ホーム > 甲虫目 > コガネムシ科 > カブトムシ亜科 > ヘラクレス・リッキー > ヘラクレス・リッキー飼育記 このページを印刷する
 
ヘラクレスリッキー飼育記
Dynastes hercules lichyi
産地:コロンビア
 
〜繁殖編〜
 
 
ヘラクレス・ヘラクレスに比べ入手し易く、更に飼育下で大型になりやすい亜種リッキー。
スタイル的には原名亜種には及ばないが、やはりデカいヘラクレスは魅力である。
多数の幼虫を得ることと、150mm以上の大型個体作出を目標に、挑戦することにしました。
 

コロンビア産ヘラクレス・リッキー♂108mm





♀2匹到着

コロンビア・サンタンデール産・F1:♀68mm
とても大型で、頭部中央に三角形をした小さな突起があるのが、印象的だった。
(2002.10.5)

2002年10月5日
 HP「色虫○実計画」にかなり安価で♀を売っているのを発見。2匹購入した。
まだ後食未の為、まず成熟を待つことにした。

コロンビア・サンタンデール産・F1:♀69mm@
前胸背板の体毛に発送時のオガクズが付いているので、少しシロっぽくなっている。
(2002.10.5)

 

コロンビア・サンタンデール産・F1:♀69mmA
(2003.10.5)

小型♂購入

コロンビア産・F1:♂108mm
(2002.10.11)

10月11日
 HP「カ○ランド」でかなり安価で小型♂を売っているのを発見。種親用に購入した。
到着後、寒さの為が動かなくて心配したが、しばらく経過すると動き始めた。
あくまで種親なので、大きさは小さくても構わないのだ。
♂死亡
10月25日
 購入後、エサ場からまったく移動せず食べていたので、安心していたが、衰弱していてケースにもたれかかっている♂を発見した。
エサ切れもしておらず、温度も約27度で飼育上の問題点が見つからないので、やはり輸送時の寒さにやられた可能性が高い。
10月26日
とうとう♂が死んでしまった。ガックリ。

♀69mm活動開始
10月31日
♀がマット上に出て活動していた。
9月5日羽化した個体なので、羽化後、2ヶ月で活動するようである。
11月1日
歩き回っていた♀がゼリーを食べるようになった。

♀68mm活動開始
11月10日
もうの1匹の♀もマット上に出て活動していた。
9月15日羽化した個体で、見事に♀69mmと10日違いで活動を開始。
11月1日
歩き回っていた♀がゼリーを食べるようになった。

追加ペア購入
11月12日
 ♂が死んでしまい、♀が活動を開始してしまい、代わりの♂を探し回ったが♂単品のものがなかなか見つからない。
と思ったら弥○カブ○・クワガ○ワールドで羽化時期の同じ小型♂が売られていたのでお得なペアで購入。
今度の♂は86mmと更に小型だが大変元気で興奮してシュッシュッと音を鳴らしている。
♀は61mmで羽化が8月中旬なので即ブリードが可能なようだ。

コロンビア産F1:♂86mm
飼育ケースに出して20分程の為、湿度の為にまだ黒いシミが見えるが更に経過すると綺麗なヤマブキ色になる。
(2002.11.12)

 

コロンビア産F1:♂61mm
小型だが、非常に元気がよい。
(2002.11.12)

成虫の飼育
11月15日
1匹ずつ中プラケースで飼育している。エサは普通のゼリーを与えているが、産卵によいかとバナナをゼリー用カップに詰めて与えてみた。
やはり好物のようでゼリーよりバナナを食べていた。

ペアリング

リッキーの交尾(♂86mm・♀61mm)
合体後、静止状態になり、一時間以上続いた。
(2002.11.25)

