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マルスゾウカブト飼育記
Megasoma mars
産地:ペルー イキトス
 
〜第2部〜
 
 
長い幼虫期間を経て、立派な116mmもあるマルスゾウカブトの新成虫を羽化させることができました。
アクテオンの羽化が雌雄ともにピッタリと一致したのに比べ、本種では雌雄に関わらず大幅な羽化ズレを起こした。
ペアリングができないため、ブリードは諦め販売する予定でしたが、あまりの迫力と造形美に見せられ、オークションにて♀を落札、結構値がつきましたが、繁殖に挑戦して更に大型の♂を目指してブリードを続けていきたいと思います。
 


 
 
♀購入 マルスゾウカブト♀72mm
大型なので、産卵に期待したい。
(2005.5.14)
 
5月5日
 ♂は見れば見るほど素晴らしいカブトだったので、繁殖できないのが残念でならなくて、オークションで入札してみたが、価格は上昇していき、結局、買えずに諦めていた。
後食を開始した♂を販売しようかと思ったが、オークションを見てみると♀が1匹だけ出品されているのを発見、入札すると価格は上がっていき、9,200円になってしまったが、なんとか落札することができた。
 
5月10日
 ♀が到着した。同産地のペルー イキトス産/F2で4月初めに羽化したものである。
去年羽化した♀よりもかなり大きく、72mmあり、前翅も黒っぽかった。
 
交尾 交尾
最初は♀が交尾器を開かずなかなか成立しなかったが、20分後にようやく成立、1時間以上続いた。
(2005.6.4)
 
6月4日
 そろそろ交尾させてみることにした。
♂を♀の上に乗せるとすぐに反応し、交尾しようとしていたが、♀が拒否して交尾器を開けないので、なかなか成立しなかった。
20分後にようやく成立し、そのまま1時間以上交尾していた。
その間に産卵用のマットにと焦げ茶色に完熟した未使用のカブトマットをフルイに掛けて微粒子にした。
これは以前に市販のマットの使い回しを産卵用に使用していたが、目が粗かったためかエレファスゾウカブトでも産卵数が少なかったからである。
特大プラケースにフルイに掛けたマットをケース下部5cm固めに詰めて、ケース半分目まで同質マットで軽く固めるように敷き、七分目は薄い茶色の幼虫飼育用のカブトマットを軽く敷いた。
更に産卵の誘発にと、柔らかすぎてクワガタの産卵用にできなかったコナラ材1本を半分マットに埋めてみた。
特大プラケースケース分のマットをフルイに掛ける作業はさすがにかなりの労力であった。
1時間半くらいして、ようやく交尾が終了したので、♀を産卵用ケースに入れた。
ゾウカブトの中で一番のお気に入りなだけに、たくさん幼虫を採りたい。
 
産卵
6月18日
 ♀のゼリー交換ついでに特大プラケースを持ち上げて、底面に卵がないか観察してみた。
そしたら、なんと2個の大きめの卵が2個確認できた。もちろん産卵時はマットを固めてその中に産卵するので、底面からあまり卵を見ることは少ないことを考えると、たくさん産卵している可能性があり、♀購入やマット作成に苦労した分、非常にうれしい。
 
2度目の交尾
6月19日
 最初の交尾から2週間たったので、受精率のアップ・産卵の促進になればと、2度目の交尾をさせることにした。
♀の上に♂を乗せると♂はすぐに反応したが、♀が拒否して20分ほど格闘していたが、やっと交尾成立、小1時間で終了した。
更なる産卵に期待したい。

 
採卵
7月3日
 ♀はここ1週間、ケース内で暴れており、よくケースのフタにぶら下がっていたりしており、産卵に集中していないようである。
産卵セットからそろそろ1ヶ月経っていることもあり、採卵してみることにした。
マットはセット時よりもガチガチに固められており、ケースから取り出すのに非常に苦労した。
固められたマットを丁寧に砕いていくと、クリーム色になり大きく成長した卵が出てきた。
更に採卵すると真っ白くて長細い産みたてと思われる卵も出てきたが、やはり大きい。
合計24個の卵を採卵することができた。
 マットは相当固められており、ここ1週間産卵に専念していないように見えたのは、固すぎてマットにすら潜ることができなくなったためではないだろうか?
 
