ホーム > 甲虫目 > クワガタムシ科 > クワガタムシ亜科 > サキシマヒラタクワガタ > サキシマヒラタ飼育記 | このページを印刷する |
サキシマヒラタクワガタ Dorcus titanus sakishimanus 産地:石垣島産 |
サキシマヒラタ♂61mm
ホームセンターで購入したものをブリードした個体
新成虫ペアをもらう | |||
2001年7月24日 友人H氏よりサキシマヒラタ1ペア(♂61mm・♀35.5mm)をコーカサスオオカブト♂の中型個体と交換してもらった。 ♂はまだ羽化して日が浅く、赤っぽくてあまり動かない。♀は活動していそれぞれ小型のミニコンテナ・プラケースに移した。♀は左アゴが半分欠けていて産卵が心配だ。 数日後、更に♀の右アゴも欠けてしまった。 |
|||
種親の♂61mm |
ブリード:種親♀35.5mm |
||
ペアリング |
ペアリング&産卵用ケース |
||
2002年5月25日 ブリードは諦めていましたが、試しに産卵出来るかブリードに挑戦する事に決め、産卵用ケースをセット、♂♀ともケースに入れた。産卵用ケースは中プラケースにアゴが欠けた♀でも材を削れるようにコナラ材の特に柔らかめのものを入れた。 |
|||
産卵 | |||
6月5日 ケース側面から材が削られた木屑を確認できた。産卵している可能性がある。 |
|||
材割り@ |
材割り時の1齢幼虫@ |
||
6月30日 材割りすることにした。 1齢幼虫5頭と卵2個が採れた。種親の♀のアゴが欠けていて産卵出来るか心配だったが、材が柔らかかったのが良かったようだ。うち1頭は孵化直後のようで頭部が柔らかく皺が寄っていたのでプリンカップで様子を見ることにした。 卵はプリンカップで孵化させることにした。 7月13日 コナラ材を入れた。堅い部分と柔らかい部分があるもの。 |
|||
材割り時の1齢幼虫A |
採取した卵と1齢幼虫 |
||
幼虫飼育 | |||
採った1齢幼虫はクヌギの小麦粉発酵マットで1Lガラスビンに1頭ずつセットした。 7月4日 頭部が柔らかく皺が寄っていてプリンカップで様子を見ていた幼虫が死んでいた。孵化直後の柔らかい状態で材割りしてしまったのが良くなかった様だ。 7月20日 プリンカップの卵が2個とも溶けていた。 産卵用ケースの材に削った跡が見られたので、また産卵しているみたいだ。 |
|||
マット交換 |
♀の3齢幼虫 |
||
9月1日 食いのよい2頭のマットを交換した。幼虫4頭のうち既に3頭は♀の卵巣が見えたので1頭は♂であってほしい。 しかし、まだ幼虫が採れそうなので、近いうちに割り出したい。 |
|||
材割りA |
アゴ欠けのひどい♀ |
||
9月15日 材割りをおこなうことにした。既に外からも幼虫の食痕が見えており、期待できる。 細めのコナラ材より2齢幼虫1頭、1齢幼虫7頭、卵3個採れた。細めの材にも関わらず、予想以上の成果だった。♀はアゴ欠けがひどい状態だったがまったく産卵に影響していない。 アゴ欠けの♀でも産卵出来るという良い例になったと思う。 採れた幼虫4頭はマット飼育、4頭は菌糸ビン飼育にしてみた。 |
|||
♀の蛹化 | |||
9月26日 ♀幼虫のほとんどが前蛹体になっていた。 9月29日 ♀が1頭蛹化していた。 10月1日 他の♀2頭も蛹化した。 |
|||
♀の羽化 | |||
10月19日 ♀が3匹羽化していた。2匹はまだ羽化したてでまだ前翅が黄色かった。 |
|||
新成虫♀の取り出し | |||
10月27日 羽化した♀3匹を取り出してみた。 ピカピカしていて綺麗な♀が出てきた。 体長は39.5mm・40mm・41mmだった。 うち40mmはマット交換無しだったので、♀は羽化が非常に早いのでマット交換するなら早めにしないとあまり意味がないようだ。4ヶ月足らずで羽化してしまう。 |
