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ベリコサツヤクワガタ飼育記
Odontolabis bellicosa
 
産地:ジャワ アルゴプーロ
 
去年までクワガタからはだいぶ離れてしまっていたのですが、2006年になり、突如として再びクワ熱が再燃してしまいました。
ツヤクワ飼育、初挑戦だったリュートネルツヤクワガタではまったく産卵せずに完全に失敗してしまったが、ツヤクワ飼育第2弾として、飼育が簡単というベリコサツヤクワガタを選んでみた。
もっとも、選んだ理由は、クワ本で本種を見て、マルバネクワガタみたいでカッコよく、いつか飼育してみたいと思っていた種類なのです。
 

ベリコサツヤクワガタ♂77mm
 

 
購入 ベリコサツヤクワガタ♂77mm
(2006.2.4)
2006年2月4日
 奈良○○クワセンターより、オークションで落札したベリコサツヤクワガタ3ペアが到着した。
寒さで元気がなく、残念なことに、♀が1匹完全に死んでいた。
しかし、他の♂3匹と♀2匹は大丈夫なようであった。
体長は♂で77mm,76mm,73mm,♀は49mm,44mmであった。
死着があったとはいえ、プリンカップに記載されていた1ペアの値段の3分の1の価格で3ペアも購入できてその上、おつりが来るし、そのおつりで送料分もあるのだから、よしとしよう。

産卵用ケースにセット
 安すぎクワであったが、好きであることと、値段は関係ない。早速産卵用ケースをセットすることにした。
リュートネルツヤで殺し合いは体験してるので、♀が2匹いても単独で産卵させるべきであろう。
大型の♀49mmは特大プラケースへ、♀44mmは大プラケースにセットすることにした。
セットは発酵が進んだカブト用完熟マットをフルイに掛けて微粒子にしたものを、使用した。ケース下部は固めに、ケースの7分目ほどやや軽く入れた。マット上部にはクワガタ用のマットも少し混ぜた。
材には産卵しないが、産卵のきっかけになればと、クワガタの産卵用には使えない柔らかすぎるやや大きめのコナラ材を1本マットに半分ほど埋めてみた。これは現地では朽ちた倒木の下でこの種の幼虫が見つかっているからである。
転倒防止に、さきほどローゼンベルギーオウゴンオニクワガタで使用した霊芝材の皮を入れた。これで少しでも産卵の促進になってくれるかもしれない。
大プラケースについてもまったく同じセットにした。
 
ケースの大きさが違うことで、産卵に影響が出るかも含めて観察していきたい。
ベリコサツヤクワガタ♀49mm
大型の♀。前胸背板の縁に見られる尖った突起がツヤクワらしい。
(2006.2.4)
産卵用ケース
材は掴むだけで崩れるほど柔らかいものを埋めた。
(2006.2.4)
2月10日
 産卵しているのか気になり、大プラケースのマットを少し掘ってみた。しかし、卵がまったく見つからない。
特大プラケースのマットも少し掘ってみたが、同様に卵が発見できない。
♀はどちらも元気だったが、このセットでは気に入らないのだろうか?
少し加水し、湿気を多めにした。
 
産卵 ベリコサツヤクワガタの卵
直径2mmほどしかない小さい卵であった。
(2006.2.15)
2月15日
 もう一度、卵がないか確認してみることにした。
2ケースとも、♀はマット上で活発に歩き回っている。
特大プラケースの材の下辺りを掘ってみると、なんと小さくまん丸い乳白色の卵がひとつ出てきた。卵は直径2mmほどしかなく、カブトが産むような卵を想像していたため、思ったよりも小さく、見つけにくかっただけで、2月10日の時点でも産卵していた可能性はある。
早速、写真を撮り、採った卵をプリンカップに産卵用マットと共に入れた。休日にも新しいマットでセットしなおしたい。
掘った箇所を埋め戻しているとまた1個卵が出てきた。これも同じカップ内に入れた。やはり簡単な部類に入る種類なので、当然の結果なのかもしれないが、初のツヤクワ産卵に感激した。
昨日はアマミシカの産卵行動に、今日はテレビ東京の特番での「虫navi」写真の放送決定に本種の採卵とうれしいこと続きだが、やはり飼育の熱意が成功の最大の要因になることは間違いない。去年までの管理人ならここまでの細かい観察はできなかったであろう。というよりもクワに冷めていた去年はクワガタを1匹も購入していないのである。
もしかしたら、2月10日までは産んでいなくて、湿気を多めにしたから産卵を始めたという可能性もあり、どちらにしても湿気は多めがいいことには間違いない。見たところ、♀は歩き回っており、産卵に専念しているようには見えないので、ちょくちょく潜っては産む行動を繰り返しているようである。
 