 採卵した卵はプリンカップ大2個に12個ずつセットした。
産みたてと思われる長細い卵はデリケートなので孵化してくれないこともあるが、クリーム色に色付き丸く大きく膨張した卵はほぼ確実に孵化してくれるはずである。
♀の状態も非常によく、スレ傷やフセツ欠けも見られず、新成虫とまったく見分けが付かない。
マルスゾウカブトの寿命は長いほうなので、今後も更に多数の産卵に期待したい。
 
卵@
産卵後、卵は成長するので、色や形に違いがある。
白色からクリーム色になり、楕円から球形に成長した卵は孵化が近いと思われる。
(2005.7.3)
 
卵A
マルスゾウカブトの卵は想像通り大きく、ヘラクレスオオカブトの卵よりも更に一回り大きい感じがした。
(2005.7.3)
 
3頭目の♂、蛹室作成
7月8日
 遂にというかやっとというか、3頭目の3齢幼虫が蛹室を作成した。
2齢幼虫で購入したのが、2002年9月22日で、現在2005年7月8日だから約3年弱も掛かってしまった・・・。
♀とは1年強もの羽化ズレが発生したことになる。
6回目のマット交換以来、ずっとマット上に出てしまい、食欲もないようで心配していたが死ぬこともなく蛹室を造ってくれてよかった。
せっかく時間を掛けたのだから、今度は蛹化や羽化シーンを撮影したいものである。

 
孵化
7月14日
 卵がひとつ孵化していた。他の卵も腐るものもなく、孵化率も高そうである。

 
7月15日
 朝見ると更に1個孵化していた。
 
プリンカップ内の卵
すべての卵が真ん丸く、健康的であった。
(2005.7.16)
 
1齢幼虫
無事に孵化してくれた。
(2005.7.16)
 
前蛹 前蛹
何故かマット内に潜ることなく、作った蛹室も露天掘り状態であった。
(2005.7.16)
 
7月16日
 やっと蛹室を作成した3頭目の幼虫は、外から見ると濃いオレンジ色をしているので、前蛹になっているようであった。
できれば蛹化シーンを撮りたいので、掘り出そうとフタをあけてみると、最初から露天掘り状態になっていた。
最後のマット交換からまったくマット内に潜らなかったことからも、幼虫の調子が悪いような感じがする。マット交換によるショックが原因なのだろうか?
前蛹もピクリとも動かず、本当に蛹化してくれるのか怪しい雰囲気がする。
 
7月20日
 指で前蛹を触れてみると元気に回転運動をしてくれた。
どうやら元気なようで、安心した。
蛹化
7月22日
 昨日からすぐにでも蛹化しだしそうな雰囲気だったが、朝見るとまだ前蛹のままであった。
蛹化シーンを撮りたいため、帰宅まで蛹化を我慢してほしいのだが。
PM9時半頃、帰宅すると、既に蛹になっており、蛹化したてのようで、角が真っ白であった。
蛹化シーンが見られず残念。
蛹室を作成して、2週間で蛹化することが分かった。このことは他のオオカブトでも同様なようである。
去年の6月のマット交換以来、マット上ですごしており、マットをあまり食していなかったためか、1匹目の♂よりもやや小型なようだ。
 
7月23日
 蛹がオレンジ色に色付いていた。
蛹もよく回転運動をしており、この調子だと問題なく羽化してくれそうである。
運次第ではあるが、今度は羽化シーンの撮影を狙いたい。
 
蛹化して間もない蛹
蛹化シーンを狙っていたが、帰宅数時間前に蛹化してしまったようであった。
最後に伸びる頭角がまだ真っ白であることから、蛹化してあまり時間が経っていないことが分かる。
(2005.7.22)
 
蛹化1日後の蛹
1日経過すると濃いオレンジ色に色付いていた。
(2005.7.22)
幼虫飼育開始
7月31日
 ほとんど孵化したようなので、1齢幼虫を取り出すことにした。
取り出した幼虫を数えてみると19頭と卵が1個であった。
マット上部で干からびていた1齢幼虫が1頭と腐ってしまった卵が3個あった。
残りの卵が孵化したとして孵化率は83%とまずまずであった。
孵化後2週間ほど経過した1齢幼虫はかなり成長して、孵化後日の浅い幼虫の2倍ほども成長していた。この時点でヘラクレスの幼虫などよりも太くなっており、ゾウカブト独特の特徴が表れていた。
採れた幼虫はより大型を目指し、1頭ずつ2Lブロー容器にセットした。使用したマットは市販のカブトマットをそのまま使用した。
 
1齢幼虫
健康的で1齢にしては大きめの幼虫ばかりであった。
(2005.7.31)
 

成長しだいぶ大きくなった1齢幼虫
体が大きくなった分、頭部が小さく見える。
(2005.7.31)
 
