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ヘラクレスオオカブトムシ
Dynastes hercules hercules
産地:グアドループ

Oさん購入編
 
 
サバゲノコの交換で知り合った宮城県のOさんにお願いして
激安でヘラクレスオオカブト(以下ヘラヘラ)をお譲りしていただいた。
今回は150mmオーバーの大型個体作出を目標にして飼育していきたい。


ヘラクレスオオカブトムシ♂138mm(グアドループ産/F2)



飼育管理表
幼虫No. セット日 1回目 2回目 3回目 4回目 5回目 6回目 7回目 蛹化 羽化 結果 備考
11/11 1/25(38g) 3/29(62g) 5/24(66g) 7/5(66g) 12月 1月下旬 ♀71mm
11/11 1/25(40g) 4/6(89g) 6/7(112g) 8/9(114g) 10/26(122g) 12/31 死亡
11/11 1/25(27g) 3/29(43g) 5/24(55g) 7/5(56g) 11/28 1月中旬 ♀63mm 奇形
11/11 1/25(24g) 3/29(53g) 5/24(50g) 7/5(47g) 11/28 1月中旬 ♀59mm
11/11 1/25(9g) 3/29(35g) 5/18(52g) 7/26(66g) 11/23(76g) 死亡 雌雄型?
灰:2Lブロー容器で単独飼育
黄:中プラケースで単独飼育
緑:大プラケースで単独飼育
赤:大プラケースで同時飼育



1齢幼虫購入
2002年
11月11日

 宮城県のOさんよりグアドループ産の累代品、1齢幼虫5頭を安く譲っていただいた。
種親の♀は、昔に奈良オオで購入した累代品で当時は50万円もしたそうである。♂はOさんの恩師からの♂で大変思い入れがあるそうで、貴重なものを安く譲って頂けて本当に感謝してます。
という訳でF1同等の血統、孵化して2〜3週間程とのこと。
2Lブロー容器でオリジナル腐葉土マットで単独飼育した。

1齢幼虫(参考画像)
ホントはもうちょっと成長してます。

 

2Lブロー容器で飼育(参考画像)

マット交換(1回目)

2齢幼虫(No.5):9g
この1頭だけまだ3齢になっていなかった。
写真では確認しづらいが頭部付け根あたりが異様に太い。
もしかしたら大型の素質があるのかも?
とりあえず中プラケースで単独飼育。
(2002.1.25)

2003年
1月25日

 2ヶ月以上経ち、かなりマットが縮んできたのでマット交換することにした。
幼虫を出してみると5頭が3齢幼虫、1頭がまだ2齢幼虫だった。♂♀判別してみたが1頭は腹部に明らかな♂マークを確認、40gあった。2齢幼虫は9g。
体重計は奈良オオから今日届いたソーラー式体重計「1155ルイール」を使用した。
 やはり♂が一番重く、期待できるので大プラケースで単独飼育することにした。
 2齢幼虫は9gとまだ軽いがなぜか頭部の付け根あたりが異様に太くもしかしたら大型化の素質を秘めているかも知れない。
3齢幼虫の内1頭と2齢幼虫は中プラケースで単独飼育、残りの2頭は大プラケースで一緒に飼育した。
マットは前回よりカブト専用マットの割合を多くしてみた。

3齢幼虫(No.2):40g
まだ初期だが♂と判別でき、40gで5頭中一番重かった。
大プラケースで単独飼育して大型個体を目指す。
(2002.1.25)


 

奇形?(No.3):27g
おしりの節が異常なものがいた。これは以前国産カブトでも見られたが多頭飼育で羽化不全続出したため結果は確認できていない。大プラケースで2頭一緒に飼育。
(2002.1.25)


マット交換(2回目)

3齢幼虫(No.5):35g
この幼虫だけ1齢幼虫から頭部付け根あたりが異様に太い。極太胸角の素質のある幼虫なのか!?
中プラケースから大プラケースで単独飼育。
(2003.3.29)


3月29日
 マット交換から2ヶ月経過していたので、マット交換することにした。雌雄も選別してみた。大プラケースで単独飼育している♂No.2はまだマットが劣化していなかったので、マット交換は伸ばすことにした。
 4頭中♂1頭、♀3頭だった。かなりマットが縮み乾燥も進んでいた。
♂幼虫のNo.5は前回2齢幼虫だったが、3齢幼虫になっていた。だが、2齢幼虫の時と同様、首周りが異様なほど太い!実は1齢幼虫の時も同じだったのだが、最初は奇形か?と思ったのだが、背中が棒状に突っ張っていたので、脱皮直前なのだろうと考えていた。
3齢幼虫になってもなおこのように太いともしかしたら極太胸角をもつ♂ではないだろうか!?
 この幼虫は貴重だと思うので大プラケースで単独飼育することにした。