エアコン故障
2月16日
 エアコンが故障してしまったらしく、朝、なぜか寒くて温度計を見てみると18℃になっている。
電源を入れなおしたが、やはり作動していない。購入して6年になるが、遂に壊れてしまったようだ。
こんな時に限って残念なことである。応急処置として、出社中は時々ストーブを炊いててもらった。ただ、空気が汚れるので、夜は使わないでおくことにした。
卵を確認した翌日に壊れてしまうとは、なんともタイミングが悪い。
 
2月17日
 エアコンはまったく作動しないので、本種や他の産卵ケースを部屋に移動し、その部屋のエアコンで管理することにした。
 
エアコンの買換え
2月18日
 朝、起きるとすさまじいほどに寒い。エアコンを修理に来てもらったのだが、結局重症ということで8万円くらいは掛かるので、買い換えたほうがいいですよと言われてしまい、新しいエアコンを購入するハメになってしまった。
ちなみに故障したエアコンは2000年5月に購入したビーバーエアコン(SRK22BSV-W)で10万円くらいしたと思ったが、6年間フル稼働していたので、仕方がないのだろう。
 
兎に角(とにかく)、急を要するので、ヤマダ電機でエアコンを探したが、ビーバーエアコンは一台もなく、三菱の霧ヶ峰と日立の白くま君などがあったので、三菱の霧ヶ峰のカタログの中で6畳間用で一番良い機種、霧ヶ峰ムーブアイ(MSZ-ZW22T)を選んだ。
赤外線センサーで部屋の隅々までムラなく一定の温度を保ってくれるらしい。
工事込みで、15万くらいしたが、また6年後に故障・買い替えになるのが心配なので、ヤマダ電機の長期保証に入会した。これで9年間故障しても無料で修理してもらえる。年会費は払わないといけないが、それと同等の割引券がもらえるので、かなりお得なのであった。2月23日(木)に取り付け予定である。

 
2月23日
 出勤している間にエアコンの取り付けが完了した。
エアコンの取り付けは、しょっぱなから室外機が動かず、代わりのものを取り寄せるのに更に1週間掛かると言われたのだが、父が強く言ってくれて今日中に交換することができた。
エアコンを23.5℃に設定して付けてみると、あっという間に部屋が暖まり、退避させてあったケースを自分の部屋に戻した。
 
卵の確認
3月4日
 順調に産卵しているのか確認してみることにした。
♀は皿木の下に隠れており、とても元気な状態であった。
材周辺のマットをほじくってみるとすぐに卵が数個出てきて、ほじったときに1個潰してしまったので、これ以上いじらずに埋め戻した。マットの表面をほじくっただけですぐに卵が確認できたことから、相当数産んでいると思われる。
無精卵でなければ相当数の幼虫が得られることになるだろう。楽しみである。
大プラケースは掘らなかったが、材に削られた跡が見られた。
2/15に採卵した2個も1個は順調にやや大きくなったように思え、後から追加した1個は丁寧にセットしなかったので、マットに隠れた状態になっており、確認できなかった。
 
♀49mm死亡
3月8日
 特大プラケースで産卵していた♀49mmが死んでいた。ゼリーはたくさん残っているので、産卵で体力を使い果たしたようだ。
大プラケースで産卵させている♀44mmはまだ生きているが、あまり産んでいるようには見受けられない。
 
