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フタトゲチマダニ
学名:Haemaphysalis longicornis

フタトゲチマダニ(2009.4.4)
Data
和名 フタトゲチマダニ
体長 吸血前:1.5〜3.0mm
吸血後:約20mm
分布 北海道,本州,四国,九州,対馬,屋久島
単為生殖系:屋久島以北において全国的に分布
有性生殖系:本州(西南部),四国,九州
出現期 4〜10月
哺乳類,鳥類の血液
 幼虫も同様。
解説 獣や鳥に吸血するマダニの一種。
よくペットとして飼われている犬に付く為、害虫として有名。人間にも寄生する場合がある為、注意が必要。
吸血前は扁平で小さいが、吸血すると腹部が膨れ上がり、暗色になり大型になる。
気門板は腹面の後脚の後方にあり、♀では半円形だが♂は縦長の長方形。
ササ類などに産卵し、春先にササ類の葉で宿主が通るのを待ち、触れた時に宿主に乗り移る。
本種の脚先に付いている淡色の細いものは爪間体と爪であり、爪間体には粘着性もあるようで、動物などが茂みに入ったりすると簡単に付着できるようになっている。
本種には単為生殖するものと、有性生殖をするものとがある。
近年、本種が感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を媒介して死者も出ていることで話題となっている。病名の通り、発熱や血小板、白血球が減少する危険な病気だが、今のところ有効な治療薬やワクチンが無いことが問題となっている。人に寄生することはあまり無いものの私自身、小学生の頃、頭を吸血されたことがあり、特大に膨張した本種に触れて初めて気付いたことがある。また、私の場合は自分では取れず母親に取ってもらったが、一度吸われると強力に付着していてなかなか取れないばかりか無理に取ると汚れた血液が逆流したり、皮膚内に顎の一部が刺さったままになり大変危険なので病院で取ってもらったほうがいいだろう。
和名の「フタトゲ」は実は本種に付けられた和名ではなく、南方系のマダニ(H.bispinosa)に付けられた和名で、その後学名を訂正後も和名だけはそのまま使われている。
 
本種の写真は、「日本ダニ類図鑑」の4ページに掲載されており、Googleブックでも見ることができる。
 
写真は4月4日に、山道を歩いた時に手の甲に付いた本種を採取して撮影したもの。発見時が、丁度ササが多くあった場所を歩いた直後で、手の甲に4匹も本種が付いており、脚にも1匹付いていた。すぐにササの葉にも探したが、見つからなかった。
ただ、手の甲などは本種にとっては硬いからかまったく吸おうとはしなかった。
この時は吸血後の姿も撮影したいのでわざと掌を這わせてみたがまったく興味を示す事はなかった。現在、前述の通り大変危険なウイルスを媒介している上、本ページ公開後何度も見かけており個体数も多い為、今後の山道などを歩く際には皮膚の露出を少なくするなど噛まれないよう細心の注意が必要である。
PHOTO

山道で手に付いた個体@
(2009.4.4)

山道で手に付いた個体A
(2009.4.4)

一円玉に登る本種
(2009.4.4)

ビーティングで得られた♀@
(2020.3.1)

ビーティングで得られた♀A
腹面。
(2020.3.1)
 
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