♂No.2のマット交換(2回目)
4月6日
 大プラケースで単独飼育しているNo.2の♂幼虫をマットを交換することにした。見た目にはマットは劣化していなかったが、糞は目立ち始めだしたくらいだった。
 前回、1月15日のセット時は40gだったが、今回は89gに大きく成長していた。まだまだ大きくなりそうで、カブトマットの割合を多くしてみた。

♂No.5のマット交換(3回目)

3齢幼虫(No.5):52g
頭部付け根あたりが太い幼虫。体のほうも成長してきたので、少し目立たなくなってきたが、他の幼虫とは明らかに違う。成長も遅い。
(2003.5.18)

5月18日
 大プラケースで単独飼育しているNo.5のマットに線虫の発生が目立つようになってきたので、3回目のマット交換をすることにした。
No.2の♂幼虫はかなり成長していて100gにはなっている感じだが、No.5の幼虫はまだ52gだった。体が成長してきていて頭部周辺の太さが目立ちにくくなっているが、他の幼虫とは明らかに違う。成長も遅いとなるとやはり遺伝的に変異があるようだ。どういう成虫になるのか大変興味深い。
 マットは自作のフスママットを中心にカブトマット、埋め込みマットを混ぜたものを使用した。
♀3頭のマット交換(3回目)
5月24日
 ♀3頭のケースにいつの間にかコバエの幼虫が大発生していたので、マット交換した。
体重は66,55,50gだった。

♂No.2のマット交換(3回目)

3齢幼虫(No.2):112g@
かなりデカく太っていた。大型が期待できる。
(2003.6.7)

6月7日
 ♂幼虫No.2も2ヶ月ぶりにマット交換した。マットはあまり糞は目立たなくまだ劣化していなかった。
予想通り、幼虫はかなり大きく成長していた。2ヶ月前は89gだったが、今回は112gになっていた。しかし、幼虫にコナダニの卵がたくさん付着していた。自家製のフスママットも混ぜているので、フスマの添加量が多く栄養価が高かったのが、原因かもしれない。でも、構わずどんどん大きくなっているので、そう心配することもないようである。
 市販のカブト専用マットと自家製フスママットを半々に混ぜたマットを使用、大プラケースで単独飼育を続行した。

3齢幼虫(No.2):112gA
黄色く成熟してきているようだ。
(2003.6.7)


 

3齢幼虫(No.2):112gB
ダニが発生していた。自家製フスママットのフスマの添加量が多かったからかもしれない。
しかし、特に影響は見られなかった。
(2003.6.7)

♀3頭のマット交換(4回目)
7月5日
 ♀3頭を飼育しているマットを交換することにした。♀幼虫の体重は前回とあまり変わらなくて、黄色くなってきた。成熟してきたようだ。年内には蛹化すると思う。マットはあまり糞が目立たず劣化していなかったので、新しいマットを追加するだけにした。

♂No.5のマット交換(4回目)
7月26日
 頭部付け根付近が異様に太い♂幼虫のマット交換をおこなった。
かなり良いマットを使用しているにも関わらずやはり大きくならず、66gであった。
今までどおり大プラケースで飼育続行することにした。

♂No.2のマット交換(4回目)
8月9日
 一番大きな♂幼虫No.2のマット交換をすることにした。
マットがかなり乾燥気味だったが、114gあり体重は2gしかアップしていなかったが、だいぶ黄色くなってきたので、成熟期に入ったのだろう。
市販のカブトマットでマット交換をした。

♂No.2のマット交換(5回目)
10月26日
 一番大きい114gだった幼虫のマットがかなり縮んできたので、マット交換をすることにした。
体重を量ってみると122gになっていて、やはりとても大きかった。
かなり成熟して黄色くなっているので、来年早々にも蛹化してくれるのではないだろうか?
幼虫には相変わらずコナダニの卵が付いているが、まったく影響はないようだ。


♀蛹室作成
11月9日
 ♀幼虫が3頭とも蛹室を作成していた。
既に完成しており、マットの固められた部分がオレンジ色に変色して頑丈そうな蛹室であった。
同時期にリッキーの♀も同じ状態になっているが、リッキーのほうは1月前後からの飼育なのでヘラヘラはリッキーよりも2ヶ月遅いことになる。しかし、蛹室を造るまで丁度1年間なので遅いということはなく、10ヶ月で蛹室を造ったリッキーの方が成長が非常に早かったということである。
♂は更に数ヶ月か半年掛かると思われるが、No.2の122gの幼虫が一番楽しみである。

