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サバゲノコギリクワガタ
Prosopocoilus savagei
産地:アフリカ・カメルーン
 
 
飼育では初の外国産ノコであるサバゲノコを購入。
黄色・赤・黒のグラデーションが炎の様で大変美しいです。
少し高価なノコですが多少安価なブリード品を購入しました。


サバゲノコギリクワガタの♂55mm



種親購入
2002年5月3日
ドルク○グッズよりアフリカ・カメルーン産のサバゲノコギリクワガタF1ペア(♂55mm・♀27mm)を購入した。

ペアリング&産卵用ケース
中プラケースを使いたかったが無かったので大プラケースを使用。
マットはクワガタ幼虫飼育に使ったクヌギマットと発酵未の安価なクヌギオガコを少々と黒土を1/3くらい混ぜた。それをケースの半分弱入れ、その上に安価な埋め込みマットを敷いた。
材はコナラ材を1本8分目位埋めてみた。

ブリード:種親♀27mm
コクワ並みに小さい。

 

ペアリング&産卵用ケース
セット後、すぐにマットに潜って休眠してしまう。

休眠
ケースセット以来、マットに潜ったきりで全く姿を現さない。羽化日は2002年3月14日らしいが、雨期に合わせる為なのか、同じアフリカ産であるメンガタメリーが半年以上の休眠期間があるのと同様に長期の休眠期間があるかもしれない。

活動開始
6月20日
ゼリーを食べた跡などがあり夜間、活動を開始したようだ。羽化後、後食開始まで3ヶ月かかるようだ。
ダニの付着がひどかったので、歯ブラシで少し落とした。
6月26日
皿木の下に♂が潜んでいた。活動していたのは♂のようである。
6月30日
♀も皿木の下で♂と一緒にいた。ようやく活動開始したようだ。
しかし警戒心が強いのか、♂♀共活動しているところを見たことがない。

産卵
7月13日
最近♀の姿が見えないので産卵しているのではと思い、材を掘り起こした。
材の裏側に削った跡があり、材の下には♀がいた。産卵している最中のようだ。
材を元に戻し、コナラ材(やや細めの柔らかめのもの)をもう1本を追加した。

幼虫割り出し

卵と1齢幼虫

8月11日
材割りをおこない、1齢幼虫4頭と卵2個が採れた。
♀はマット中でバラバラになって死んでいた。マットにミミズが発生していた。

マット交換
10月12日
マット交換をした。とっくに3齢幼虫になっているはずだったがまだ2齢幼虫で1頭はとても小さく1頭は消えていた。マットはこげ茶色のものだが発酵の浅いマットを好むような感じがする。国産ノコとはかなり違うようだ。
オオクワ的な飼育が適しているように思える。3頭になってしまったうえ、3頭とも♀だった。

2齢幼虫@
ぜんぜん成長していない。
(2002.10.12)

 

2齢幼虫A
♀の卵巣が確認できる。
(2002.10.12)

種親の様子
10月14日
種親の♂はいたって元気だった。ノコギリにしては長寿のようだ。
♀が早くに死んでしまったのは、もしかしたら♂による事故かもしれない。

追加♀購入


♂29mm
オレンジの模様が小さい

10月19日
♂がとても元気なので、アフリカ産F1♀29mmを1匹購入した。
前の♀に比べオレンジの模様が小さく黒い部分が多い。
今度は♀が5月11日に羽化しており、十分成熟しているので、すぐにペアリングさせることにした。ペアリング&産卵用ケースは中プラケースに使用済みマットをケース下部1cm固く詰め、やや大きめのコナラ材2本(やや柔らかめ)を横にして置き、軽くマットで埋めた。1ペア入れ、ペアリングを待つことにした。

♀29mmの産卵
10月20日
様子を見たところ♀が材の断面を削っているところが観察できた。産卵行動と思われるので交尾は既に済んだようだ。
10月21日
今日も♀が材を削っていたので、産卵に専念できるよう♂を隔離した。
2齢幼虫だと思っていた幼虫が蛹室を造り始めた。極小の3齢幼虫だったらしい。
10月31日
産卵に専念していた♀29mmが皿木の下のいた。
11月2日
♂を産卵用ケースに入れ、再度ペアリングさせることにした。
11月3日
夜、早速交尾しているところが確認できた。

