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カブトムシ
Trypoxylus dichotoma septentrionalis
産地:神奈川県横浜市
 
 
会社のHさんより●岡公園で採れた天然のカブトムシをいただいた。
これまでまともに累代飼育したのは小学生の時1度きりだったが、
小さい頃からノコギリクワガタとともに憧れの的であったカブトムシを、再び飼育することにした。


カブトムシ♂74mm(神奈川県横浜市産・WILD)



種親2ペアをもらう


カブトムシ♀48mm(神奈川県横浜市産・WILD)

2000年7月18日
 会社のHさんに●岡公園で採集した2ペアをいただいた。
その公園ではノコギリクワガタやコカブトムシも採れるそうで時にはミヤマクワガタも採れるそうだ。
♂1匹は黒かったので、遺伝させたくないので種親には使わなかった。
もう1匹の♂74mmは赤く♀も赤味がかっているので、赤く綺麗なカブトムシを増やしたい。
飼育
 中プラケースに赤い♂1匹と♀2匹(小型と中型)を入れた。
マットはコストを浮かす為、使用済み埋め込みマット(クヌギマット+腐葉土)を使った。

採卵(1回目)
7月30日
 卵を探したが3個しか見つからなかった。
産卵の邪魔になると思い、♂を取り出し♀だけで産卵させることにした。
8月1日
 皿木の上に卵が1個乗っていた。ゼリーを食べながら産んでしまった様だ。

小型♂死亡
8月3日
小型のメスが死んでいた。既にバラバラになっていた。

採卵(2回目) カブトムシの卵

8月7日
マットから卵が52個も採れた。マットはメスによって固められていた。
人工孵化のセット
プリンカップ大2個に幼虫飼育済みマットを詰め、箸で穴をあけ卵を落とし埋めなおし、卵56個セットした。観察できるように、側面にセットした。
♀死亡
8月11日
マット上で休んでいるような姿勢で息をひきとっていた。昨日から同じ姿勢だったので既に死んでいたかもしれない。

採卵(3回目)
8月12日
マットから卵が3個と孵化したばかりの幼虫1匹採取した。
得られた卵も同様にプリンカップにセットした。

♂死亡
8月12日
♂も死亡した。
幼虫飼育
カブトムシの1齢幼虫

 大プラケースに使用済みカブトマットと使用済み幼虫用クヌギマットと乾燥埋込みマット(飼育材のカケラを粉砕したもの)に、採取した幼虫1匹を入れた。
使用済みカブトマットはコーカサスオオカブトの幼虫飼育に使った糞の混ざったマットである。乾燥埋め込みマットは未発酵でカブトムシにはあまりよくないかもしれないが、カブトマットを食べ尽くすころには食べ頃になると思い、効率がよいのではないか?と思ったからである。
マットのコストを下げ、かつ大型個体を作出することを目標とした。

孵化 孵化の様子
(2000.8.11)

8月13日
数日前から少しずつ孵化していて、中にはそばの卵を食べてしまった幼虫も観察した。
8月16日
プリンカップ大2個にセットした卵がほとんど孵化していたので幼虫を取り出すことにした。
全部で34匹と卵1個だった。最初、卵が59個だったで不明の24個は、はじめに孵化した幼虫によって近くの卵が食べられてしまうところを観察しているので大半は食べられてしまったものと思われる。幼虫をたくさん採りたい場合プリンカップに少しずつ卵をセットする必要がある。
先に採取した1齢幼虫1頭がいる大プラケースに、孵化した幼虫34匹を入れた。

菌糸食べ残し追加
8月17日
オオクワガタ飼育用の菌糸ビンの食べ残しが出たので幼虫のマットに混ぜてみた。

ケース分割 2齢幼虫
過密になったので、ケースを増やした。
(2000.8.27)

8月27日
プラケース大に2齢幼虫35頭で過密状態で、マットはほとんど糞だらけになっていた。
幼虫は34匹で1匹だけ見当たらなかった。
コンテナ(Q BOX 30)3個に6頭ずつ、大プラケース2個に8頭ずつ分けた。
マット交換
9月10日
コンテナ2個が糞だらけになっていたので、マット交換をした。
使用済みマットに幼虫を発見したので大プラケースに追加した。
※以後、糞だらけになる度にマット交換を繰り返した。