♂No.5のマット交換(5回目);雌雄型!? 3齢幼虫(No.5):雌雄型?の幼虫
♀幼虫に多いオレンジ色の楕円のマークも確認できたが、リッキーの♂幼虫でも確認できたので、♀特有のものではなかった。
(2003.11.23)

11月23日
 No.5の幼虫のマットがかなり劣化して縮んできたので、マット交換することにした。
相当成熟していてかなり黄色くなっていた。
体重は76gだった。
 この幼虫は頭部付け根付近が異様に太く極太の胸角を期待していた幼虫だったが、成長があきらかにおかしく良い環境でも全然大きくならなくて謎である。
もう一度雌雄判別してみると腹部にある♂の褐色をした窪みははっきり見出せるのだが、なんとその左右に♀特有と思われるオレンジ色をした楕円のマークがはっきり確認できるではないか!?
体重も♀にしては少し大きめで♂としては小さすぎる、ひょっとするともしかしてこれが雌雄型なのではないか!?
以前から遺伝的に異常があるのでは?と考えていたが、雌雄型だと考えればすべて納得がいくのだが・・・?。
と思ったのだが、後にオレンジ色の楕円マークは後にリッキーの♂幼虫でも1頭確認したので、♀特有のものではなかった。
ただ、形・成長とも他の♂とくらべ明らかにおかしいので、奇形なのか雌雄型になってくれるのか羽化が楽しみである。

♀蛹化
11月28日
 ケース底面から見える♀幼虫2頭が蛹化した。もう1頭はマットで見えなくなってしまって確認は出来ないが既に蛹化したか数日以内に羽化するはずである。

♂No.2蛹化 No.2の蛹@
巨大で体長は160mmほどもあった。
まさかもう蛹になっているとは想像もしていなかった。
今回も同時期の幼虫群で雌雄選別飼育という一般的には累代困難と言われているが、また累代成功しそうだ。
(2003.12.31)

12月31日
 大型で122gだったNo.2の♂幼虫のケースにコバエの幼虫が大発生していたので、急遽マット交換することにした。
大量発生していたので、掘るのは気持ちが悪いので、ケースごとひっくり返しマットを取り出したら、なんと蛹が出てきてしまった!!
大丈夫かと焦ったがなんとか無傷なようだ。
蛹はとても大きくノギスでは測れなかったので、メジャーで測ると160mmほどもある蛹だった。体重も量ったら102gだった。
しかも、胸角はまっすぐで左右に少しも曲がっていなくて綺麗なカーブを描いている。
しかし、巨大で肥満化したためなのか右前翅が中足の上に乗っかる形になっていて羽化不全が心配である。
 現在、No.1,2,4の♀幼虫3頭が蛹であり、リッキーでも同様だったが同時期に得られた幼虫群からの羽化ズレは起きなかった。
厳密に言えば1ヶ月の羽化ズレとは言えるが、1年近く生きるヘラクレスの場合、累代にはまったく影響はなく、返って♀のほうが先に羽化してくれるとその分成熟期間に当てることができむしろ都合がよい。
一般的には雌雄同居させないと単独飼育では不可能に近いとまで言われているようだが、今回も♂単独飼育で大型狙いに絞った飼育でも可能であった。
その理由はここで言わずとも飼育マニュアルでもお分かりいただけると思う。
更にこの蛹が幼虫だったときの写真でもお分かりいただけると思うが、ピンクのコナダニの卵と思われるものが幼虫にびっしり付いていたものであった。
 人によっては有害とされる方もおられるが見てのとおり見事巨大な蛹にまで成長させることができた。添加前からフスマを入れたタッパーの蓋の溝にも多数付着しており、やはりあくまでコナダニのエサは決して幼虫の体液ではなくフスマであったことが証明できたと思う。
 残った不安要因はフスマを多く添加した為の肥満化による羽化不全の問題である。
右前翅と右後翅が白っぽくなっていて、完品での羽化は残念ながら望めそうにない。
 蛹室も壊れてしまったので、前回のヘラヘラの羽化で使用した人工蛹室を修正して使うことにした。
No.2の蛹A
大きいだけではなく胸角も極太!
しかも、角曲がりなしで、綺麗なカーブを描いている。
羽化不全の不安は残るが羽化が待ち遠しい。
(2003.12.31)

  No.2の蛹B
ノギスでは測定不可で、メジャーで測定。
写真では角度の関係で170mmのように見えてしまうが、実際には160mmの蛹であった。
右前翅が白く中足に乗っかっているのが気になる。
※暗くてすみません。これ以上明るくすると目盛りが見えなくなるんです。
(2003.12.31)

♂No.5蛹室作成
2004年1月24日
 雌雄型なのかと期待をしていたNo.5の幼虫がようやく蛹室を造った。
雌雄型でないにしても、普通の成虫ではないと思うので羽化が待ち遠しい。
安全のため、蛹化しても掘り出さないことにした。

