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マイマイガ
学名:Lymantria dispar japonica

♂(2008.7.13)
Data
和名 マイマイガ
開張 ♂:約48mm
♀:約77mm
分布 北海道(南部),本州,四国,九州,対馬
出現期 6〜8月
食べない
 幼虫はリンゴ,ナシ,モモ,ヤナギ,クヌギ,イタヤカエデなどの葉を食べる。
解説 茶褐色のやや大型のガ。
♂は茶色で羽毛状の立派な触角をしているが、♀では黒い斑模様のある白色で、糸状の触角をしており、別種のように異なる。
昼行性らしく、日中よく飛んでいる♂の姿を見かける。♀はなぜ見かけないかというと、コーリングして♂を呼ぶため、普段は飛ぶ必要がないからである。♂が飛び回る姿から舞舞蛾と名付けられた。
実際に飼育してみると、♀は羽化後まったく飛ばずに2日目にはコーリングを始めた。コーリングとは腹部先端部からフェロモンのうを出してフェロモンを揮発させて♂を呼ぶ行為で、♂はフェロモンを嗅ぐために触角が発達している。まったく飛べないフユシャクガに比べると本種の♀には立派な翅があり、産卵に適した食草を探す時に飛翔するものと考えられる。
自宅では夜、外灯付近に止まり、コーリングしていた♀を確認している。
北海道の北部及び東部に生息する本種は別亜種(hokkaidoensis)とされる。
 
国内に生息するLymantria属は以下の10種(5亜種)。
和名/学名 分布
マエグロマイマイ
Lymantria xylina xylina
奄美大島,沖縄島,石垣島
マエグロマイマイ(屋久島以北亜種)
Lymantria xylina nobunaga
本州,四国,九州,屋久島
マイマイガ
Lymantria dispar japonica
北海道(南部),本州,四国,九州,対馬
マイマイガ(北海道亜種)
Lymantria dispar hokkaidoensis
北海道
ハラアカマイマイ
Lymantria fumida fumida
本州,四国,九州
バンダイマイマイ
Lymantria bantaizana
本州(東北,関東,中部)
カシワマイマイ
Lymantria mathura aurora
北海道,本州,四国,九州,屋久島
カシワマイマイ(奄美以南亜種)
Lymantria mathura flavida
奄美大島,沖縄島
ノンネマイマイ
Lymantria monacha
北海道,本州,四国,九州,屋久島
ミノオマイマイ
Lymantria minomonis minomonis
本州,四国,九州,対馬,屋久島
ミノオマイマイ(沖縄亜種)
Lymantria minomonis okinawaensis
徳之島,沖縄島
オオヤママイマイ
Lymantria lucescens
北海道,本州,九州
マエグロマイマイ
Lymantria xylina xylina
奄美大島,沖縄島,石垣島
マエグロマイマイ(屋久島以北亜種)
Lymantria xylina nobunaga
本州,四国,九州,屋久島
シロシタマイマイ
Lymantria albescens
本州(紀伊半島南部),沖ノ島(高知県),九州,対馬,種子島,屋久島,奄美大島,沖永良部島,徳之島,沖縄島,竹富島,石垣島,西表島
 
♂の写真は7月8日の日中に雑木林の林縁で見つけた時のもの。歩いていると、何度も本種が飛んで草の葉上に止まるところを目撃したが、近づくとすぐに逃げて行ってしまい、なかなか撮影できず、ようやく撮影した。
 
♀の写真は2007年4月29日に庭にあるイタヤカエデに多数発生していた2齢幼虫を飼育したもの。飼育中は種類が分からず飼育していた。ミニプラケースで2匹飼育していたが、庭のイタヤカエデをものすごい勢いで食べてすぐにボウズにしてしまい、いつの間に1匹消えていたが、もう1匹はどんどん大きく成長し、与えるイタヤカエデは1日でボウズにしてしまうほどの食欲であった。6月16日に蛹化し、6月26日に♀が羽化した。翌日にはプラケースのフタにぶら下がってコーリングしている姿を見ることができた。
更に♂がやってくるか♀を入れたケースを庭に置いてみたところ、数時間後に♂が飛んできてケース周辺を飛んでいた。その後、♀を草の上に乗せて撮影してまたケースの中に戻して家の中に入れたところ、草の上にフェロモンが残っていたらしく、新たな複数の♂が♀を乗せた草を正確に集まり、飛びながらその草をくまなく探し回っていた。普段は庭で本種が飛んでいるところを見たことはなかったし、これだけ遠くからフェロモンの臭いを嗅いで飛んでくるとは驚きだった。
PHOTO

外灯に飛来した♂
標高1,600m付近で撮影。
(2012.9.15 山梨県)


♂の触角は羽毛状で♀のフェロモンを嗅ぐために発達している。
(2006.7.8)

♀@
(2007.6.26)

♀@
尻から出ているのはフェロモンのう。
(2007.6.30)

♀A
(2007.6.26)

前から見た♀
(2007.6.26)

横から見た♀
(2007.6.26)

羽化した♀と蛹の抜け殻
運よくまだ紹介していない♀が羽化してくれた。
(2007.6.26)

コーリングする♀
(2007.6.27)

コーリングする♀(アニメ)
腹部先端からフェロモンのうを出し入れしているのが分かる。
(2007.6.27)

羽化した♀と蛹の抜け殻
運よくまだ紹介していない♀が羽化してくれた。
(2007.6.26)

交尾@
フェロモンは強烈で、一時的に撮影のために♀を乗せた草に、後から♂が複数飛来し、正確に止まっていた草を探し回っていた。ケースから♀を出すとすぐに交尾を始めた。
(2007.6.30)

交尾A
(2007.6.30)

4齢幼虫
イタヤカエデを食べている。
(2007.5.12)

5齢幼虫
かなり大きい幼虫になった。食べる量も多い。
(2007.5.19)

幼虫の頭部
大木に止まっていた個体。特有の黒い縦条がある。
(2008.6.18)


(2007.6.16)
 
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