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ヤマトシロアリ
学名:Reticulitermes speratus speratus

ヤマトシロアリ(2007.12.2)
Data
和名 ヤマトシロアリ
 別名:ヒガシヤマトシロアリ
体長 働きアリ:約4mm
兵アリ:3.5〜6mm
羽アリ(有翅虫):4.5〜7.5mm
女王アリ:11〜15mm
分布 北海道,本州(東北地方〜近畿地方),伊豆諸島(新島,式根島),小笠原諸島(父島),淡路島,四国(香川県)
出現期 一年中
枯れ木
解説 全国に広く分布するシロアリ。
通常、シロアリというと本種かイエシロアリ(Coptotermes formosanus)を指す。
湿気のある枯れ木に巣を作る。
最も数の多い働きアリは白く円形の頭部をしているが、兵アリはやや数が少なく頭部は大きく山吹色をしており、発達した大顎で外敵に攻撃して巣を守る。女王アリは腹部が非常に大きく別種のように体型が異なり、巣内で死ぬまで産卵し続ける。
シロアリの仲間は体内に原生動物がいる為、固い木材を分解して栄養源にすることができる。
自然界では枯れ木を分解してくれる重要な働きをしているが、木造の家も湿っていれば本種によって食害されることがある為に害虫とされている。
本種は3亜種に分けられている。
 
以前、横浜に住んでいる時、シロアリ駆除業者がセールスに来たことがあったが、断った後に自宅の庭に行ってみると、炎天下のコンクリート製マンホール上に多数の本種とおがくずが固まりとなって置かれていたことがあった。もちろん、マンホールの周りは芝生だけで枯れ木はない。自宅は2階が玄関になっており、庭には投げ落とすしかできないので狙いが外れたのだろう。シロアリ駆除業者も仕事を作る為に本種を繁殖させてばら撒いているようだ。もっともばら撒かれていたアリには女王アリがいなかったので繁殖まではできないが、繁殖させている場合は羽アリとして飛ばしている可能性もある。こういった悪質なシロアリ駆除業者にとってシロアリは害虫ではなく益虫と言えるだろう。
 
国内に生息するヤマトシロアリ属(Reticulitermes)は以下の7種(2亜種)。
和名/学名 分布
アマミシロアリ
Reticulitermes amamianus
奄美大島,与論島
キアシシロアリ
Reticulitermes flaviceps
石垣島,西表島,与那国島
カンモンシロアリ
Reticulitermes kanmonensis
本州(山口県),九州(福岡県)
ミヤタケシロアリ
Reticulitermes miyatakei
奄美大島,徳之島,沖縄島
オキナワシロアリ
Reticulitermes okinawanus
南西諸島(沖縄島以南)
ヤマトシロアリ
Reticulitermes speratus speratus
北海道,本州(東北地方〜近畿地方),伊豆諸島(新島,式根島),小笠原諸島(父島),淡路島,四国(香川県)
(ニシヤマトシロアリ)
Reticulitermes speratus kyushuensis
本州(中国地方),隠岐,四国(愛媛県),九州,対馬,屋久島,種子島,口永良部島,トカラ列島,与論島?
(キンキヤマトシロアリ)
Reticulitermes speratus leptolabralis
本州(静岡県〜近畿地方),四国,九州(福岡県)
ヤエヤマシロアリ
Reticulitermes yaeyamanus
沖縄島,野甫島,北大東島,石垣島,西表島
 
写真は12月2日に林縁の倒木にいた本種を撮影したもの。以前、同じ倒木の下から本種を餌としているヒゲジロハサミムシGonolabis marginalis)も2匹見られた。以前から見たいと思っていた有翅虫はそれから3年半後の5月21日に、たくさん飛び交っている有翅虫を発見し、近くの枯れ木に飛び立つ前の多数の有翅虫を撮影することができた。前胸の形からも本種であることが確認できた。
新潟県の写真はすべて砂浜で撮影したもの。砂浜は流木が多く、本種が多く生息するようだ。5月21日には結婚飛行を終えて巣作り前の翅が取れたペアをよく見かけた。
PHOTO

砂浜の流木にいた有翅虫と働きアリ
(2021.5.4 新潟県)

砂浜の流木の巣
(2021.5.4 新潟県)

有翅虫
(2011.5.21)

巣から移動する直前の有翅虫たち
(2011.5.21)

有翅虫と兵アリ
(2011.5.21)

巣から続々と出て来る有翅虫たち
(2011.5.21)

翅を落とした有翅虫
終齢幼虫ではない。
(2011.5.21)

砂浜にいたペア
翅が落ち、女王アリを追う王アリが多く見られた。
(2021.5.21 新潟県)

砂浜の流木にいた働きアリ
(2021.5.4 新潟県)

働きアリ@
(2007.12.2)

働きアリ@
(2007.12.2)

兵アリ@
お互いに触角で仲間であることを確認している。
(2007.12.2)

兵アリA
(2007.12.2)

兵アリと働きアリ
頭部の大きさが全く異なる。
(2007.12.2)

有翅型の幼虫
(2008.3.8)
 
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