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ヘラクレスオオカブト飼育記
Dynastes hercules hercules
産地:グアドループ島
 
 
世界最大のヘラクレスオオカブト。
13亜種の中でもっとも胸角が太くなり最大にもなる原名亜種を思い切って天然のペアを購入しました。
角の太さ、前翅の色や模様の変異など個体差も多く、これほど奥が深いカブトは他には無いと思う。
今では飽きるどころかどんどんのめり込んでしまいました。累代飼育したいと思います。


ヘラクレスオオカブトムシ♂128mm(グアドループ産・WILD)



種親購入
2001年9月29日
奈良○○クワセンターより♂128mm・♀59mm、1ペアが到着した。
10万円もした!!。これほど高価な生体を購入したのは初めてだ。
♂はケースから出すと黒かった前翅が湿度の為、みるみる黄色くなっていった。
日本に届いたばかりなのでストレスを感じていると思い、まず♂・♀別々に大プラケースで管理することにした。
非常に大人しいカブトである。それほど大食いでもなく、羽化したコーカサスの大量飼育で疲れ果てていた私にはすべてにおいてパーフェクトな虫である。


ヘラクレスオオカブトムシ♂128mm(グアドループ産・WILD)


 

♀59mm(グアドループ産・WILD)

産卵用ケースのセット

産卵用ケース

産卵用ケースは大プラケースでマット下部5cmに黒土とカブト専用マットを半々に混ぜたものを固めに詰め、ケース8分目までカブト専用マットを入れた。
産卵促進にと、クワガタ用の産卵材としては良くない芯の太いコナラ材を横にして半分埋めた。
交尾

交尾

10月1日
♀がマット上にいたので♂を乗せた。♂はおとなしかったが乗せた途端即座に交尾態勢に入り、交尾をおこなった。30分以上も続き、まだ離れる気配もなかったので引き離し、終了させた。
しかし、自然に終わるのを待ったほうがよかったと思う。
採卵
11月2日
ケース底部のマットの固められた所から卵10個を採卵した。採取した卵はプリンカップで人工孵化させることにした。産んでまだ日が浅いと思われる白く細長い卵7個と、黄色く大きく膨らんだ孵化が近い卵3個は別に管理することにした。
交尾もさせようとしたが、♀が拒否して失敗した。




 

プリンカップにセットした卵
菌糸が廻ろうが、粘菌に覆われようが平気だった

種親の様子
11月10日
♂は昼夜を問わずゼリーから離れずほとんど動かない状態だった。しかしゼリーを食べる量は少ない。
電気代が怖いのでエアコンの設定を20℃にしているので、少し寒いのかも知れない。

孵化


孵化した1齢幼虫

11月22日
2頭孵化した。
11月23日
1頭孵化した。
11月27日
1頭孵化した。
12月2日
1頭孵化した。
12月11日
2頭孵化した。
12月12日
1頭孵化した。採卵した10個すべて孵化した。
幼虫飼育
クワ本にコーカサスは菌糸ビンで大きくなると書いてあったので、ヘラクレスもそうなのだと思い、大プラケースに新しい菌床ブロックを解したもので3頭ずつ飼育することにした。

1齢幼虫@

 

1齢幼虫A

♂死亡
11月25日
 元気の無かった♂がとうとう死んでしまった。
今から思えば飼育温度が低かったのも死を早めたのかも知れない。

採卵(2回目)
12月9日
 2個しか採れなかった。マットを半分新しい埋め込みマットとカブト専用マットを追加してみた。
採れた卵2個も無事孵化して12頭になった。
幼虫、大きくならず
2001年1月27日
 幼虫を取り出してみたところ、ぜんぜん大きくなっていない。12頭いたのも10頭になっていた。
どうやらヘラクレスにはこの飼育法は適していないようである。
カブト専用マットに変更することにした。
大プラケースに5頭ずつ入れた。
ヘラクレスは♂♀の羽化ズレが激しいらしいので、大型化より羽化ズレを縮めるため、多頭飼育することにした。
♀死亡
2月26日
 ♀も死亡した。卵も産んでいなかった。
マット交換
 マット交換は不定期にマットが劣化して縮んできたら交換した。
5月25日
 幼虫は2,3齢になっていて過密気味で1頭消えていたので、3頭ずつ飼育することにした。

2齢幼虫

 

3齢幼虫

追加幼虫購入
6月22日
 3齢幼虫ペア(グアドループ産・F2)をLong ○ornよりかなり安く購入した。
今度は単独飼育で大型を狙いたい。
大プラケースで1頭ずつセットした。

マット交換
10月13日
 比較的大きめの幼虫を大プラケースで単独飼育、あとは2,3頭ずつで飼育した。
市販のカブト専用マットは高価なので、近くの雑木林で採取したコナラ・カシ主体の腐葉土をメインにカブト専用マット、クヌギマットを少し混ぜたもの(以下、オリジナル腐葉土マット)を使用した。
このマットは以前よりはるかに安価な上、菌糸が廻って大変良い香りがして非常に期待できる。ただし、ムカデがよく出るので見つけ次第駆除しているが今のところどのカブトにも被害はない。

比較的大きな3齢幼虫@
だいぶ黄色くなっているのでこれ以上は大きくならないかも?