|||
新成虫の♀41mmA |
|||
菌糸ビンの♀、蛹化 | |||
12月22日 9月15日に菌糸ビンにセットした幼虫4頭を見ると1頭は♀の蛹になっていて、前蛹も1頭いた。 マット飼育のものと比べても特に大きくないようだ。成長スピードも大差ない。 マット飼育、菌糸ビン共にまだ♂は蛹化しない。 |
|||
種親♂死亡 | |||
12月23日 種親の♂61mmが死んでいた。寿命なのだろうか? |
|||
アクシデント | |||
12月29日 菌糸ビンで蛹化した♀の蛹室内でキノコが発生した。このままでは羽化不全は間違いないので、人工蛹室に移すことにした。 菌糸ビン飼育ではこのような危険があるので、たびたびチェックする必要があるようだ。 2003年1月3日 また、菌糸ビンで蛹化した♀の蛹室内でキノコが発生して、蛹室内に充満してしまった。皮肉なことに蛹室以外、キノコは生えていない。 今度は、マット飼育で取り出したサキシマヒラタの♀の蛹室が綺麗に取れたので、それで代用することにした。 |
|||
蛹室内に発生したキノコ |
人工蛹室に移した♀の蛹 |
||
♂の蛹化 |
大型♂の蛹@ |
||
1月3日 マット飼育の2頭の♂幼虫がようやく蛹室を造った。 1月13日 マット飼育の2頭の♂幼虫が蛹化した。 1頭は結構大きめで70mm行くか行かないかくらいの大きさのようだ。 休日にも取り出してみたい。 1月18日 大きめの蛹を取り出してみた。蛹室上部だけ壊したので、元の蛹室に戻し、羽化させることにした。 |
|||
♂羽化 | |||
2月2日 ♂2頭が羽化した。♀と3ヶ月以上の誤差が出た。 3月2日 羽化した新成虫の♂を取り出してみた。 体長は68mmと61mmだった。惜しくも70mmにはならなかった。2Lビンで飼育していたら70mmオーバーが出せていたと思う。 安いとはいえサキシマヒラタはカッコいい。スジブトヒラタの次に好きなヒラタだ。 |
|||
菌糸ビンからマット飼育へ変更 | |||
3月2日 菌糸ビンの♂幼虫1頭は菌糸を食いつくしマットが真っ黒になっていたので、マット飼育に切り替えた。 ♀は3頭目が昨日羽化していた。 結局、菌糸ビン飼育の4頭は♂1頭・♀3頭となってしまった。 |
|||
3匹目以降の羽化 | 新成虫の♂69mm 菌糸ビンからマット飼育に切り替えそのまま羽化させた♂。 半年程菌糸ビンに入れたままで相当劣化した状態が続いたが、大型を羽化させることができた。 次回は70mmUPに挑戦してみたい。 (2003.4.26) |
||
4月5日 マット飼育のみの♂が羽化した。 4月6日 菌糸ビンからマット飼育に切り替えた♂が羽化した。結構大きい。 4月20日 羽化した♂2匹を取り出してみた。58.5mmと69mmだった。69mmの♂は9月15日に菌糸ビンにいれたまま半年そのままにしておいたもので、3月2日にマット飼育に切り替えた後、3月14日に蛹化したものである。菌糸の劣化がひどかった為マットに入れたら相当急いで蛹化したようだ。しかし、それでも69mmも出るとは思わなかった。 |
|||
新成虫のペアリング〜産卵 | |||
4月13日 そろそろ産卵に適した時期になってきたので、ペアリングをすることにした。 まず中プラケースに産卵用ケースをセット、コナラ材1本とカブトに使用したマットを入れた。 ♂68mmだけ1匹入れて落ち着かせることにした。 (ヒラタの仲間は非常に気が荒いので、1ペア同時に入れると環境の変化で♂が興奮状態になり♀を殺してしまうことが多いので、まず♂だけ入れ落ち着かせると上手くいく場合が多い) 4月19日 ♂が落ち着いたところで、去年10月18日に羽化した♀41mmを入れた。 4月21日 ♀が材をかなり齧っていた。早くも産卵を始めたようだ。♂を取り除いた。 |