3齢幼虫

3齢幼虫@
(2000.9.24)

9月24日
マット交換をするとすべて3齢幼虫になっていた。
左右の節が非対称になっている幼虫を発見した。左右それぞれ節が余計にあり、ジグザグになっていた。

マット交換&ケース分割
10月2日
マット交換をした。
コンテナに3齢幼虫6頭でも過密になってきたので、コンテナを1個増やし3頭ずつに分けて飼育した。
10月8日
残りのコンテナ2個も同様にコンテナを増やし3頭ずつで飼育した。

蛹化
2001年4月19日
1頭♂が蛹化した。
加温はしていないが、室内なので早く蛹化したようだ。
※以後続々と蛹化しだした。


(2001.5.20)

  人工蛹室にセットした蛹
(2001.5.20)

羽化

WF1:♂80mm
赤い個体も羽化したが、黒っぽい個体も同じくらいの割合で羽化した。
(2001.8.18)


5月14日
最初に蛹化した♂が羽化した。
※以後6月いっぱいまで続々と羽化しだした。

結局、33匹の成虫が得られたが、うまく蛹室を造れず、前翅にシワがよってしまったものも見られた。
色は黒っぽいものも赤っぽいものも半々に出てしまったが、天然個体なので既に野外で交尾済みの可能性も高く、遺伝するのか不明である。
幼虫期のエサによって決まるという説もあり、実際に養殖業者がクルミの皮を混ぜて赤いカブトばかり羽化させているという話もあり興味深い。

成虫飼育
多数の成虫だったので、一緒くたの飼育で喧嘩するためよく死んだが、驚異的な繁殖力で、多数のF2幼虫が得られた。
とても飼育しきれないので、幼虫の大半は庭のマット捨て場に放し、自然に成長させるようにした。
残りの幼虫は屋外で大プラケースで飼育したところ、まったくそのことを忘れてしまい、8月になって慌てて見てみると既に成虫になっていて、死んでいたものもあったが、大半は元気にしていてなんと卵まで多数マットから出てきた。(その後、無事に孵化)
なんと国産カブトムシは後食しなくてもペアリング、産卵が可能だったのである。

マット捨て場での飼育 マット捨て場から掘り出した3齢幼虫
カラスなどに食べられもしたが、ちゃんと大きく成長していた!
まるで芋掘りのように次々に幼虫が出てきた。
(2001.11.17)

幼虫が大量に採れ過ぎたので、庭のマット捨て場でほったらかしの飼育をしてみた。
カラスか何かに掘り返され多数の幼虫の死骸も目にしたが、7月下旬に掘ってみると次々に蛹室内から成虫が得られた。
大半は森に逃がしてやり、特に赤い1ペアだけ残し、中プラケースで一緒に飼育したところなんと100個以上の卵が得られ、また多数の幼虫を飼育することとなってしまった。
赤っぽい♀を選んだため、それほど大きくない♀でどちらかというとあまりたくさん産んで欲しくなかったのだが、♂同居で100個以上も産むとは再度国産カブトの繁殖力に驚かされた。

庭のマット捨て場で育ったカブトムシ
F2では結構赤い個体も多く見られた。
(2002.7.27)

 
F2:♂79mm
マット捨て場で育ったカブトの中で一番立派な♂。
色、大きさともに申し分ない。
(2002.7.27)

幼虫取り出し 鎌倉産WILD:カブトムシの♀
(左上:♀35mm、左♀46mm、右:♀45mm)
普段はめったに飛んでこないのだが、1日で3匹も玄関の照明に飛んできた。
8月24日に飛来したので、時期的に産卵の時期で交尾済みだと思うので、鎌倉産も♀のみでブリードしてみようと思う。
特に写真右の♀は赤いので赤い美麗個体を羽化させてみたい。左上は稀に見る極小個体である。
(2003.8.24)


現在も累代を続けているが、今年は地元鎌倉の自宅に飛んできた♀3匹が得られた。
いつになってもカブトムシを見つけた時の喜びは何者にも変えがたいものがある。

これについてはカブトム飼育記〜鎌倉編〜をご覧下さい。




 


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