 

比較的大きな3齢幼虫A

追加幼虫購入
11月11日
 宮城県のOさんより同産地の累代品の1齢幼虫5頭を安く譲っていただいた。
この個体も昔に奈良オオで購入した累代品で当時は50万円もしたそうである。
今度は孵化して2週間程度の幼虫なので、150mmに迫る大型個体に挑戦してみたい。
2Lブロー容器でオリジナル腐葉土マットで単独飼育した。
飼育記がややこしくなるので別に飼育記を作りました。
11月12日
 マット代が浮いたこともあって、HPでザ・○○クワ神戸○販部の激安セールを見つけてしまい、3齢幼虫ペア(グアドループ産・F2)を購入した。
これも単独飼育、うちの幼虫とペアリングできれば兄弟ではないので、F1同等の血統が得られる。

蛹室作成
12月16日
2頭入っているケースに蛹室を発見!!
前蛹になっているようだ。恐らく♀だろう。
2003年1月1日
PM3時頃、遂に蛹化した。やはり♀だった。同じケース内にもう1匹いるはずなのだが姿を確認できないので、見えないところで蛹化しているのではないだろうか?♂であってほしい。
このケースは特に蛹化用にセットしたのではなく、去年の10月13日にマット交換をしたもので、腐葉土主体のせいかマットがケース半分まで縮んでしまっている。グラントシロカブトでもそうだが、蛹化の時期が来れば難なく蛹室を造れてしまえるようである。コーカサスオオカブトとは大違いだ。
1月22日
大プラケースで3頭飼育していた幼虫も1頭、蛹室を造った。このケースは大プラケースに3頭飼育しているので、大きさは期待できないと思う。他の2頭はまだ蛹室を造っていない。
2月12日
大プラケースで3頭飼育していた幼虫が1頭蛹化した。大きさからして♀のようだ。
2月15日
特大プラケースで3頭飼育していた幼虫が1頭蛹化した。♀だった。
3月17日
大プラケースで3頭飼育していた2頭目が蛹化した。
もう1頭いるはずだがまったく姿を見ていない。既に蛹化している可能性がある。

羽化
2月16日
♀が羽化した。
2月22日
羽化した♀を取り出してみた。62mmだった。姿が確認できなかったもう1匹も♀63mmとして羽化していた。ただ、体長はおおよそのもので頭を引っ込めたときと出ているときでもかなり違うのであくまで目安である。
♀63mmは既に前翅が色付いており、まだ色付いてなく黒い♀62mmの個体より早く羽化したようだ。
1齢幼虫で飼育開始したのが、おととしの11月23日である。羽化まで1年3ヶ月程掛かった。もっとも当初、菌床をそのまま与えるという暴挙に走ってしまった為、成長が大幅に遅れてしまったことだろう。
非常に元気で動き回ってなかなか写真を撮らせてもらえなかった。大変高価な♀なので今後どうするか?
♂の羽化は間に合いそうにない。
とりあえず1匹ずつ中プラケースで管理した。

ヘラクレス・ヘラクレスの♀63mm@
原名亜種は♂が最大で170mmを越す大型種なのに♀は60mm前後で、リッキーなどの亜種に比べ♀は全体的に小型ということなのでまずまずの大きさだろう。

 

ヘラクレス・ヘラクレスの♀63mmA
前翅の色はオリーブグリーン。原名亜種の特徴がよく出ている。
(自然光にて撮影)

♂・♀交換
3月4日
ペアリングをどうするか考えていたが、探し物掲示板に新成虫ヘラクレス・ヘラクレスの♂約110mmと♀を交換したいという方(Kさん)がいたので、冒険ではあるが♀63mmと交換を頼んでみた。デジカメが無いとのことで少々心配ではあるが、交渉成立した。