孵化
3月11日
 プリンカップにセットしていた卵のうち、マットに隠れていた卵のほうが孵化し、側面から真っ白な幼虫を見ることができた。
 
幼虫採取
3月26日
 そろそろほとんど孵化したころだろうと思い、特大プラケースの幼虫採取をすることにした。
皿木をどかしただけで、下から1齢幼虫を見ることができた。
朽木を食べるためかマットの浅い位置に幼虫が多数見られ、1齢幼虫を49頭(内1頭は潰れた)も採取することができた。孵化間近と思われる卵も5個採った。
多数の幼虫飼育は途中で管理不手際になることを予想し、10頭のみ飼育することにした。
使用するマットは産卵に使用したものを入れるとよいと思ったが、コバエが発生したため、新しいマットを使用した。
ケースは中プラケース2個を使用し、5頭ずつ一緒に飼育して、1ケースはカブトの産卵に適した焦げ茶色の完熟マット、もう1ケースは完熟マットとアンテ等に適したクワガタ用のマットを2:1の割合でブレンドしたものを使用し、成長の具合を見て、どちらが適しているか実験してみることにした。
ベリコサツヤクワガタの1齢幼虫
大型の♀。前胸背板の縁に見られる尖った突起がツヤクワらしい。
(2006.3.26)
孵化後、日が浅い1齢幼虫
(2006.3.26)
ベリコサツヤクワガタの卵と1齢幼虫
(2006.3.26)
ベリコサツヤクワガタの卵
卵は大きめで黄色っぽくなっており、孵化が近いことが分かる。
(2006.3.26)
種親の死亡
7月17日
 ♂の寿命が予想以上に長く、先週まで元気にしていたが、エサ切れを放置してしまったためか死んでしまった。
本種は1年近く或いは1年以上生きるようである。
3齢幼虫
7月22日
 幼虫達は皆3齢幼虫に成長して、マットも真っ黒になっていたので、マット交換をすることにした。
2つの中プラケースで飼育していた幼虫を取り出してみると、過密だったためか1頭ずついなくなっており、2ケースとも4頭になっていた。
幼虫の頭部はツヤクワ特有の丸っこい形をしており、各節のでっぱりが大きい特徴的な幼虫だった。
2ケースのマットはそれぞれマットを変えていたので、成長の差を確認してみると、最大個体は完熟マットでは25g、完熟マットとアンテ用完熟マットをブレンドしたほうは22gとやや完熟マットだけで飼育していたほうがよかったみたいだが、平均してみると20g前後でほとんど差がなかった。
幼虫が大きくなったため、中プラケースではかなり過密だったので、大プラケースで4頭飼育にすることにした。
マット交換はマットの急激な変化によるショックを避けるため、今まで使っていたマットに新しいマットを加えるようにしてみた。
追加する新しいマットは、完熟マットのケースはまったく同じマットを追加し、ブレンドマットのほうは、マットの違いを明確にするため、完熟マットとアンテ用完熟マットの比率を1:2とアンテ用マットの比率を上げてみた。
更に片付けていなかった産卵用マットにも大きく成長した3齢幼虫が2頭成長していたので、アンテ用マットを追加しておいた。
ベリコサツヤクワガタの3齢幼虫(22g)
筋肉質でボコボコした体表をしている。
(2006.7.22)
ベリコサツヤクワガタの3齢幼虫の頭部
ツヤクワ特有の丸っこい形をしていた。
(2006.7.22)
蛹化 ベリコサツヤクワガタの土繭内の♀蛹@
土繭が厚く頑丈だった。
(2006.12.22)
12月22日
 幼虫のマットは湿気が多いため、劣化が早く泥上に劣化しまっているので、新しいマットを混ぜようとして幼虫を探していると大きなマットの塊が見つかった。すぐに土繭と分かり、少しずつ削っていくと中から蛹化中に死んでしまった♀の死骸が出てきてしまった。
もう一つ土繭を見つけ、少し崩してみると今度は元気な♀の蛹を見ることができた。
KUAWATAによると前蛹の状態で土繭を崩してしまうとほぼ100%死亡してしまうそうなので、蛹であっても死亡率が上がる可能性が非常に高いため、これ以上は弄らずにそっとしておくことにした。
ベリコサツヤクワガタの土繭内の♀蛹A
土繭が厚く頑丈だった。土繭を崩してしまったので羽化できるのか心配。
(2006.12.22)
蛹化できなかったベリコサツヤクワガタの♀
マットの劣化のため、栄養が足りなかったのか蛹化できなかったようで、残念。
(2006.12.22)
2007年1月15日
 土繭を少し開けた♀の蛹が色付き、羽化直前の状態となっていた。この分だと羽化に成功しそう。
♂にも期待したいが湿度の高いマットの劣化は非常に早いので無事に蛹化できているのか或いはこれから蛹化できるのか心配なところ。

羽化直前のベリコサツヤクワガタの♀の蛹
成虫が透けて見えるようになってきた。
(2007.1.15)
♀の羽化
1月17日
 夜の0時、♀が羽化していた。見たところ前翅も綺麗に伸びており、完品で羽化してくれそう。体長も標準的なサイズのようだ。
朝は前翅がオレンジ色で後翅を広げて乾かしていたところだった。
夜、会社から帰宅すると既に後翅は折りたたまれて前翅は真っ赤に色付いていた。
ベリコサツヤクワガタ♀の羽化@
土繭を半分暴いた状態で問題なく羽化させることができた。
(2006.1.17)
ベリコサツヤクワガタ♀の羽化A
左の写真から20時間後。
(2006.1.17)
湿度過多による死亡
3月10日
 そろそろ幼虫飼育ケースを開けてみることにした。
結果は残念ながら成虫や蛹化できなかった幼虫の死骸が多く、生きていた新成虫は♀47mm・42mmの2匹のみであった。
死んでいた成虫をよく見ると、尻部が白くカビている。どうやら羽化まで成功したものも、マットの湿度過多により、カビに寄生されて死んでしまったらしい。♂の体長は72mmあった。
 
今回の飼育ではツヤクワガタの幼虫飼育ではマットの湿気が多くそのままの状態では蛹化・羽化での死亡率が高くなることが分かった。土繭を造ったら、ケース内の通気をよくして乾燥させるとうまくいくことに気付いたことで、次回のツヤクワガタの飼育への布石となった。
羽化後に死亡したペア@
マットの湿度過多によりカビに寄生されてしまったようだ。
(2007.3.10)
羽化後に死亡したペアA
尻部が白くカビている。
(2007.3.10)
♂の蛹
残念ながら羽化直前の状態で死んでいた。
(2007.3.10)
新成虫の♀47mm
羽化後日が浅いらしく、まだ薄赤い個体だった。
(2007.3.10)

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