜたものを使用した。 続きを表示2022年1月10日 セット以来、外からは特に変化が見られないが、幼虫の状態を確認したところ、9頭の3齢と思われる幼虫が出てきた。1頭は死滅したようで見当たらなかった。若齢として購入したが、現在の頭部の大きさと変わっていないように見えるので購入時既に3齢幼虫と判断し、訂正した。 マットは外からは気付かなかったが糞が多くマット交換が必要な状態だった。幼虫は土を纏ってほとんど動かい状態で心配だが生きてはいるのでマットを交換して飼育続行することにした。栄養価が少ないことも心配なので、ヤエヤママルバネクワガタ(以下ヤエマル)の産卵に使用したマットも1割混ぜた。 幼虫の健康状態が心配だったがケース側面には幼虫が通ったトンネルが見えたので少し安心した。 ケース内を確認したところ、マット上にゴロゴロと土繭らしきものがあることに気付いた。数えてみると6個あり、マットは糞だらけになっており幼虫が4頭でてきた。一頭減っていたはずなのだが10頭になるので見過ごしていたのかもしれない。 小さい土繭を少しほじってしまい、幼虫が見えてしまった。 土繭はコバエシャッターミニに移し、幼虫のマットは半分フォーテックのカブト1番を混ぜたもので飼育続行することにした。 マットの状態が糞だらけだったのでもっと早いサイクルでマット交換すべきだったかもしれない。栄養不足による羽化不全が心配である。 土繭を発見してから1ヵ月になるので、そろそろ羽化している頃かと少し土繭を削って穴を開けてみたところ、まだ蛹だった。3つほど確認したがどれも蛹だったため、もうしばらく待つことにした。 土繭に開けた小窓から2日前から1つの土繭について乾いたような淡褐色の部分が見えて、蛹が死んで乾燥しているのではという不安がよぎったので開けてみたところ、なんと既に羽化していた。見ていたのはどうやら腹面の胸板だったようだ。まだ活動前でほとんど歩かない状態だったが派手さはないものの鳥肌物の美しさであった。 日数が経過した他の土繭も開けてみることにした。4個の土繭から新成虫を取り出した。 新成虫は斑紋の個体差の他、羽化後の日数の違いかもしれないが赤っぽい個体からオリーブ色がかった個体など体色にも個体差がみられた。 4/13に6個の土繭を採取しているが、その際土繭を破壊してしまった1頭は再び土繭を作って蛹になっていることを確認した。幼虫飼育中の残り4頭も既に土繭になっており、恐らく前蛹か蛹と思われるので、もう少し待つことにした。 新成虫はコバエシャッター中で多頭飼育することにした。ペアリングも産卵も同じケースで可能と判断し、マットはヤエマルの幼虫飼育に使用したマットを主体に雑木林から採取した土と、本種の幼虫飼育の使用済みマットを少し混ぜたものを使用した。 新成虫の1匹が活動を開始し、ケース内を活発に歩き回りブンブンと飛び立とうとしていた。 後から羽化した個体も飼育ケースに移動し、ほぼすべての個体が活動をするようになり、数は数え忘れてしまったが、1匹のみ不全気味の個体がいて恐らく土繭を壊した後に再度作成した個体ではないかと思う。ただ、腹部が両側にせり出していることと上翅に模様がまったくないものの、翅はしっかり仕舞っており、生活する上で問題はなさそうで元気に活動している。 産卵状況を確認してみたが、まだ卵は見つからなかった。 再度産卵状況を確認してみることにした。 成虫は見る影もなく泥まみれになっており、死んでいる個体も複数みられた。そろそろ寿命かもしれない。 卵は42個、1齢幼虫1頭が得られた。マットはかなり土化し、線虫も大量発生していた。 卵は特大プリンカップ3個に14個ずつセットした。1齢幼虫は250mlのプリンカップにセットした。マットはツヤクワガタの産卵に使用したマットとNマットを混ぜたものを主体にしたが、本種にとっては発酵が浅いと思われるので、ヤエヤママルバネクワガタの幼虫に使用したマットも少し混ぜてみた。 卵を管理していたプリンカップは卵も幼虫も見られなくなり、そろそろ取り出すタイミングと判断、幼虫を取り出してみることにした。 3個の特大プリンカップに14個ずつ入れていたが、1個目は9頭、2個目は10頭、3個目は11頭の合計30頭の幼虫が得られた。観察していた限りでは他は恐らく孵化せず死滅したと思われ、孵化率は71%だった。 採卵時既に1齢幼虫だった1頭も元気に成長しており、合わせて31頭の1齢幼虫をコバエシャッター中で多頭飼育することにした。 マットはツヤクワ幼虫飼育に使用して劣化したマット5割とノコギリ幼虫飼育で大量に余っていた使用済みマット3割、残りは既存のマットに菌糸カスを混ぜたものを使用した。今後はマット処理班として役立ってくれるかもしれない。 幼虫飼育中のマットにコバエが発生してしまったので、マットを全交換することにした。幼虫を数えてみると29頭だったため、2頭は死滅したようだ。 産卵用ケースの成虫がすべて死んだようなので産卵状況を確認することにした。 マットから1・2齢幼虫34頭、卵5個が得られた。 線虫がいるもののマットの劣化は見られなかったので、可能な限り線虫を取り除いた上でマットに腐葉土のみ多少混ぜ、産卵用ケースをそのまま使用することにした。 卵5個を管理した結果、1齢幼虫4頭が孵化しており、1個は死滅したようだった。得られた4頭は31頭を入れているコバエシャッター中に入れて35頭の多頭飼育にした。 年末に7頭ずつを2セット販売し、数を減らしたものの早いペースで糞だらけにしてしまうので、コバエシャッター中2個に分けて飼育することにした。数え方が適当だったためかまだ31頭程も確認できたので、15,6頭ずつに分けた。このまま繭玉作成までいけると思う。 そろそろ蛹になっている頃かと思い、繭玉を1つ窓を開けたところ、まだ前蛹だった。 羽音で気付いたが、1匹マット上に出ていた新成虫を発見した。先月窓を開けた繭玉の前蛹は繭玉を壊して未だに前蛹のままなので恐らく死ぬと思う。 昨日確認した新成虫は、マット上に置いたゼリーが少し汚れていたので後食したと思うが、マットに潜っていたので取り出してみたところ、♂だった。他の繭玉も割ろうかと思ったが、マット内にまだ幼虫がいたことと、繭玉を揺らすとコロコロと振動のあるものがほとんどで恐らくまだ蛹のようなので自力ハッチを待つことにした。 6/18から自力ハッチした成虫がマット上に現れるようになっており、雌雄に分けて販売も検討したが、現時点で♂が多く♂7匹、♀3匹で♀の羽化を待っている間に汚くなってきてしまったので売るのを諦めてすべてブリードさせることにした。 マットにはまだ幼虫もおり、かなりバラバラだった。コバエシャッター大に産卵用ケースをセットし、自力ハッチ次第、コバエシャッター大に入れていくことにした。 ついでに雌雄判別方法に前脚脛節の撮影もしておいた。 本種の飼育については特に課題もないため、飼育メモとしてはこれで終了としたい。 |
参考リンク | きままのTOEIC満点990&クワガタ |