♂到着

ヘラクレス・ヘラクレスの♂113mm@
ケースから取り出すと30秒で色付いた

3月10日
 交換の♂が届いた。帰宅後、早速開けてみると角がとても太くて長いカッコいい個体。
110mmと聞いていたので、角は細く短めの個体を想像していたので、大感激。測定すると113mmだった。
ドルクスキング幼虫購入したグアドループ産・F1である。
前翅の色、頭部の角の突起の数、胸角の太さ、間違いなくヘラヘラだ。2月中旬に取り出したところ成虫になっていたとのことで1月下旬から2月上旬の間に羽化した個体のようだ。
この♂と羽化してくる♀達とで、ペアリングさせようと思う。
兄弟では無いので血統も有利である。
もちろん、私の♀63mmもKさんに無事到着している。
3月27日
 後食を開始した。
4月6日
 ♂はすさまじい食欲であっという間にゼリーを食べてしまう。最初に買った♂はこんな食欲ではなかったので相当弱っていたのかもしれない。
♂蛹化
4月2日
6月22日に3齢幼虫で購入した♂が蛹化した。大プラケースで単独飼育はしていたが、天然腐葉土主体の激安マットでの飼育なのですぐにマットが縮んで蛹化時はケース半分の高さになっていた。しかし、そこそこ大きそうだ。
4月5日
蛹化した♂の蛹を取り出してみた。思ったより結構大きい。生まれて初めて見るヘラクレスの蛹にとても感激した。胸角がやや左曲がりだが大満足だ。しかし、国産カブトと同じ強い臭いがする。成虫では臭わなかったのだが?
蛹の体長は138mmだったが、羽化したらどれくらいになるのだろう?特大の♂はOさんからの幼虫に期待したい。
取り出した蛹はそのまま蛹室を露天掘りした状態で羽化させてもよいのだが、このように天然の腐葉土を使っているので雑虫に食べられる危険があり(シロヘリの♂も空けた穴から侵入され食べられてしまったことがある)自殺行為であろう。人工蛹室を造ることにした。蛹を掘り出すまでもムカデを2匹も発見している。人工蛹室はいつものように黒土で作成、ヘラクレス用にやや斜めに造ってみた。

ヘラクレス・ヘラクレスの蛹@
蛹の体長138mmだった。

 

ヘラクレス・ヘラクレスの蛹B
胸角がやや左曲がりなのが少々残念。
黒土で造った人工蛹室で管理した。

3匹目以降の♀の羽化

ヘラクレス・ヘラクレス♀の蛹
♀は8頭中6頭と偏った。
蛹室ごと綺麗に取り出せたのでこのまま羽化させてみる。

4月2日
 3匹目の♀が羽化した。
4月4日
 4匹目の♀が羽化した。1匹は♂と交換したので、これで♀は3匹になる。
4月6日
 4月2日に羽化した♀を取り出してみた。62mmが出てきた。このケースは大プラケースに3頭飼育していたので、1頭見えなくて心配していたが、羽化していて♀60mmが出てきた。もう1頭は3月7日に蛹化してまだ蛹である。
♀60mmは3月上旬には既に羽化していた感じで非常に元気だった。しかも前翅の色が綺麗なオリーブ色をしているので、この♀からも是非幼虫を採りたい。
掘り出した♀は大プラケースに2匹入れ、後食を待つことにした。
新成虫の♀はこれで4匹になった。
4月19日
 特大プラケースで3頭飼育していたケースを開けてみた。新成虫の♀65mmと♀の蛹と成熟した♂幼虫が出てきた。コバエが繁殖していたためマットが著しく劣化していたので蛹室ごと簡単に取れてしまった。
雑虫も侵入しやすい状態だったので掘り出したのは正解だったと思う。蛹室は綺麗に取れたのでそのままQ BOXミニに入れて羽化させることにした。
♂はやはり当初の飼育不手際から大きくはならなく70gしかなかった。奈良オオ購入ペアからの子は8頭で♂幼虫は2頭だけだがどちらも中プラケースで飼育することにした。しかし、♀は全部で6匹もいるので累代に期待できる。
4月29日
 3月7日に蛹化した♀が羽化した。これで奈良オオからの子孫の♀の蛹は掘り出した1頭だけになった。

♂3齢幼虫のマット交換

3齢幼虫
11月12日に3齢初期で購入した♂幼虫。順調に成長しており、112gになっていた。

4月20日
 11月12日に購入した3齢幼虫の3度目のマット交換をした。112gに成長しており、順調に大きくなっていた。黄色っぽく成熟してきたようなので、蛹化も近いかもしれない。

