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アズマヒキガエル
学名:Bufo japonicus formosus

アズマヒキガエル(2005.7.30)
Data
和名 アズマヒキガエル
体長 6〜15cm
分布 本州(山陰地方・近畿地方以東),北海道(函館付近)
エサ 昆虫やミミズなど
コメント
日本に生息する大型のカエル。
乾燥に強く繁殖期以外はほとんど水に入らず、雑木林や民家の庭などに生息している。
皮膚にある多数のイボから嫌われることも多いが、居心地がいいと民家の庭などに住み付くこともあり、愛着を感じる。
主に地面にいるミミズやオサムシなどやや大きめの生物も好んで食べる。
オタマジャクシの期間も非常に短く、小さい状態でカエルに変態し、すぐに陸上生活に移行できる。
ゆえに大きなオタマジャクシだからといって本種であるということは決してない。
身近な水辺に突如多数の黒くて小さいオタマジャクシが現れたら、まず本種のオタマジャクシである。
 
他のカエルは俊敏ですぐに逃げてしまうが、本種は逃げずに落ち着いている。
これは目の後ろにある耳腺(じせん)に毒を持っていて、ヘビなどに噛まれると耳腺(じせん)が圧迫されて毒が分泌されることによって身を守ることができるためである。
しかし、カエルが大好物のヤマカガシRhabdophis tigrinus)の毒は強力で本種でさえ飲み込まれてしまう。
よく道路でヒキガエルの死体を見ることがあるが、大抵は繁殖のために自分の生まれた池や沼に戻る途中に道路を横断する必要があるために車に轢かれてしまうのである。
繁殖に多数の本種が集まって騒がしく産卵するので、昔から「蛙合戦(かわずがっせん)」と呼ばれている。
普段は雌雄判別は難しいが、繁殖期になると♂は黄褐色になり皮膚のイボも消失して、♀は焦げ茶色になるので、判別は容易になる。
産卵した卵塊は、ひも状の透明な寒天質で内部に2,500〜8,000個の黒い卵を見ることができる。
 
原亜種であるニホンヒキガエルに酷似するが、本亜種では鼓膜は大きく、ニホンヒキガエルでは小さい。
以前はニホンヒキガエル・アズマヒキガエル・ミヤコヒキガエルの3亜種にされていたが、現在ではミヤコヒキガエルは別種とされているようである。
小笠原の父島・母島等に生息するオオヒキガエルはサイパンから移入された外来種である。
害虫駆除が目的であったが、あらゆる小動物を捕食して被害をもたらしている。
 
日本に生息するヒキガエルの仲間は以下の4種(1亜種)。
学名 和名 分布
Bufo japonicus japonicus ニホンヒキガエル 本州(鈴鹿山脈以西),四国,九州,壱岐,五島列島,屋久島,種子島
Bufo japonicus formosus アズマヒキガエル 本州(山陰地方・近畿地方以東),北海道(函館付近)
Bufo torrenticola ナガレヒキガエル 本州の山地(石川県・岐阜県・福井県・滋賀県・京都・三重県・和歌山県)
Bufo gargarizans miyakonis ミヤコヒキガエル 先島諸島(伊良部島・下地島),南・北大東島
Bufo marinus オオヒキガエル 小笠原諸島,南・北大東島,
北アメリカ(テキサス南部)〜南アメリカ(アルゼンチン)
 
 
参考文献
  • 日本の両生類・爬虫類
    • 小学館
PHOTO

赤茶色をしているが、焦げ茶色や黄土色など体色変異がある。
(2005.7.30)

正面から見た本種
(2005.7.30)

上から見た本種
多数のイボが確認できる。
♂は繁殖期には黄褐色になり皮膚のイボが消失する。
(2005.7.30)

頭部のアップ
目の後ろの円形に凹んで平らになっている部分が鼓膜。
アズマヒキガエルは鼓膜が原亜種よりも大きい。
鼓膜上部の白黒ラインの隆起したものが、毒が入っている耳腺である。
(2005.7.30)

獲物を待つ本種
じめっとした場所で獲物が通るのをじっと待つ。
(2005.8.10)

ミミズを見つけた本種
大好物のミミズを見つけ、構えている。
(2005.8.10)

ミミズを捕らえた本種
舌を伸ばし一瞬にしてミミズを捕らえた。
あまりの速さに舌を伸ばす瞬間は肉眼でもカメラでも捕らえることは困難である。
(2005.8.10)

ミミズを食べる本種
食べている時は両目を閉じる。
(2005.8.10)

ミミズを飲み込む本種
ほとんど丸呑みする。
目を閉じるのは大きい眼球を押し込むことで、ミミズを飲み込み易くする役目があるようである。
(2005.8.10)

食べた後の本種
食べた後はゲップでもするように何度も口を少し開ける。
(2005.8.10)

本種の卵塊
卵は長いひも状の寒天質の中にある。
(2005.3.11)
 
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