チリクワガタ
Chiasognathus granti
産地:チリ テムコ産

一見クワガタに見えない一風変わったチリクワガタ。
累代は非常に困難で、未だ成功例を聞かない。
とても魅力的なクワガタでもあるので、
とりあえず幼虫GETを目標に飼育に挑戦することにした。


チリクワガタ♂72mm



WILDトリオ到着

チリクワガタ♂72mm

2003年3月15日
○虫充○計画から注文した待ちに待った天然のチリクワガタ(以下チリクワ)♂1匹・♀3匹のセットが到着した。
低温を好む種だけに到着時から4匹ともに非常に元気だった。
他のHPの飼育記では死着例もあるようで心配ではあったが、現在産卵中のリッキー♀2匹を購入した店でもあるので何事も無く無事に到着した。
♂は72mm、♀は39,36,35mmだった。
とにかく絶えず動き回り撮影は困難を極めた。

チリクワガタ♀39mm
クワガタとは思えない体形の♀。腹面は毛だらけ!
♀もとても好戦的でギィーギィー音も立てた。

 

チリクワガタの♀3匹
3匹とも完品。♀同士とても激しく喧嘩する。ニッパのようなアゴなので、♀でも単独で飼育する必要がある。

ヘラヘラ対チリクワ
チリクワはとても好戦的だ。まだ後食未のグアドループ産ヘラクレス・ヘラクレス♂113mmと長いもの同士並べてみた。チリクワはヘラクレスに気付くと激しく威嚇、挟もうと暴れだした。まだ後食未ということもあり、ヘラヘラはすぐに退散した。

ヘラヘラとチリクワ。
長いもの同士並べてみた。

 

直後、激しくヘラヘラを攻撃、あっという間にヘラヘラは退散した。凄い権幕。

飼育

産卵用特大プラケース
♀39mmを入れた。


チリクワは暑さに非常に弱いクワガタである。20℃でもダメだとか?累代を困難にしている主な原因がこれではないだろうか?奈良オオでは低温飼育下でカブトマットから幼虫が得られたそうである。温度管理していない玄関と部屋に置くことにした。とりあえず今の時期は日中でも18℃以下のようである。
最初、特大プラケースに♂1・♀2でセットするつもりだったが、セット直後、♀同士非常に激しく喧嘩して長い前足を鞭のようにしたり、噛み付こうとしたりと物凄い闘争心で、1分と見ていられなかった。結局、特大プラケには1ペア、大プラケ2個に♀1匹ずつセットした。
マットはケース下部3cmを黒土で固め、カブト幼虫使用済みマットと腐葉土主体でマット上に落ち葉を敷いた。
特大プラケにはコナラのカワラ材も半分埋めた。
大プラケース1個は比較実験の為、奈良オオ製ビートルマットと黒土主体でセットした。(♀35mm)
特大プラケース(黒土+腐葉土主体:♀39mm):ケースA
大プラケース(黒土+腐葉土主体:♀36mm):ケースB
大プラケース(ビートルマット+黒土主体:♀35mm):ケースC

セット後も歩き回りあまり落ち着かない。
数時間後に見たところ、♀はマットに潜って♂だけ活動していたが、まだゼリーは食べていない。
夜、♂は長い舌でゼリーを食べていた。♀は35mmだけマット上に出て活発に歩きまわっている。
3月17日
相変わらず♀2匹(35,39mm)は潜ったきりである。夜になると♂とケースCの♀35mmが活発に歩き回っている。しかし、♀はゼリーを食べていないようだ。
♀2匹はセット以来、マットに潜ったきりである。元気がよかっただけに産卵している可能性がある。

♂死亡
3月20日
♂はマット上にいるがまったくのスローで歩いている。かなり弱っているみたいだ。早くも死ぬのか?
3月21日
やはり死んでいた。温度変化が激しい(普通の部屋なので朝と夜はストーブを焚き、寝ている間は10℃くらいまで冷え込む)のでチリクワには耐えられないのかもしれない。
♀は最近3匹とも見ていない。食べた痕跡も見られない。悪い予感がする。

産卵
4月8日
セット以来、ゼリーを食べた形跡は全く無くゼリーにはカビが生えている。どうしたものかとケースを回してみると・・・。ケース側面のマット中から♀が動いている!!なんと生きていたのだ!!しかも活発に動いている。エサも食べずにマット中を動き回っているとなると産卵以外考えられない。このケースはケースC,ビートルマットと黒土のブレンドしたものである。
それならばとケースA,Bも見てみるとケースBにも♀がマットの下部にいて全身見えた。透明度が悪いので写真は無理だったがこれも元気にしている。ケースAは確認できなかったが、この分だと多分無事ではないだろうか?
♀が隠れてしまったので、撮影は出来なかったが、♀の坑道は捉えることができた。
こうなると産卵しているのはほぼ確実である。ほったらかし状態ですっかり諦めていたが、成功しそうな予感がする。

採卵

チリクワガタの卵@
生きたチリクワの卵の写真はもしかしたら初公開?!
(2003.4.13)

4月13日
今日はかなり暑い。温度管理なしでも、19℃以上になっているようだ。このままでは、産卵していたとしても孵化せずに死んでしまうかもしれない。卵くらいは見てみたいので、黒土+腐葉土主体のケースCを採卵してみた。
なんと、やはり産卵していた。色・形から受精卵と思われる卵が4個採ることができた。少なくもあるが採卵に成功しただけでも凄いことではないだろうか?
♀も元気にマットから出てきた。完品でまだまだ衰えている様子が全く無い。採れた卵4個はいつもと同じやり方でプリンカップにセット、人工孵化に挑戦することにした。
あとのケースA,Cは孵化するまでそのままにしておくことにした。

チリクワガタの卵A
黄色味が少し強めの卵で、他のクワガタとさほど相違点はないようだ。
(2003.4.13)

 

チリクワガタの卵B
チリクワの卵も楕円から球体へ成長していくようである。
(2003.4.13)

♀の様子
4月17日
特大プラケースのケースAからもマットの下部から♀39mmが見えた。これも元気だった。ケースCの♀がマット上に出てゼリーを食べていた。セットしてから初めて姿を現したことになる。
今後は温度の問題さえ解決出来ればチリクワガタの飼育はうまくいくはずだが、なんとか今のままで幼虫が採れたら低温状態を工夫して作り出し、飼育するつもりだ。しかし、今も20℃あるので無理だと思う。

♀死亡
4月28日
ケースCのマットの上のほうで♀が横になっているのが見える。まったく動いていないので、死んでいるようだ。
5月9日
再度見ても動いていないので間違いなく死んでいる。
卵のほうは採卵した4個のうち、2個は消滅、2個は今のところ変化なしである。この暑さでは期待はできないだろう。

飼育終了
6月8日
あまりの暑さにとりあえず3ケースとも暴いてみた。種親♀はマット中で死亡していた。卵も見つけられなかった。20℃超えているので、当然ではあるが・・・。
プリンカップの卵も同様に溶けてしまった。しかし、温度管理さえできれば累代飼育は意外に簡単かもしれない。


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