|||
その後の飼育 | |||
新成虫は販売もして、♂2匹と♀3匹で繁殖させた結果、産卵セット後、♀3匹ともどんどん産卵して合計100頭以上の幼虫が採れてしまった。マットにもたくさん産卵して飼育当初材産みと思っていたが、マットにも産むことが分かった。 こちらも10数頭を残し販売、今度は70mmUPを羽化させたい。 |
|||
飼育状況 | |||
9月21日 7月19日に飼育開始した幼虫が大きくなっているのでマット交換したところ、24gもあった。 まだまだ大きくなりそうだがクワガタの場合、素質以上に巨大な幼虫になった場合、蛹化不全・羽化不全、幼虫時に死亡することも多いので注意が必要である。 ※うちの巨大化したコクワ幼虫もマット交換後、死亡したことがある。 6月に飼育開始した♀幼虫はもう蛹室を造り始めている。 |
|||
24gの♂幼虫 |
♂幼虫の頭部 |
||
2004年1月2日 そろそろ2度目のマット交換をすることにした。 前回24gと大きかった幼虫は27gになっていた。 しかし、他の30gの特大幼虫も出てきた。サキシマヒラタで30gというのは相当なサイズだと思う。 30gの特大幼虫はより大型化を目指し、中プラケースで飼育することにした。 他、27gと26gの幼虫は2Lガラスビンにて飼育することにした。 |
|||
蛹化〜羽化 | |||
2月27日 体重が24gあった2Lガラスビンで飼育している♂が蛹化した。 2月28日 今度は体重が26gあった2Lガラスビンで飼育している♂が蛹化した。 3月20日 ♂が羽化した。かなり大きそうだ。 3月23日 2頭目に蛹化した♂も羽化した。 中プラケースで飼育している30gの♂は蛹になっていた。 5月8日 中プラケースの♂も羽化した。 |
|||
新成虫取り出し | |||
最初に羽化した♂を取り出してみた。 60mm後半だと思っていたのだが、測ってみると71mmもあった。 マット飼育で念願の70mmオーバーが出て非常にうれしい。 4月10日 2匹目の♂も取り出してみた。 今度は1mm大きい72mmであった。 中プラケースでは70mm後半が出て欲しいものだ。 比較的涼しい温室の一番下に置いて飼育していたが、やはり低温でじっくりという環境はそれでも難しかったと思う。 他に飼育していた幼虫達はほとんど♀で7匹も羽化した。 廃材から出てきた不明幼虫も飼育していたのだが、1匹はサキシマの♂だったが、コーヒービンで飼育していたため、55mmという小型個体になって羽化した。 5月22日 一番期待していた中プラケースの♂を取り出してみた。 測ってみると74mmだった。 2Lビンでも72mmが出ているので、あまり飼育容器のサイズを大きくしてもあまり効果はないようである。 マットもほとんど新しいままといった感じだった。 しかし、マット飼育でも目標でもあった70mmオーバーが出せて満足した。 |
|||
新成虫の♂74mm@ マット飼育で70mmオーバーが出たのは今回が初めてである。 (2004.5.22) |
新成虫の♂74mmA (2004.5.22) |
||
まとめ | |||
サキシマヒラタの累代飼育は予想していたよりもはるかに容易であった。 ♀殺しもまったくなかったし、成虫にエサやりするだけでもいつの間にかマット内で成虫にまでなっているほどだった。 「虫navi」により昆虫撮影に専念するようになり、2005年は繁殖させずにこの代で累代を終了した。 国産ヒラタの中で最も簡単な種とは言っても、本種は大型になるし、大アゴの形もカッコいい。とても気に入っているヒラタである。 2006年に西表島で本種の♀を2匹採集することができ、自己採集で更にあまり出回っていない西表島産のサキシマヒラタを累代飼育することにしました。 ※西表島産サキシマヒラタ飼育記をご覧下さい。 |