11月23日
♀61mmは後食開始後、既に1ヶ月過ぎているので、交尾させることにした。
ゼリーを食べている♀にそっと♂を乗せてやったが、♂は興奮ぎみで♀を挟もうとしかしないので見送った。
11月24日
2度目の交尾に挑戦してみたが、また結果は同じだった。
♂はマット中に潜り胸角でケース側面をゴリゴリ削っている。
非常に好戦的でこんなヘラクレスは初めてだ。
11月25日
 今日は勤労感謝の日の代休である。
♂は今度は保湿板にへばり付いて逆さ状態で歩き回っている!。
もう一度交尾に挑戦することにした。
よーく♀の匂いを嗅がせたらようやく認識してくれて交尾をおこなった。
最初の5分間は交尾器がうまく入らずバリバリいっていたが、ようやく合体でき、静止状態となった。
1時間以上経過してようやく交尾が終了した。

産卵用ケースセット

産卵用ケース
今回、初めて特大プラケースで挑戦。
(2002.11.25)

 交尾が終了した♀を産卵させる為、産卵用ケースをセットすることにした。
たくさん卵を産んでもらう為、初めて特大プラケースを使用することにした。
マットはクワガタ幼虫に使用したクヌギマットにカブト専用マットを少し混ぜ、ケース下部5cm固く詰めた。後は採ってきたコナラ・カシ主体の腐葉土と同様の使用済みマットとカブト専用マットを6:3:1の割合でブレンドしたマットをケース7分目まで入れて、マット上にカラカラの落ち葉を敷いた。
かなり安価なマットだが良質なのでたくさん産んで欲しいものである。
産卵
11月26日
産卵用ケース底面を見てみたら、ペアリング後、1日にしてなんと、卵が一つ見えた!
通常、カブトはケース側面や底面からは卵が見えることは稀なので、多産している可能性が高い。
特大プラケ−スを使っただけのことはあった。

♀68mmとの交尾
11月30日
♀68mmが後食を開始してからちょうど1ヶ月になるので交尾させることにした。
♀68mmの上に♂を置いたがなかなか交尾しない。10分ほどしてようやく交尾をおこなった。
30分以上して再び見ると既に交尾が終わっていて♀はマットに潜っていた。
夜なので産卵用のセットは明日にすることにした。
12月1日
♀68mmも前回同様特大プラケースにセットした。

♀61mmの産卵用ケース交換
12月8日
11月25日から産卵を続け、8分目まであったマットが5分目まで縮んでしまっていた。
卵を多く採る為に同じセットを作り、♀61mmを移動させた。
卵のあるケースはそのままにしておくことにした。卵は早く採卵すると孵化率が悪くなってしまうからである。

♀69mmとの交尾
12月21日
最後の♀69mmも後食から1ヶ月以上経っているので交尾させた。
最初は♀が非常に嫌がったがなんとか交尾成立、約30分で終了した。
♀69mmも前回同様特大プラケースにセットした。

孵化
12月26日
♀61mmのケース下部に見える卵が孵化した。もう1個卵が見えるがもうすぐ孵化しそうだ。
日曜日にでも採取しようと思う。
12月27日
もう1個の卵も孵化したようだが一部しか見えない。

♀61mmの2度目の交尾
12月27日
11月25日に交尾させてから1ヶ月以上たつので、再度交尾させることにした。
特大プラケースの蓋を開けるとゼリーを食べていた♀が逃げてマットに潜ろうとしてしまったので、すぐに♂を乗せてみた。すぐに合体したが、♀はそのまま潜ってしまいそうだったのでマット上に置いておくと横になった状態で交尾をおこない、静止状態になった。
約1時間で交尾が終了、♂を元のケースに戻す。
♀61mmの産卵用ケースは2個目のものだが、またケース底部に大きい卵が2個確認できた。
余談ではあるが、台湾の方からも幼虫30頭も予約が来てしまった。

幼虫取り出し

1齢幼虫
卵、1齢幼虫ともに8個・8頭得ることができた。
(2002.12.29)

12月29日
 11月25日にセットして12月8日に♀61mmを取り出した特大プラケースから幼虫を取り出すことにした。
マットの下半分は♀によって固められていた。慎重にスプーンで掘り出したところ、卵8個と1齢幼虫8頭を採取できた。2週間の間に最低16個産卵したことになり、多いほうだと思う。
 採取した卵もすべて大きく膨らんでおり、中の幼虫が透けて見えた。
マットはそれほど劣化していなかったので、縮んだ分、新しいマットを追加して、3つ目のケースとして♀61mmを2つ目のケースから移した。
2つの特大プラケースを交互に使うと効率的で、多くの卵を得られると思う。