♀蛹化/羽化
10月30日
♀が1頭蛹化した。かなり小さい。
10月31日
2頭目の♀も蛹化した。
11月16日
2頭とも羽化した。

種親♂とのお別れ
11月4日
宮城県のOさんから♂とニジイロクワガタなどと交換してほしいとメールをもらい、ニジイロクワガタ3齢幼虫4頭と交換することになった。ニジイロクワガタは今年♀がすぐに死亡してしまった為、再挑戦したいと思う。

産卵用ケース再セット
11月4日
材をよく見るとあまり目立った産卵跡らしきものが少ない。セットがわるいのかと思い、大プラケースでセットし直すことにした。
コナラ材2本を立てて7分目まで埋め、1本は横にして完全に埋め、もう1本はやや斜めに8分目埋めた。マットはクワガタ幼虫に使ったマットと発酵未のクヌギマットを半々に混ぜたものを使用した。
材を立てた状態のものや横にして完全に埋めたものなどさまざまな状態を作ったのでいずれかの材にきっと産卵してくれることだろう。湿度は多湿でも乾燥気味でもない普通の状態にした。

産卵
11月22日
ペアリング後、♀はよくマットから出ている部分の材を齧っている。夜は飛ぶこともあり、非常に活発で以前の♀には見られなかったことだ。まず、産卵していると思って間違いないだろう。

材割り
12月7日
♀は毎日材を削っているので割ってみることにした。
削ってあったところを割ってみたが卵2個、1齢幼虫1頭のみ得られ、その他は腐った卵や殻の産卵跡もあり、材は割らずにそのまま再度セットしてもう1ヶ月待つことにした。
しかし、予想以上に難しい。長生きなのが唯一の救いである。

新成虫♀取り出し


羽化した♀
種親そっくりの発色。

12月7日
11月16日に羽化した♀2匹を取り出した。
29.5mmと29mmだった。
最初に購入した♀から採れた♀幼虫3頭のうちの2匹だが1頭成長しない幼虫は依然として成長していない。
新成虫の模様は大きく、種親と同じでやはり遺伝するようだ。
現在産卵中の♀とはかなり違う。
来年、この♀からも挑戦してみたい。

産卵〜孵化
12月12日
12月7日に採卵した2個のうち、1頭が孵化した。
12月15日
もう1頭も孵化した。
12月18日
削った跡がある部分をほじってみたら卵が1個出てきた。
12月22日
♀が産卵している様子が観察できた。長い時間材の断面を齧っていたが、深夜齧った部分におしりを突っ込んで、その部分に木屑を入れる為か後ろ足で外から内側へ何度も動かしていた。
12月23日
飼育ビンに移そうと幼虫を取り出してみたところおとといまで、活発にマットを食べていた1齢幼虫1頭がコバエの幼虫と思われるものに食べられていた。死んでから食べられたのかは不明。
もう1頭は400mLのコーヒービンへ移した。
12月24日
2本材を割ってみたら材表面にいた1齢幼虫を潰してしまった。結局卵1個しか採れなかった。
12月27日
1頭孵化した。
12月30日
1頭孵化した。

材割り
12月7日
♀は毎日材を削っているので割ってみることにした。
削ってあったところを割ってみたが卵2個、1齢幼虫1頭のみ得られ、その他は腐った卵や殻の産卵跡もあり、材は割らずにそのまま再度セットしてもう1ヶ月待つことにした。
しかし、予想以上に難しい。長生きなのが唯一の救いである。

ブリード再挑戦

天然のカメルーン産・サバゲノコのトリオ
♂は51.8mmで、中型サイズ。
(2002.12.12)

12月12日
今度は天然のカメルーン産をトリオで購入。
大プラケースに材を4本詰め込んでみた。
2003年1月3日
なかなか産卵しない。産もうとしているのだが実際は産んでいない。試しに砂糖水を材に含ませてもみたがあまり効果は感じない。
近くの雑木林に大きいコナラのカワラ材(だと思う)を見つけたのでノコギリで切って持ってきた。
はっきり言ってくたびれた。
クワ本によるとカワラ茸と言っても色によってオオクワの好むものとそうでないものがあるようだが、緑・白・灰色・クリーム色が最もよく、黒はまあまあ、茶色はあまりよくなく、青はまったくダメらしい。
芯もあるが柔らかい部分もあるので皮を剥かずそのままケースの大きさにカットして産卵材として使用することにした。
ケースは特大プラケースを使用、以前からセットしていた柔らかめのコナラ材2本も入れた。
マットは黒土とクワガタ使用済みマット、腐葉土を混ぜたものを5cmくらい固めに詰めた。湿度は高め。
♂1匹と♀3匹をセットした。はたして産卵するのか?