♀No.3,4の羽化 No.3の♀63mm
奇形だった幼虫が羽化したもの。
やはり成虫時にも同じように背中の節目がおかしかった。
奇形でなければ完品だったのだが・・・。
(2004.1.25)
1月25日
 そろそろ♀が羽化している頃だろうと思い、掘り出してみた。
出てきた♀は前翅の先端付近の背中の節がおかしい。どうやらあの奇形幼虫が羽化した個体のようだ。
 更に掘ってみると、今度は♀の蛹が出てきた。蛹化が確認できなかった1頭は蛹化が少し遅れたようだ。
 また更に掘ってみると残念なことに前翅が完全に結合できずに、少し開いた状態で後翅を折りたためない個体だった。
ヘラクレスで羽化不全が出たのは初めてだが、原因はいまいちよく分からない。
蛹の間にマットがかなり劣化してはいたが、それが影響しているとは考えにくく、幼虫時もそれほど質の悪いマットを与えてはいなかったのだが・・・。
 残念なことではあるが、今回購入して飼育してきた幼虫5頭は幼虫の形状に異常が見られるものが2頭もいたことや、今まで起きたこともなかった羽化不全個体などが出たことを考えると種親が遺伝的に何らかの異常を持っていた可能性が高く、昔に購入した個体の累代品のため、血を入れ替えたとはいえ、累代を重ねたことが遺伝的異常が出た原因になったのではと考えている。
恐らく大型の♂の蛹も、右前翅が蛹の段階で持ち上がっており、完品での羽化は望めそうにない。
もし、肥満化による羽化不全であるなら、現在続々蛹化しているリッキーの蛹達からも同じ現象が起きると思うが今のところ大型だが正常な蛹しか確認できていない。
 羽化不全だった♀は後翅や背中が出ていると死亡率は高くなるので、産卵が成功するとは思えないが、できれば別購入の大型♂が羽化するので、再度血の入れ替えをしてブリード続行させたい。
1月27日
 最後の♀の蛹が羽化していた。今度は完品だった。

♂No.2の蛹死亡
2月11日
 大型の♂の蛹が黒っぽくなって悪臭を放っていた。どうやら死んでしまったようだ。
非常に残念であるが、やはり遺伝的に異常があるとしか思えない。
代わりに幼虫購入品の♂が3日前に羽化したので、取り出してみた。
完品で、胸角は太く言うことのない素晴らしい個体だった。136mmある大型個体だった。
他、リッキーなど皆羽化不全などなくどんどん羽化しているところを見ると、やはり今回の幼虫群は遺伝的に異常があったとしか思えない。気になることはかなり古い個体からの累代品だということだ。
やはり血が濃くなることで、遺伝に異常をきたしてしまった可能性は高い。

グアドループ産/F2:ヘラクレス・ヘラクレス♂138mm@
これは幼虫購入品の個体。
やはり他の血統では問題なく皆羽化している。
今回の幼虫群は遺伝的に不具合があったのだろうか??
(2004.2.11)

 
グアドループ産/F2:ヘラクレス・ヘラクレス♂138mmA
頭角突起は3つもあり、貫禄がある。
今回は残念だったが、めげずにこの個体からまた繁殖させる予定だ。
(2004.3.6)

♂No.5死亡
2月29日
 ケース底部から見ると濃いオレンジ色になっているのだが、脱皮していないので脱皮できずに死んでしまったようだ。
取り出してみると既に腐敗が始まっていて、前蛹から胸角だけ出ていた。
最初から形がおかしい幼虫だったが、残念ながら羽化させることができなかった。

♀No.1取り出し
新成虫の♀71mm
最後の個体でやっと完品の大型の♀が羽化してくれた。

(2004.2.11)

3月6日
 最後に羽化した♀を取り出すことにした。
今度は完品で、かなり大きく71mmもあった。
まとめ
 なぜか今回の幼虫群は成長速度や幼虫の形など、おかしい部分が多く、大切に飼育するも虚しく結果は羽化できずに死んでしまったものが多く、まともに完品で羽化できたのは、71mmの♀1匹だけであった。
別購入の幼虫はすべて死ぬことなく完品で普通に羽化していることから、この幼虫群はブリードを重ねて血が濃くなってしまい、遺伝的に異常をきたした可能性が高いと思われる。
事実、購入元であるOさんは種親は昔に50万円の時代に購入した累代品という話で、他から入手した♂と掛け合わせたそうだが、既に遺伝的に異常をきたしていたのではないかと思えてならない。
今回は残念な結果となってしまったが、まだまだ幼虫は飼育中であるのでこれからもブリードを重ねていきたいと思っている。


 

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