リッキーの卵@
写真では確認しづらいが、幼虫が透けてはっきり見える。
小型の♀が産んだが非常に大きな卵だった。
(2002.12.29)

 

リッキーの卵A
孵化寸前でかなり大きく膨張している!
(2002.12.29)

リッキーの1齢幼虫
1齢初期だが、結構大きい。
(2002.12.29)

 

リッキーの1齢幼虫のアップ
(2002.12.29)

人工孵化
12月29日
採取した卵は孵化寸前のようだが、プリンカップ大に産卵に使った同様のマットで人工孵化させることにした。
(詳しい方法はコーカサスオオカブトの飼育マニュアルを参照してください)
夜、さっそく1頭が孵化した。すべて孵化するまで、置いておくことにした。
12月30日
1頭孵化。
12月31日
3頭孵化。
2003年1月1日

1頭孵化。卵は残り2個。
1月2日
1頭孵化。卵は残り1個。
1月3日
最後の1頭孵化。やはり孵化率は100%だった。
さすがに成長した卵だと孵化率は高い。
しばらく、マットを食べるようになってから取り出すことにした。

プリンカップ大にセットした卵
(2002.12.29)


 

続々孵化する幼虫達!
(2003.1.2)

幼虫飼育

1齢幼虫を入れた2Lブロー容器
2Lブロー容器で単独飼育して大型化を狙う。
(2002.12.29)

12月29日
採取した幼虫は自分用として5頭、2Lブロー容器に1頭ずつセットした。
マットは、下部に市販のカブト専用マット、上部に採ってきた腐葉土主体でクヌギマット、カブトマットを混ぜたものを使用した。大型になりやすい亜種だけに、160mmオーバーの個体を作出したいものである。
大型化にドッグフードが有効と言われているが、コーカサスオオカブトにも試してみたが食べる前に泥状に腐り、ダニ、線虫などが発生して非常によくなかったので、天然の腐葉土主体のマットで大型を目指すことにした。ムカデなどの雑虫はいるが、菌糸が強力に発生して劣化もしにくく、良い状態を保ってくれるので、期待できると思う。
飼育温度は冬場はエアコンで25℃前後に保っている。
残りの幼虫は交換・販売用に500mLブロー容器にストックしておいた。ムカデやダンゴムシの出る腐葉土は販売には適さないこともあって、カブトマットとクワガタ幼虫飼育に使ったマットを混ぜたものを使用した。

♀68mmの採卵

卵と1齢幼虫
産卵期間28日で卵32個と1齢幼虫2頭が得られた。
孵化寸前のものから産んでまだ日か浅いものまでさまざまな状態の卵がみられた。
(2003.1.4)

2003年1月4日
12月1日にセットして12月29日に♀68mmを取り出した特大プラケースの採卵をすることにした。
マット下部のみに卵32個と1齢幼虫2頭が採れた。
マットは荒めで強く握っても簡単に崩れてしまうものなので、産んでいるのか大変心配していたが、想像以上の成果で大満足!
卵は孵化寸前のものからまだ真っ白で細長い産んで日が浅いものまでさまざまな状態のものがみられた。
果たして孵化率がどうなるか興味深い!
採った卵はプリンカップ大2個に14個ずつ、孵化寸前の4個は中にセットした。1齢幼虫2頭は前回同様2Lブロー容器にセットした。
♀68mmは既に2ケース目で産卵中なのでそのままにしておいた。
夜、早速2頭孵化した。
1月6日
更に4頭孵化。卵はすべて大きくなっている。
これ以上は孵化数の確認は面倒なので、数えるのはやめておく。
1月25日
結局、卵32個のうち29頭孵化した。本当は30頭孵化したのだが、1頭は卵の皮を脱ぎきらず死亡した。