WILD♀の産卵
1月4日
普段、暗がりでないと姿を現すことのなかったWILDの♀が早朝からコナラ材(上の写真の左の材)に一日中産卵している!。実に時間をかけて丁寧に産んでいる。大アゴで削ってその穴におしりを突っ込んで産卵し再び埋め戻すといった行動を繰り返している。
産卵に専念していた為、貴重な写真を撮ることができた。
結局、夕方まで産み続けた。カワラ茸の匂いが産卵を誘発させたのか?

コナラ材を削っているWILD♀
ちなみにこのケースは本棚の上、脚立に登って撮影。
本棚と言っても飼育棚と化していることは言うまでもない。

 

産卵中のWILD♀
削った場所におしりを突っ込んで産卵する。

WILD♀死亡
1月23日
WILD♀が1匹死んでいた。羽が開いた状態で、前翅も片方無かった。
どうやら♂に挟まれたようである。♂と一緒の飼育は危険なようだ。

ブリード♀後食開始
2月8日
11月16日に羽化した♀2匹が後食を開始した。
羽化から後食まで3ヶ月ほど掛かるようだ。

材割り
2月9日
コナラ材を1本割ってみた。1齢幼虫2頭と卵1個しか採れなかった。腐った卵も見られたので本当はもっと産んでいたのかもしれない。単品購入の♀29mmは死んでいた。
幼虫はコーヒービンにセットした。
カワラ材は堅すぎて産卵していないようなので取り除いた。大プラケースにコナラ材4本で再度セットした。今度はマット中に完全に埋めたものや埋めないものなどいろいろ試してみた。
卵1個はその後無事孵化、3月2日にらっきょビンにセットした。

マット交換
3月21日
劣化が進んでしまった3本のビンのマットを交換した。取り出したらなんと3頭とも♂幼虫だった。
サバゲノコは♀に偏りやすいことで有名でもあったが、♂幼虫が3頭も確認でき非常にうれしい。
ちなみに3頭のうちWILDからの幼虫は2頭、単品♀29mmの幼虫1頭だった。
単品♀29mmの幼虫は大きくなっていたが、残念ながら後足が切れていた。
幼虫は後足を中足に擦り付けていた。ギラファノコとまったく同じ行動だがまだ小さい為かギィーギィーという音は聞こえなかった。
コーヒービンでは狭いので1Lガラスビンに変更した。

♂の3齢幼虫
残念なら後ろ足が切れていた。

 

♂の3齢初期の幼虫
頭部がとても大きい。WILDからの幼虫。
ギラファノコと同様後足を中足に擦り付けるがまだ小さいため、音は聞こえなかった

♀3匹産卵
3月21日
大プラケースを見てみるとコバエが大発生していたので外で蓋を開けた。
見ると3♀とも産卵に専念している。あと、マットに埋まっている部分に多くの産卵跡を発見、♀は材に頭部を突っ込んで活発に産卵しているようである。以前に比べ材を削った跡が多くとても期待できる。
埋まっている部分に産卵しているので、マットを追加して材をもっと埋めてみた。
♂もとても元気で、サバゲノコは大変寿命が長い。

材割り
3月22日
コナラ材を1本割ってみた。1齢幼虫4頭と卵4個採れた。もっとも腐った卵や1齢幼虫の死骸もあり実際はもっと産卵していたようだ。コナラ材を1本追加した。
1齢幼虫はコーヒービンにセット、卵もプリンカップで管理した。
4月19日
コナラ材を1本割ってみると次々に1齢幼虫出てきて1頭潰してしまったが、12頭が採れた。
更にスポンジ状になった材から3齢幼虫と2齢幼虫が採れた。これは時期的にWILD♀からの幼虫だろう。
しかし、なぜ急によく産卵するようになったのか?まったく分からない。
WILD♂は未だに元気、♀は1匹死んでいた。産卵したせいなのか♂に挟まれたのか・・・。
飼育中の幼虫は30頭近くになり、今後の累代は容易となった。種親の投資は掛かってしまったが、ようやくなんとかまともに飼育できるようになった気がする。

