ヤノイスアブラムシ | |
学名:Neothoracaphis yanonis | |
コナラ上の有翅型(2010.11.20) |
Data | |
和名 | ヤノイスアブラムシ 別名:ヤノイスフシアブラムシ |
体長 | 0.4〜1.5mm |
分布 | 本州,九州 |
出現期 | 5〜11月 |
餌 | 一次寄主:イスノキ 二次寄主:コナラ,ミズナラ 幼虫も同様。 |
解説 |
イスノキの葉に虫コブを作るアブラムシ。 幹母はイスノキの若葉に半球形の虫コブを作り、繁殖する。 虫コブ内で発生した有翅型は5月下旬〜6月中旬にかけて虫コブから脱出し、二次寄主であるコナラに移住、コナラの葉の裏で扁平な無翅型で繁殖し、10月中旬〜11月下旬にかけて有翅型が発生しイスノキに戻る。 コナラで発生する無翅型の成虫は、体長0.4mmと大変小さく、体色は黒色で背面に白色の縦帯があり、後方が太くなる。脚は成虫時に退化しているように見える。有翅型は頭部と胸部は黒色で、腹部が黄色、翅は平らに折り畳み、一見ハエ類のように見える。 幼虫はいずれの形態でも淡黄色。 本種は、日本原色アブラムシ図鑑(全国農村教育協会)では、本種はヤノイスフシアブラムシ(Nipponaphis yanonis)のシノニムになったとあり、同種と思われるが、かなり古い図鑑であり、最近出版されたアブラムシ入門図鑑(全国農村教育協会)では本種が掲載されていたので、当サイトでは、ヤノイスアブラムシ(Neothoracaphis yanonis)と同定した。 5月4日に前回とは別の場所でイスノキを発見、本種による虫コブが多数あり、既に赤紫色に色付いていた。虫コブを切開すると丸々と太った幹母の成虫が出てきた。やはり腹部後方左右から、綿状ロウ質物を多く分泌していた。 虫コブの写真のやや小さい方は幹母1匹のみだったが、大きい方は既に幹母が産んだ幼虫も複数見られた。産仔も確認できたが、産まれたばかりの1齢幼虫は産み落とされたまましばらく横になり歩けない様子であった。 その後、10月16日にコナラで多数の無翅型が確認することができた。体長は0.4mmとされているだけあり肉眼では点のようにしか見えない。自由に歩き回っているのは黄色い幼虫だけだった。本種と同じ葉にカバイロトゲマダラアブラムシ(Tuberculatus fulviabdominalis)も見られたが、本種の体長の差は歴然としていた。 10月23日に前回と同じコナラを訪れてみると、無翅型の成虫よりも倍以上大きな幼虫を発見した。いよいよ有翅型を産み出したようだ。背中にあるいぼいぼから生えているストローのような太い毛が特徴的であった。 有翅型の幼虫がいるコナラの枝を持ち帰り、管理したところ10月29日に有翅型の成虫が羽化した。色が淡いようなので14時間以上経ってから再度撮影(トップの写真)したが色が少し濃くなった程度でその後、数時間もすると飛んでいなくなってしまった。他の個体も羽化したが、皆同じで20時間前後で確実に飛んでいくことが分かった。しかし、野外では黒くなるまでじっとしていることから飼育下のコナラは次第に枯れていくことから出発を早めていたようである。 11月20日には、野外のコナラの本種のコロニーは多くが黒く色付いた有翅型が多く見られるようになった。イスノキには葉の裏に既に到着した有翅型が多数見られ、ほとんどの個体が後翅がはみ出していた。よく見ると腹部が極端に縮んだ個体が多いが、恐らく栄養を摂取せず有性世代を産み続ける世代と思われる。更に有性世代の無翅型♀も見ることができた。有性世代の♂と交尾した後に新芽に産卵し翌春に幹母が虫コブを作成する。 |
関連リンク | アブラムシ特集 |