♀68mm2度目の交尾
1月4日
 夜、♀がマット上で活発に歩いていたので2度目の交尾に挑戦した。
オオカブトの交尾は♀がゼリーを食べているところへ♂を乗せてやるのがよいのだが、ケースを棚から下ろしてフタを開ければ潜ってしまうことが多い。特にこだわる必要もないだろう。
歩いている♀の上に♂を乗せてやるとしばらくして♂が反応、交尾しようとした。
♀は交尾を拒否して合体はしたのだが♂を払いのけようとばかりしてこればダメかなと思っていたが10分くらいしてやっと静止状態になった。
ここから延々3時間以上も交尾が続き、やっと終了。2度目の交尾も大成功!更なる産卵に期待する。

コメツキムシの幼虫

コメツキの幼虫
ツルツルした平面でも実に速く前進する。
肉食なので厄介な雑虫。
(2003.1.18)

1月18日
 ♀68mmを新しい産卵用ケースに移そうとしたところ、皿木の下にコメツキの幼虫を発見した。
奈良オオのカタログによると間違いなくコメツキである。
(特徴のある腹部も確認)
しかし、成虫よりもはるかにデカいのだが?
しかも、肉食との事!これぐらいに成長していると多くの幼虫が犠牲になっているそうで、やばいかも?
発生元は間違いなく天然腐葉土であるが、他にも雑虫が多く出るが特にムカデが多いが今までのところ幼虫飼育では死亡率はゼロである。
♀68mmの2ケース目の採卵数に影響が出てしまうか心配だ。
♀61mmの2度目の採卵もおこなったが乾燥が進んでいるのと固めにくいマットだったのとで卵4個、1齢幼虫5頭しか得られなかった。新しいケースでは黒土を混ぜ、固めやすいようにセットするようにした。

♀60mm入手

コロンビア産・F1の♀60mm
8月羽化だが未使用なので産卵が期待できる。
(2002.1.27)

1月27日
以前、リッキー幼虫の予約があった高校生のBobさんがなんとリッキー♀が1匹だけで余っているので譲ってくれるとの事!しかもコロンビア産・F1!!
むし社で幼虫を購入したが♀が去年の8月に羽化して♂はまだ幼虫だとか。
願ってもないことなので、幼虫6頭と交換、送料サービスさせてもらいました。
そうして、今日届いたのだが非常に元気ですぐにゼリーにかぶり付いたので、♂を乗せてみたが♂は反応しなかったので交尾は後日あらためておこなうことにした。
とりあえず中プラケースで飼育した。

♀60mmの交尾
1月28日
 昨日、♂が反応せず、交尾できなかったので、再度試してみようと♂をみたところ前足のフセツが両方とも無い!
これでは、かなり交尾はしづらいだろう。しかし、この日も♂が反応しなかった。
2月4日
 あれから何度か交尾に挑戦したのだが♂は既に体力消耗したのかまったく反応しなくて交尾をしなかった。だが、今日は♂がケース内で元気に歩き回っていたので、マット中に潜っている♀を掘り出して♂を乗せてみた。
やはり♂は匂いを嗅ぐだけでなかなか交尾しようとしなかった。しばらくほっといてみたら、バリバリと音が聞こえたので見てみると♂が交尾器を出して交尾しようとしている!
 しかし、前足のフセツが無いので♀にしがみ付けず滑ってしまう。♂・♀を手で支えてやり、なんとか合体成功!
静止状態となる。そのままの状態で10分は我慢したのだがこのままの姿勢で1時間も耐えられないので、慎重に手からペアを外した。合体後は崩れることなくそのまま交尾続行し、30分程で終了した。
♂はこれで交尾6回目なのでだいぶ体力を消耗したことだろう。小型だが充分役目を果たしてくれた。
前足フセツ欠けの♂でもハンドペアリングで交尾が可能であることが分かった。
用意しておいたいつもの特大プラケースに♀60mmをセットした。
これで、♀4匹セットしたので、何頭幼虫が採れるか楽しみである。

結果
 結果、4匹の♀から155頭の幼虫が得られた。♀によって相当産卵数にバラつきがでた。種親の♂1匹に何回も交尾させたことが原因なのだろうか?
飼育記が長くなったので、幼虫飼育編に分けましたので、ご覧下さい。

 


ホームへ   戻る   幼虫飼育編へ