アリによる事故
4月29日
他の♀も前回の材割りから見当たらないので、探してみたがマット中でバラバラになっていた。これで、産卵中の♀はいなくなってしまったが、12月7日に材割りした♀29mmの子が4月13、24日に2♀が羽化しているので、成熟を待って♂とペアリングさせるつもりだ。
とりあえず残りの材3本を割ってみた。22頭採れうち1頭は潰してしまった。
しかし、最初は苦戦していたのになぜか最近よく幼虫が得られるようになった。
得られた幼虫をひとまずプリンカップに入れておき、外で作業をしていたが、今日は風が強いのでカップは玄関に入れて置いた。
コーヒービンや500mLブロー容器にマット詰めを20分ほどおこなってから幼虫をビンにセットしているとなぜか幼虫が潰れてカップにへばり付いているものがいた。よく見ると小さいアリが群がっているではないか!!近くの植木鉢に付いていたらしくあっという間に仲間を呼んだらしい。
慌てて振り払い保護したが3頭潰されてしまい、18頭になってしまった。しかし、飼育中の幼虫は合計44頭になり充分だろうと思うことにした。

♂蛹室作成

♂の前蛹
前蛹とは蛹室を造り、シワシワになった状態の幼虫のことをいう。右足が欠けているので、蛹化時にどうなるか興味深い。
(2003.4.30)

4月29日
去年の12月23日にセットした♀29mmからの♂幼虫が体長の2倍もあるとても細長い蛹室を作成して前蛹になっていた。他の♂幼虫も自分の糞で周りを固めているものがいるので蛹化が近いようだ。
4月30日
GWということもあり、蛹化を観察できるかもしれないので、♂の前蛹を人工蛹室で蛹化させることにした。取り出した幼虫は例の昨日の前蛹ものである。
この幼虫は右足が欠けていた個体なのでかけた状態で蛹になるのか小さい足ができるのか観察してみたい。

♂の蛹化
5月1日
午前10時、蛹化が始まった。
欠けていた右後足はフセツ部分が非常に短いがツメのようなものが出来ていた。

蛹化@ −AM10:02−
発見時、既に頭部が出てきていた。

 

蛹化A −AM10:16−
どんどん皮が脱げて大アゴが出てきた。

蛹化B −AM10:17−
大アゴが完全に出た。

 

蛹化C −AM10:32−
完全に脱皮した。

蛹化D −PM1:11−
大アゴが伸びきり光沢が出てきた。

 

蛹化翌日の蛹 −AM11:43−
翌日、オレンジ色に色付いた。
再生した右後足は、フセツ部分が短いが、ツメは出来ていた。

5月16日
コーヒービンで飼育していた♂が蛹化した。あと、蛹室を造っている♂と思われる幼虫も2頭いる。

♂の羽化
5月22日
5月1日に蛹化した♂の蛹がかなり色付いてきた。羽化が近いようである。
5月24日
♂が羽化していた。人工蛹室だったが完品で羽化成功!

羽化が近い蛹
2日後に無事に羽化。
(2003.5.22)

 

羽化
まだ色が浅く、前翅の黄色い模様の部分は真っ白だ。
残念ながら、幼虫時欠けていた後ろ足はフセツの途中までで終わっていた。
(2003.5.24)

その後の飼育
7月20日
20頭ほど採れた幼虫は次々に蛹化・羽化しているが、♀が極端に多い。♀はセットから3ヶ月で羽化して小さい分とても早い。♂も4,5ヶ月で羽化し、今のところ最大で60.5mmが羽化している。
まだ、後食にはいたっていないが、まだWILD♂が健在なのでそろそろ羽化後3ヶ月になる♀が2匹いるので、WILDとのペアリングが可能かもしれない。
8月17日
去年の12月に購入したWILDの♂が遂に死亡していた。天然物だが8ヶ月以上も元気だった。


カメルーン産F1:♂60.5mm
60mmを超えると更に迫力がある。


 


カメルーン産F1:♀30mm



以後、9月ごろまで続々と新成虫が羽化しだし、60mmオーバーも複数羽化させることができた。
死亡率は0%で羽化不全も無く幼虫飼育はとても楽であった。
しかし、飼育当初のペアからの成長しない幼虫は未だまったく同じ大きさで生存している。
恐らく幼虫自体に問題があるのだろう。
30匹以上の成虫群は大半を安価で販売して大好評につきあっという間に売り切れてしまっている。
こちらもまた少数でブリードを続けていこうと思っている。


 


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