♀後食開始
4月15日
 2月16日に羽化した♀62mmが後食を開始した。翌日には16gのゼリーが2個空っぽになっていた。ものすごい食欲。ペアリングまで1ヶ月待つことにする。
その後の累代は飼育記No.2をご覧下さい。

♂の羽化

♂の羽化@
羽化シーンを見逃したのは残念。しかし、初のヘラヘラ羽化に大満足!
胸角が蛹室の壁に突っ込んでいる。体長は120mm前半ほどで、角も長くバランスがとれたよい個体になった。
(2003.5.25)

5月25日
 今日はプレ企画当選発表の日。それを祝うかの如く人工蛹室の♂が羽化していた。想像していたより胸角が太くカッコいい個体だった。
少し左に曲がり気味ではあるが、体長は120mm前半あり角も長く非常にバランスがとれた個体で、大満足である。
現在中プラケースの奈良オオからの♂幼虫も1頭前蛹になっており、大きさは期待できないが、これも楽しみである。
奈良オオ最後の♀羽化
5月28日
 奈良オオからの最後の♀が羽化した。4月19日に蛹室ごと掘り出した個体である。コバエの繁殖で蛹室はかなり劣化してスポンジ状になってしまっていたが、無事完品で羽化していた。これで、現在成虫の♀は6匹になった。あと、幼虫購入の♀も蛹1頭、前蛹1頭いる。

♀の羽化@
蛹室をくり抜いた状態で羽化成功!
(2003.5.28)

 

♀の羽化A
(2003.5.28)

奈良オオ♂羽化
6月7日
 奈良オオの種親からの子の♂幼虫が遂に蛹化していた。おととい見たときはまだ前蛹だったので、昨日か今日蛹化したようだ。奈良オオからの幼虫は当初菌床をそのまま与えたため、成長せず大型化を諦め、3月23日マット交換時成熟した状態で91gだったので、中プラケースで単独飼育していたもの。コバエの幼虫が大発生していたので、人工蛹室に移そうと思う。
6月8日
 今日、早速昨日の蛹を掘り出してみた。大型化を諦めていたので期待していなかったのだが、結構大型で、なんと胸角が極太で角曲がり無し!蛹の体長は140mmあった。蛹化前の成熟した状態で91gしかなかったのだが、これはどの蛹になるとは予想外であった。ただ、蛹なので角の太さが強調されているだけなのかも知れない。
人工蛹室で先に羽化した♂を中プラケースに移し、同じ人工蛹室で羽化してもらうことにした。

♂の蛹@
蛹の体長は140mmあった。中プラケースで蛹化したが、角曲がり等も無かった。
(2003.6.8)

 

♂の蛹A
大型化を諦めていた幼虫で、成熟した上体で91gしかなかったが、極太胸角、角曲がり無しのの立派な蛹になってくれた。
(2003.6.8)

胸角基部の太い♂
6月21日
 5月25日に羽化した♂ペアリングに使用して累代で極太胸角を目指したい。

新成虫♂123mm@
初羽化した♂。胸角基部がかなり太い!
(2003.6.21)

 

新成虫♂123mmA
前翅の模様もかなりよい。
(2003.6.21)

奈良オオ♂の羽化
7月20日
 人工蛹室に移した♂の蛹が黒っぽくなっている。蛹化が近いみたいだ。
夜の8時ごろ、バリバリという音で気が付いて見てみると蛹が動き始めていた。
連休の中日という羽化のシーンを撮影できるまたとないチャンスに恵まれた。
専用ページを作成してみたので、ご覧下さい。

ヘラクレスオオカブトの羽化シーン

羽化直前の蛹
かなり黒っぽくなってきた。ここまで黒くなっていると動き出すのも時間の問題だ。
(2003.7.20)

 

ヘラクレスの羽化
完品で羽化させることができた。
(2003.7.20)

奈良オオの新成虫

新成虫WF1の♂128mm
奈良オオ購入のWILDペアから得られた子供。
幼虫時は91gだったのだが、128mmの立派な♂が羽化してくれた。
体長は種親と同じくらいだが、体格はブリードした個体のほうがずっと立派になった。
(2003.8.24)


8月24日
 羽化した新成虫はとても前翅の模様が綺麗で胸角の太い♂となtってくれた。体長も128mmで91gの幼虫からは想像もできなかった大きさだった。
種親とほぼ同じ体長ではあるが、体格はブリードした個体のほうがずっとよかった。WILD♂の標本と比べてみるとWILDのほうがずっとスマートで胸角も細かった。
この違いは幼虫期の環境によるものなのか、♀のほうの遺伝の影響なのか興味深い。
この辺で飼育記No.1は終了したい。
 

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