大きさの違う1齢幼虫
左の幼虫は孵化後1週間以内、右の大きめの1齢幼虫は孵化後2週間ほど経過したものである。
頭部の体の割合がだいぶ違う。
(2005.7.31)
 

10円玉との比較
やはりマルスの1齢幼虫は大きめであった。
(2005.7.31)
 
採卵(2回目)
8月16日
 再セットから既に1ヶ月半経っていたので、2度目の採卵をしてみることにした。
卵は18個採れたが、産みたてと思われる瑞々しく濡れている小さい卵が多かった。
産卵数は前回より減っているので、しばらく交尾させていなかったからかもしれないので、近日中に3度目の交尾をさせようと思う。

 
ペア同居
8月29日
 なかなかペアリングさせる時間がとれずにズルズルと時間が過ぎてしまっているので、♂を産卵用ケースに入れて♀と同居させることにした。♂の食欲は旺盛でゼリーを空にしている状態が続くことも多々あるが、フセツも欠けることなく元気であった。
2度目に採卵した卵も続々孵化している。

 
新成虫
9月4日
 しばらく蛹のことをすっかり忘れていたので確認したところ、なんと既に羽化し、黒くなっていた。
蛹化が7月22日なので、2ヶ月は掛かると思い、9月下旬くらいだと思っていたのだが、この暑さのせいか蛹の期間がかなり短かった。
体長を測ってみると、幼虫が長期間マット上に出てきてしまっていたのが影響し、104mmとマルスとしては大型にはならなかった。
ヘラクレス各種の飼育も追いつかずペアリングさえさせていない状態が続いてしまい、完全に飼育が行き届かなくなってしまっているので、この♂は近々販売することにした。

 
人工孵化した1・2齢幼虫
10月2日
 最近、一眼レフデジカメで休日は昆虫撮影に専念しているため、カブト飼育がまったく手に付かない。ペアは一応生きているようだが、エサ交換をかなり怠っていたため、産卵数は期待できそうにもない。
しかし、プリンカップで孵化して窮屈そうになっていたので、500mLブロー容器に個別管理することにした。
少々過密すぎたかと思われたが、18個中13頭採れたので、まあまあだろう。

 
採卵(3回目)
10月8日
 交換やお世話になっている方や配達時間帯を誤って発送してしまったお客様への特別予約等、マルスの幼虫の需要が多くなってしまった。
そこで、3度目の採卵を行なうことにした。今週も1度しかゼリー交換をしていなかったので心配したが、マット上で♀が死んでいた。
餓死させてしまったようで残念。
♂は元気で、左足のツメが取れていただけであった。
採卵してみると、マット中から1齢幼虫が多数出てきて、1齢幼虫19頭,2齢幼虫1頭,卵6個と思ったよりもかなりの成績であった。
♀が死んでしまったので、卵と幼虫の数を合わせてみると70個採卵したことになり、最後のほうの飼育で疲れが出てきてゼリー交換をかなり怠っていたので、餓死させなければ100個くらいは産卵したのではないだろうか?

 
3齢幼虫
11月23日
 2Lブロー容器で飼育している幼虫達はすべて3齢幼虫になっており、マットもかなり減っていたので、マット交換することにした。
幼虫を取り出してみるとまだ3齢幼虫初期だったが結構大きくなっていて、約50gであった。
詳しい体重と性別は以下のとおり。
  • No.1 ♂54g
  • No.2 ♂48g
  • No.3 ♂34g
  • No.4 ♂55g
  • No.5 ♂41g
  • No.6 ♀47g
  • No.7 ♂51g
  • No.8 ♀52g
  • No.9 ♀46g
  • No.10 ♀50g
  • No.11 ♀47g
  • No.12 不明(乾燥死?)
  • No.13 ♂52g
  • No.14 ♂63g
  • No.15 ♂52g
  • No.16 ♂43g
  • No.17 ♀52g
  • No.18 ♀55g
  • No.19 ♂59g
1匹は早いうちに死亡してしまったようで死体すら見つからなかった。
しかし、他の18頭は順調に成長していたが、18頭中11頭も♂で♀は7頭であった。
すべての♂に♂の窪みが明確に出ており、判別に苦労することはなかった。
他に500mLブロー容器で管理している残りの幼虫も13頭いるが、まだマットがあまり減っていないので、マット交換はしていない。
頭部の大きさも考慮した上で比較的大きそうなNo.4とNo.14を大プラケースで単独飼育、他の幼虫はそのまま2Lブロー容器で飼育を続行した。
 
 

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